これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

マスクの新しい使い道

2017年02月19日 21時39分42秒 | エッセイ
 決して暇人ではないが、週2回はジムに行くことを目標にしている。スカッシュで汗を流し、スパでリラックスするのが至福のひとときなのだ。
 仕事帰りに寄ることもある。前の日に持ち物を準備するが、一度、トレパンを忘れてしまった。更衣室で着替えの最中に気づいたものだから、「今日はやめよう」という気になれなかった。
「今日はチノパンを履いてきたから、これでやればいいんじゃない?」
 かくして、Tシャツにチノパンを組み合わせた、いい加減な格好の女がスカッシュコートに立ったというわけだ。裏起毛だから暑かったこと、暑かったこと。
 今日はトレパンこそ忘れなかったものの、髪をまとめるゴムが見当たらなかった。
「あれっ、昨日はあったのに。どこに行ったんだろう」
 おそらく、ロッカーに置き忘れたのだ。これには参った。ゴムがないと、髪が邪魔で球が見えない。卓球の愛ちゃんも美誠ちゃんも、「これでもか、これでもか」というくらい黒ピンで前髪をとめているのは、視界を最高の状態に保つためと思われる。スポーツ刈りにする気はないが、ときに髪は疎ましい存在となる。
「うーん、何かないかなぁ」
 バッグの中を探してみた。輪ゴムの一つくらい見つからないものか。
「ややっ、これはどうだ?」
 使い捨てのプリーツマスクが目に入った。感染症を防ぐため、満員電車でつけるようにしているが、ジムのあとは自転車で帰るだけ。役に立ちそうな気がした。
「えーと、ゴムのところを切り取って……」
 耳にかけるソフトなゴムを引っ張ると、少々抵抗されたあとに「ベリッ」と剥がれた。反対側も同じようにしてもぎ取る。これを輪にしてみたら、髪くらいとめられるのではないか。



「おっ、大丈夫、大丈夫」
 グルグル巻きにし、髪をまとめてコートに向かった。またもや変な女の登場である。だが、40分間動き回っても、ゴムはびくともしなかった。ボールを追って、運動不足の体が右に左に動く。髪が邪魔だとこうはいかない。急場をしのぐにはいい判断だったと思う。
 残された可哀想なマスク……。



 マスクは、感染症やアレルギーの予防という本来の目的以外に、いろいろな使い道がある。防寒、すっぴん隠し、照れ隠し……。
 女子生徒の皆さん。
 体育の時間に、髪をゆわくゴムを忘れたときには、ぜひ思い出してくださいね。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (10)
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