これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

介護の合間に

2016年08月18日 20時02分29秒 | エッセイ
 夏休みはもらったが、泊りがけでは出かけられない。
「今日は俺がおばあちゃんの世話をするから、夕飯よろしく」
「はーい」
 義母は要介護状態になって半年ほど経つが、あまり食欲がないらしい。日中は、寝ているかテレビを見ているかである。週に2回は入浴サービスを頼み、お風呂に入れてもらえるようだ。
 昼間は夫の弟たちが介護を担当してくれて、夜になると夫が義母を寝かしつけたり、夜中にベッドから落ちたりしないかを監視する。弟たちが都合の悪い日は、夫が食事も担当する。とてもお出かけどころではない。
「気晴らしに、美味しいものでも食べようか」
「うん」
 たまたま、水道橋に行った。東京ドームホテルの周辺には「後楽園飯店」という中華レストランがあり、「フカヒレの姿煮入り汁そば」なる料理が名物だという。フカヒレといえばコラーゲン。美肌のために昼食にしようと思ったが、一人だけ美味しいものを食べるのは気が引ける。おみやげ用もあるので、家族分を持ち帰って、みんなで食べようと思った。
 少々値は張るが、どこにも出かけないのだから、これくらいはいいだろう。
「ただいまご用意いたしますので、そちらに掛けてお待ちください」
 待ち時間にはウーロン茶も出る。ちょうど喉も渇いており、気の利くことだと感心した。
 介護疲れの夫におみやげを見せる。
「あっ、フカヒレだ! すご~い」
 箱は木製のようだ。



 待ち時間に保冷剤をセットしてくれたらしい。



 1箱2人前。



 うちは3人家族なので、2箱買ってきた。
 作り方は簡単だ。フカヒレを湯煎にかけ温める。液体スープを丼に移し、300ccのお湯でとく。麺を1分20秒茹でたら丼に入れ、フカヒレを載せてできあがり。
 茹でた青梗菜も入れてみた。



「うま~い! 家でこんな料理が食べられるんだね」
 夫も娘も大喜びだ。フカヒレのプリプリした食感と、マイルドなあんかけ、コシのある麺の組み合わせが素晴らしい。
「デザートに種なしピオーネを買ったのよ」
「へー」
 ブドウでは、巨峰やピオーネ、マスカットなどが好き。たまたまスーパーで、粒が揃ってキレイなピオーネがあったので購入してきた。房の下のほうから実をとると、甘いものが食べられると聞いたが本当だろうか。
 1つ、2つ実をとって気がついた。
「あっ、ハート型の実があるよ」
「えっ」



 今まで、ハート型のマッシュルームやイチゴは見たが、ピオーネは初めて。
 何かいいことありそうな気がする。
「きっと、幸福のピオーネだね」
「あはは」
 夫には、さっそく幸運が舞い込んだ。
「おそばが1食余るから、パパにあげるよ」
「うほ~」
 雄叫びを上げて、夫が盛大に喜んでいた。
 介護生活の中にも、楽しみを見つけなくちゃね。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (4)
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