これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

魔法のグラス

2016年07月21日 23時54分50秒 | エッセイ
 毎日暑い。
 しかも、7月は繁忙期。連日、帰りが9時、10時になるときた。
 バテないよう食事に気をつかい、平日はお酒も飲まない。
「今日はいいよね」
 一週間頑張ったご褒美として、金曜の夜から日曜日まではアルコール解禁となる。
 缶ビールだったら「プシュッ」という音が、景気よく響くだろうが、私はスパークリングワインかシャンパンだ。ボトルからコルクが吹き飛ぶ瞬間の「ボンッ」という音に安心感をおぼえ、コルクの抜けた穴から立ち上る水煙にワクワクする。グラスに注げば、シュワシュワと弾ける炭酸がバカンス気分を演出して、雑多な日常から解放される。
 夫はよく私のグラスを割る。わざとではないけれど、手を滑らせるのだ。
 渡りに舟か。先月開催された「有田の魅力」展で出会ったシャンパングラスに魅せられ、予算オーバーだったけれども買ってしまった。



 これは自分で洗うことにする。
 台座が有田焼でできているこのグラスは、ガラス部分が割れても再生できるそうだ。
 ロゼのカヴァを注ぎ、娘と乾杯した。
 ところが、娘の反応が悪い。
「なんか、ロゼって美味しくないね」
 白と違って、かすかな苦みや渋みのあるところが、どうにも気に入らないらしい。「そうかなぁ」と私は首を傾げ、結局、一人で2杯飲んだ。
 たくさん飲めないので、カヴァが余る。残りのボトルは、カルディで買った「シャンパンストッパー」で栓をすれば安心だ。次の日も「ボンッ」という威勢のいい音と、シュワシュワ感が健在である。安価な割に、しっかり働いてくれて、コスパが高い。



 せっかくだから、グラスの記念撮影をしようと思った。
 どうやら、この色にはロゼより白が合うらしい。背景はダークカラーがよさそうだ。暗くなりそうな足元にライトを当てると、光が液体に反射して、キラキラと輝いている。浮き上がる炭酸につられて、気分も高揚しそうな気がする。



「うん、美味しい」
 ちょっと辛口だけど、キレがあって飲みやすい。
 ん?
 こういう味は、苦手じゃなかったっけ?
 ふと、そんなことを思い出す。
 もしかして、このグラスで飲むから美味しく感じるのかもしれない。
 魔法のグラスだね。 


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コメント (6)
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