これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

テニブスの血

2016年10月27日 21時32分53秒 | エッセイ
 中学時代は軟式テニス部に所属していた。
 しばしば「テニブス」と揶揄されたが、短い丈のスコートをヒラヒラさせて走り回れば、それなりに格好よく見える。大して上達せずに卒業したのは、練習熱心ではなかったからだ。上手くなりたければ練習するしかないのに、それが面倒で仕方なかった。今から思うと、頭の悪いガキであった。
 すっかりオバさんになってからジムに入った。真っ先に「スカッシュをやりたい」と思ったのは、テニブスの経験があったからだ。「今度こそ、上手くなるまで頑張ろう」と気合を入れる。
 スカッシュのラケットはテニスよりも小さい。



 ボールもミニサイズなので、ときどき空振りする。
 ん? もしや、私だけ!?
 コートは狭い。幅6.4m×奥行き9.8mの床は、四方を壁に囲まれている。見上げれば、高さ5.6メートル以上の天井がコートに蓋をするように覆いかぶさり、開放感はゼロである。
 でも、この狭さがいいのだ。私はコントロールが悪く、テニブス時代はよくホームランをかっ飛ばしていた。ネットから場外に出たボールを、コソコソと拾いに行くのが情けなかった。これも練習嫌いの一因かもしれない。
 それに比べて、スカッシュは球拾いが全然苦にならない。壁に囲まれているから、ボールはビリヤードのように跳ね返ってくる。この競技を考えた人は、賢かったに違いない。
 隣のコートからは「パコーン」という高い打音が聴こえてくるが、私のラケットからは「ブヨーン」という鈍い音しか出てこない。テニス崩れの打球なんぞ、そんな程度だろう。球足は遅いし、フラフラと弧を描いて、まったくスカッシュらしくない。壁打ちの練習といったほうが正しいような気がするが、ごくまれに、「パコーン」と聞こえるときもあるから、やはり練習が肝心。めげずに続けよう。
 先日、ラケットバッグを買った。



 これさえあれば、ラケット持参で出勤し、帰りにジムに寄れる。
 スカッシュのいいところは、1人でも2人でもプレイできる点だ。娘がいれば2人でやるが、彼女は私以上に下手なので、球が返ってこない。1人のときは、コントロールが定まらないから、右に左に走る破目になり大汗をかく。休憩中に、水筒を持つ手がガクガクと震えたのには驚いた。
「そうだ、素振りをしよう」
 中学時代より、今の方が10倍も100倍も忙しい。でも、なぜか練習したくてたまらない。
 フォア100回、バック100回とラケットを振ること自体が楽しい。
 ああ、テニブスの血が騒ぐ。


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コメント (6)
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