これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

オリジナル・シャア

2016年05月26日 21時06分34秒 | エッセイ
 5月21日から「機動戦士ガンダム THE ORIGINⅢ 暁の蜂起」が公開されている。
「いつ行く?」
「大学がある日の帰りがいいな。水曜なんてどう?」
「いいよ。じゃあ、25日で」
 娘と日程を合わせて、観に行く日を決めた。池袋の劇場は近いが、仕事帰りでは21時台しかない。日本橋まで出ることにした。



 相変わらず、劇場内には中高年のサラリーマンが目立つ。ガンダムは37年前に誕生したコンテンツであるが、人気が衰えるどころか、関連市場も年々拡大し続けている点が珍しい。
 今回は、人気キャラであるシャア・アズナブルの士官学校時代に焦点を当てている。



 さて、どんな展開になるのか。
 冒頭のシャア・アズナブルは、金色の髪に茶色の瞳を持った少年である。ただし、人気キャラのシャアではない。まぎらわしいので、オリジナル・シャアと呼ぶことにする。彼にそっくりなエドワウという少年もいるが、こちらは瞳が青。つまり、瞳を見なければ、2人を見分けることができない。
 エドワウは追われる身である。命を狙われていることは重々承知の上で空港に来た。勝算はある。何も知らないオリジナル・シャアと入れ替わればいい。どさくさにまぎれて士官学校の入学許可書をくすね、シャア・アズナブルとして生きることにした。人気キャラは、入れ替わったあとのシャアなのだ。
 では、オリジナル・シャアはどうなったかというと……。
 ハッピーエンドのはずがない。顔がそっくりというだけで、人生を台無しにされるのだから、いい迷惑だ。
 復讐のためには手段を選ばない非情なシャアに対して、素直なガルマ・ザビが可愛かった。



 ザビ家の末子として、将来を期待されるガルマ。その重圧は大きい。見えないところで努力はしているが、悲しいことに限界がある。「僕もこうだったらよかったのに」と願う運動神経、頭脳、カリスマ性を持った人間がシャアだった。負けず嫌いの血が騒ぎ、無理してシャアと張り合った結果、裏目に出て終わる。喜怒哀楽を隠さず表現するところに、人間的な魅力を感じた。
 ファーストガンダムでは、前髪ばかりいじって女々しかったし、決して好きなキャラクターではなかった。でも、暁の蜂起では育ちのよさが人柄に反映され、周囲の期待に応えようと必死に頑張るところが微笑ましい。父親から溺愛される理由がわかったような気がした。
 シャアはガルマを見下す一方で、その天真爛漫さに惹かれていたのだろう。
 映画のあとは食事だ。
「映画の半券で10%オフだって」
「ここにしようか」
 私たちは、映画館の近くにあるベルギー・ビールの店に入った。大好きなギネスはアイルランドだし、ハイネケンはオランダ。ベルギーのビールはほとんど飲んだことがない。
 右が「カスティール・ルージュ」、左が「プリムス」。



「カスティール・ルージュ」はカクテルのような味わいで、とてもフルーティーだった。ブラウンビールとサワーチェリーが入っているという。これなら何杯でもいけそうだ。

 ブラウン。オリジナル・シャアの瞳の色ね……。

 次々と運ばれてくる料理にも、茶色のものが多かった。
 オリジナル・シャアの瞳の色のムール貝。



 オリジナル・シャアの瞳の色のタルタルをかけたシュリンプのサラダ。



 オリジナル・シャアの瞳の色のスモーク・チーズ。



 次のベルギー・ビールもブラウンだったりする。



「ふー、もうお腹いっぱい」
 映画も料理も、十分に楽しめた。
 家に帰ってから気づいたことだが、飲み食いするのに夢中で、チケットの半券を提示するのをすっかり忘れていた。
 何をやっているのだろう。
 ああ、幻の10%オフ……。


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コメント (10)
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