これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

不法侵入

2016年11月03日 21時18分00秒 | エッセイ
 最近、よくカメムシを見かける。
 リビングの壁にへばりついていたり、何日も網戸から動かなかったりして不気味だ。


  (Wikipediaより)

「ねえ、家の中にいるってことは、カメムシの巣があるのかな」
 カメムシが大嫌いな娘が不安そうに尋ねた。
「まさか。そんなことはないでしょ」
「家で卵を産んじゃったとか」
「だったら、もっといるんじゃない」
「うえ~、考えたくない……」
 東京23区といえども、我が家の庭には桜の木が1本、柿の木が2本生えているから虫が多い。おそらく、洗濯物などにとまるのだろう。老眼で大雑把な夫は、カメムシに気づかぬまま洗濯物を取り込み、家に入れているようだ。
「見た目も気持ち悪いけど、臭いから余計にイヤなんだよ」
 先日は、玄関のすぐそばにカメムシがとまっていた。礼儀正しくドアから入ろうとしているのかもしれないが、許可したおぼえはない。
 そして、今日はもっと恐ろしいことが起きてしまった。
 掃除機をかけていたら洗濯機の近くに来た。洗濯物はすでに干したあとだが、シンクにボタンのようなものが残っている。服から取れたのだろうと、右手を伸ばしてヒョイとつかんだ。
 だが、それはボタンではなく、6本の足をすべて失ったカメムシの死骸だった。
「ひええええええ」
 反射的に死骸を投げ出し、逃走する。あとは夫が片づけることを期待して。
 果たして、カメムシの足はどこに行ったのか。洗濯機でシェイクされ、バラバラになったとすれば、服やタオルについているのかもしれない。
「ねえ、お母さん。今日はベランダでカメムシを見たんだよ。ほーんと、イヤになっちゃう」
 ……娘の服についていたら大変だ。
 これ以上、キイキイ騒がれるのは面倒なので、死骸のことは黙っておこう。
 なーいしょ、ないしょ。


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コメント (6)
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