これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ポケットの中には

2016年08月04日 20時00分50秒 | エッセイ
 子どもの頃から「ふしぎなポケット」という歌が好き。
 ポケットを叩くと中のビスケットが増えるなんて、食べ盛りのチビっ子たちの夢だ。私の服にも、そんなポケットがついていればいいのに。
 教員という仕事には、医師の着る白衣が便利。



 これのおかげで服は汚れないし、左右の大きなポケットが収納力を発揮する。
 高校生なら、相当数がLINEに熱中している。我慢できずに、授業中にコソコソ操作する者も多い。そんなことでは勉強に集中できないから、勤務校では取り上げて放課後まで返さない。
 ある先生が、英語の授業中に男子生徒からスマホを預かった。これを教卓に置いたまま授業を続けていたら、いつのまにか消えていた。周りの生徒に聞いても「知りません」と言うばかり。そのうち、「取り上げたものをなくすなんて、どういうことですか」「弁償、弁償!」と総攻撃を受け、本当に参ったと嘆いていた。
 こういうときこそ白衣の出番!
 ポケットには、取り上げたスマホがスッポリ収まるからありがたい。
「はい、その携帯は預かります」スポッ。
「ピアスを取りなさい」スポッ。
「ネックレスを外しなさい」スポッ。
 ポケットというより肌密着型手さげ袋だ。これなら生徒もあきらめがつくようで、今のところ取り返されたことはない。
 ポケットにはまだまだ入る。そのうち、資料についていた付箋紙もスポッ、教室掲示の座席表もはがしてスポッ。何でも放り込む癖がつき、いつの間にやら、移動式ゴミ袋と化していた。
 ビスケットの増えるポケットが欲しかったのに、ゴミの増えるポケットになっていたなんて!
 これではいけない。
 モヤモヤした気分から救ってくれたのは、気のいい女子生徒。
「先生、これ、ディズニーのおみやげ!」
 笑顔とともに個包装されたミッキーのクッキーをもらった。
「ありがとう」とポケットにしまおうとして手が止まる。まずは余分なゴミを捨ててからだ。あれもこれも放り出して、ポケットを空にする。
 きれいにリセットしてから、可愛いクッキーをスポッ。
 叩いても増えないが、「おすそ分けもらってウレシイ」気持ちが大きく膨らんだ。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (6)
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