これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

アールグレイは罪な味

2016年05月08日 20時54分14秒 | エッセイ
 朝起きたら、ティーポットにアールグレイの茶葉を入れ、紅茶をいただくのが日課となっている。
 ところが、うっかり硬いものをぶつけたものだから、ティーポットの注ぎ口が欠けてしまった。
「キャーッ!」
 早く新しいものを買わねばと思ったが、ときは5月。母の日があるではないか。
 まずは勝手に下見をする。池袋は品ぞろえがイマイチ、銀座もダメ。新宿伊勢丹が一番充実していた。
 次に、「何が欲しい?」と聞かれてもいないのに、娘の部屋におねだりをしに行く。いや、たかりと言った方が正しいかもしれない。
「ねえ、母の日のプレゼントはティーポットにしてえ」
「え? 母の日っていつだっけ」
 すっかり忘れられていたのが残念だ……。
「8日だよ」
「で、ティーポットっていくらするの?」
 オシャレなティーポットは高い。安いものは500円くらいで買えるが、私がいいと思ったものは2万円前後であった。
「へ? そんな高いの、学生に買えるわけないでしょ」
「じゃあじゃあ、父の日はなしでいいから」
「それ、おかしいでしょ」
 そういえば、キッチンの引き出しに、百貨店共通商品券があることを思い出した。数えてみると、1000円券が25枚ある。
「ミキが出せるのは1万円までだよ。あとは、商品券で払ってね」
「うん」
 そんなわけで、今日は新宿伊勢丹まで、ティーポットを求めてお出かけした。
 小さめのものでよかったのだが、洗いにくいと困る。可愛くて、使い勝手がよくて、清潔に保てるものを探したら、リチャード・ジノリにたどり着いた。



 予定通り、娘が1万円を出して、不足額は商品券から払った。おつりの800円を娘に渡す。
 娘と別れて、夕飯の買い物をしてから家に帰った。
「母の日ありがとう~!」
 待ちかねた夫と娘が、一緒にプレゼントを渡してくれた。
 どうやら、娘は「何でアタシが全額払わなきゃいけないの」と考え直したのか、夫にプレゼント代を請求した模様だ。内訳が知りたくて、娘の部屋に忍び込んだ。
「ねえねえ、お父さんにいくら出してもらったの?」
「1万円」
「商品券使ったこと、黙ってたんでしょ」
「当たり前じゃん」
「レシート見せて、これだけかかったんだよ、なんて言って」
「そうそう。ミキはおつりの800円分得した」
「詐欺だな」
「いいんだよ」
 たかりに詐欺。どういう母の日なんだか。
 たまには、何も知らない夫に紅茶をいれてあげようかな……。


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コメント (10)
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