これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

キツネさんに願いを

2016年02月18日 20時58分13秒 | エッセイ
 私は、食べてばかりいるわけではない。
 ちゃんと信仰心もある。が、お寺に行ったり、教会に行ったりと一貫性はないが。
 その日は、上野の某神社に行ってきた。
「あの神社には、横山大観が描いた龍の天井絵があるんですよ。あれは大作です」
 以前に、同僚から聞かされた言葉を思い出した。残念ながら、行けば見られるという代物ではないようだが、ご祈祷を受ければ見せてくれるらしい。時間があれば申し込んでみたい。
 今回の目的は、受験を控えた生徒へのお守りを買うためだ。彼には、どうしても入りたい志望大学があるのだが、AO入試でも一般入試でも不合格となってしまった。3月にもう一度試験があるというので、何とか合格できればいいと願っている。
 お手水で手を清め、柏手を叩いて参拝する。右手には社務所があり、お守りやお札などが売られていた。
「えーと、学業守り、学業守り……」
 なかった。湯島天満宮にすればよかったか。たまたま、上野に行く用事があったからと、安易に考えたのが間違いだった。
「おや?」
 しかし、もっといいものが目に入った。
「お願い狐 500円」
 洋ナシくらいの大きさの狐が、体を寄せ合っていくつか並んでいる。ニコリと笑い、鶏卵のような白い体をしていた。ここに願い事を書いて、神社に収めるか持ち帰るかすると、願いが叶うという。
「へーえ、これ、いいじゃない。すみませーん」
 社務所に声をかけて迷わず購入する。あとは、横山大観の「龍」が描かれた絵馬も、ご利益がありそうだと買ってみた。



「えっ、これを僕に? ありがとうございます!」
 生徒はとても喜んでくれた。「〇〇大学に合格できますように」と書けば、やさしいキツネさんに力を貸してもらえるような気がする。隣にいた男子は「これ、おじいちゃんちにあった。きっと効き目があるよ」などと声をかけていた。何とか次こそと、みんなが応援しているのだ。
 さて、絵馬を買ったはいいが、何を書こう。
 受験生と違って、私には大きな目的がない。
「吉野ケ里遺跡に行かれますように」
「お料理のレパートリーが増えますように」
「血糖値が下がりますように」
 などなど、横山大観に釣り合わない願いばかりが浮かんでくる。
 武田双雲ばりの毛筆で、ドドーンと「無病息災」。
 なんて、いいかもしれない。


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