これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

日本銀行本店見学ツアー

2015年08月13日 17時32分40秒 | エッセイ
 日本銀行本店の見学会に参加してきた。



 参加者は、西門から入ることになっている。



 所要時間は約60分。荷物をコインロッカーに入れ、身軽になって参加するのがよろしい。
 防犯上の理由から、飲み物は持ち込めないため、ペットボトル類もロッカーに入れておこう。
「用意のできた方から、金属探知機をくぐっていただきます」
 カメラ、携帯電話、小銭入れなどは取り出しておくとスムーズである。
「ピンポーン」
 ……しかし、私は鳴ってしまった。手荷物を見せたが、包丁などの凶器が入っているはずもない。
「中身は問題ないので、バッグの金具に反応したようですね。どうぞ」
 入れてもらえてホッとした。空港のセキュリティより厳しい気がする。
 まずは映像学習から。日本銀行券、つまりお札が偽造されないように、いかにハイテクな技術が使われているかを紹介していた。「これだけ工夫しているんだから、つまんない考えを起こすんじゃないよ」とけん制する目的もあるのだろう。
 日本銀行の役割なども入れて、20分弱の上映だった。背の小さい人は、最前列でご覧ください。
「それでは、旧館からご案内いたします」
 映像のあとは館内の見学だ。旧館は、東京駅で有名な建築家・辰野金吾の作品である。バロック様式だの何だのと、細かいことはわからなくてもいい。明治のレトロな美を、この目にくっきりと焼き付けるだけで十分楽しめる。
 さすがに、空調は一部しか利いていない。一方、昭和48年に建てられた新館は、廊下も涼しかった。
 印象的だったのが、「日銀ネット」開通時のパソコンである。数字の入力は、通常テンキーで行う。電卓と同じで「0」はもちろん、「00」のキーも珍しくない。しかし、日銀には「000000」などという6桁のキーがあり仰天した。たとえば、「1」「000000」の2つのキーを押せば、100万円を即座に入力できる。もっとも、狭いスペースに収めるため、2行に分けて表示されていたが、いかに大金を扱っているかを思い知らされた。
 地下金庫も強烈だった。現在は使われていないから空っぽだが、扉の厚さは90cm、重さは15トン、扉を支える枠も10トンというから、関取がスクラムを組んでいるような重量感である。入口近くには、レプリカの1万円札が雑誌と同じような扱いを受け、梱包用のテープで束ねられ並んでいる。ここで働いていると、金銭感覚がおかしくなりそうだと感じた。
「奥の方の壁に穴が開いています。万一、泥棒が入ったときに、この穴から水を入れて、お札を使えないようにするためのものです」
「へー」
 実際に使ったことはないと聞き、少々安心した。
 金庫の前には、模擬紙幣1億円分のパックもあり、手に取ることができる。約10kgというから、結構重い。その隣には金塊のレプリカが並んでいる。こちらは14.5kgで、ツルツルすべるということもあり、金銭感覚が発達していても、ひ弱な私には持ち上げられなかった。残念……。
 最後に、来客が馬で来ていた時代の遺物を見る。



 これは、馬が水を飲むために作ったものだそうだ。周りには何頭もの馬が待たされ、「ヒーン」といなないては、ボトボト糞を落としていたのかもしれない。掃除が大変だったのではないだろうか。
「以上で、見学は終わりです。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
 終了後はロッカーに戻る。おみやげを買う。
 まずは、貨幣焼という6種類の硬貨をかたどった饅頭と





 一万円札のあぶらとり紙。



 金塊ストラップは適度な重みがあって気に入った。金運が回ってきそうな手ごたえを感じる。



 その割に、浪費していたりして……。
 もっと気に入ったのが、日本銀行本館クッキーである。



 箱がオシャレだと思ったら、扉になっており、開けると地下金庫が顔を出す。金庫を手前に引き出すと、1万円札の印刷がされたクッキーにたどり着く。大人でも笑ってしまうような、遊び心満点のアイデアだ。
 童心に返って、ひとり日銀ごっこをしてみた。
「日銀さん、日銀さん、おこづかいくださーい」
「いいですよ、ギー」



 扉が開いて、金庫がお目見えした。お札クッキーはこの中だ。金庫からクッキーを取り出すと……



 割れてるじゃないか!

 何と、10枚中3枚が割れていた。打率3割の高確率だ。端が薄いから、衝撃に弱いのだろう。枚数は減らしてもいいから、もっと厚みを増して、強度を高めるべきではないか。
 でもまあ、味はよかった。そして、「他人様にあげられないから、私が全部食べちゃおう」という口実もできた。7枚は無事なので、完全なこじつけである。おすそ分けは貨幣焼にすればいいのだ。あったまいー!
 日銀の旧館は、上空から見ると「円」という文字に見えるそうだ。


   (wikipediaより)
 
 ここで一句。

 日銀の  エンタメ性は  二重丸

 楽しませていただきました!


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コメント (10)
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