これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

年賀状がつなぐ縁

2016年01月14日 21時09分47秒 | エッセイ
 年賀状を送っても、返事をくれない人がいる。
 喪中だったのかもしれない。だが、「来年からいらないわ」というサインだとしたら、住所録から削除すべきだろう。何人もの年配の方から、「今年こそ年賀状を卒業したい」という話を聞いたことがある。気持ちを察して、余計な負担をかけないようにしたい。
 かつての同僚には、いつまで送るべきなのかを迷う。職場が変わったら、それきりにしていいのだろうか。今まで元旦に到着していた賀状が、遅くなってきたら、やめどきかもしれない。
 今年もそんなこんなで、3人くらいは住所録から抹消した。あまりいい気持ではない。
 特に心配だったのが、高校時代の恩師である。大学受験の際には、夏休み返上で面倒を見てくれたし、教育実習では指導教員であった。結婚式にも招待して、その後も賀状のやり取りを欠かさなかったのだが、昨年の年賀状からおかしな点が見られ、気にはなっていた。
 まず、スケッチがなかった。恩師は旅行が趣味で、出先では必ず風景画を描く。ミラノのドゥオーモ、バルセロナのサグラダ・ファミリア、パリのノートルダム寺院などなど、力強いタッチで美しい建物を写しとるのだ。そこから、気に入った一枚を年賀状に載せるのが恒例となっていたが、去年はそれが見当たらなかった。さらに、「あけましておめでとうございます」の文字に歪みが目立つ。「あれっ、こんな字じゃなかったはずなんだけどな」と思うほどの変化であり、そのあとに続く言葉も意味不明だった。
 父と同い年だから、今年は喜寿を迎えたはずだ。元気でいるのかどうか、確認したい気もするが、ちょっと怖い。
 お世話になった前校長にも賀状を送った。校長クラスになると、退職後は大学などから誘いを受けることも多いが、「ゆっくりしたい」という理由ですべて断ったそうだ。去年は返事をもらったけれど、今年は来なかったので、来年はどうしようかと思案した。
 しかし、後日、寒中お見舞いが送られてきた。どうやら喪中だったらしい。細かい気配りに感心し、来年も安心して送れると思った。なるべく、人とのつながりは大事にしたい。
 思いがけない相手から、年賀状をもらうこともある。
 宮城からの転入生が、手書きの賀状をくれたのだ。目がクリッとしていて、アイドル並みのルックスを持つ女子だから、転入早々クラスの人気者になっていたが、義理堅い面もあるとわかった。うれしくて、すぐさま返事をしたため投函した。
 ちなみに、前から私のクラスにいる生徒は、誰一人として年賀状をくれない……。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする