これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

三世代女子会忘れ物

2016年09月22日 21時02分35秒 | エッセイ
 秋分の日の今日は、あいにくの雨だった。
 恒例となりつつある三世代女子会墓参りは、日程の都合で17日にすませている。曇り空だったが、雨に降られることもなく、この日を選んで正解だったと思う。
 しかし、母も私も忘れ物が多かった。
「あっ、雑巾忘れちゃったよ。砂希は持ってきた?」
「ごめーん、私も忘れた……」
 二人して、墓石を磨くための雑巾を忘れるとは何たるこっちゃ。
「あっ、お供え。何も持ってこなかったよ。お母さんは?」
「……アタシもすっかり忘れてた」
 そんなやりとりを見て、呆れた娘が説教をする。
「もう、お母さんもお祖母ちゃんも何やってんの。どうせ、温泉のことばっか考えてたんでしょ」
「へへへ、バレたか」
 そう、はるばる高尾まで来たのだから、ちょっと遊んで帰ろうと計画を立てていた。
 高尾山口駅には、2015年10月27日にオープンした温泉施設がある。なぜ、こんな細かいことをおぼえているのかというと、私は去年のオープン前日に高尾山に登ったのだ。
「あっ、極楽湯だって! いいな~。オープンは明日? キイッ、悔しい!」
 そんな経緯もあり、リベンジのチャンスをうかがっていたのである。
「高尾山口の極楽湯に行かない?」
「温泉なの? いいね」
 母も娘も乗り気でよかった。タオルやターバンなどに気を取られ、雑巾もお供えも吹っ飛んでしまったことは計算外だったが、墓参りが終わったあとのお楽しみだ。



 入館料は1人1000円。すでに、ハイカーたちが何人も来ていた。
 ちゃちゃっと昼食をすませ、足早に風呂に向かう。ここで男がいると別行動になるが、女ばかりなので、どこまでも一緒である。ロッカーでも、湯船でも、3人揃って移動できるから便利だ。
「順番に入っていこうね」
 お風呂が何種類もあってウレシイ。湯音はまずまず。私も母も、熱いお湯が苦手である。
「ミキはサウナがいい」
 娘はサウナが好きだけれども、私と母はそっぽを向く。暑い場所も苦手なのだ。
 母が気に入ったのは、檜風呂であった。


(ホームページから)

 私はぬるいお湯が好きだ。37度の露天炭酸石張り風呂に長いこと浸かっていた。


(ホームページから)

 この風呂は、炭酸という名の通り、体中に細かい泡がまとわりついてくる。血行や新陳代謝を促進し、美容にもいいらしい。気泡のプチプチ感が何とも心地よく、あわただしい毎日から現実逃避できる。
 ただし、女湯ならではの長い髪の毛が浮いていて、ときおり腕に絡みつくところがいただけない。みんなが気持ちよく入れるように、髪はしっかり上げましょう!
 母の「もう出る」という言葉を合図にロッカーに戻る。お肌もツルツルだし、肩こりや目の疲れが取れて十分リラックスできた。
「ソフトクリームでも食べようか」
「食べよう」
 だが、食事処でビックリした。昼食時とは比較にならないくらい、大勢のハイカーが押し寄せていたからだ。
「席あるかな?」
「奥の座敷が空いているよ」
 かろうじて席を確保し、冷たいデザートにありついた。
 4時頃には退館したが、ハイカーたちはこれからが本番なのかもしれない。夕方の混雑はあなどれない気がした。
 次回は11月。義父の命日に合わせて墓参りをする。
 今度は、雑巾を忘れないように。
 お供えは、今回の穴埋めで2倍の量を用意しようっと。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)
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