これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

オジジの喜寿のお祝いに

2015年06月11日 21時20分14秒 | エッセイ
 今月末で父が77歳になる。
「喜寿のお祝いどうする?」
 姉から相談を受けたのが4月だった。両親は那須塩原に住んでいるので、すっかり出不精になった父のために、みんなでお祝いを持って押しかけようと思ったのだが……。
「お母さんは都内に行きたいって言ってる」
 繁華街が恋しい母は、何かと口実を作って遠出したいようだ。ならば、親族みんなが集まりやすい池袋で食事をすることにした。
「ホテルメトロポリタンだったら社割が利くから、そこでどう?」
「いいよ~」
 姉が花、私が記念品を用意することにした。
「これがいいかも」



 富士山の椀やぐい飲み、箸のセットが気に入り、包んでもらう。ちゃんと使ってくれればいいのだが、貧乏性の母は、いただきものを大事に大事にしまっておくことが多い。今度遊びに行ったら、戸棚をチェックしなくては。
「こんにちは~」
「こんにちは」
 フォーマルな場とあって、甥と姪は制服で来たようだ。しかし、母はTシャツ、父は作業着である。年をとると、オシャレをするのが面倒になるのだろうか。
 まあよい。
「喜寿、おめでとう!」
 シャンパンで乾杯し、料理に舌鼓を打つ。
 先付が運ばれてきた。ウニが舌の上でとろけて、幸せな気分になった。



 前菜。蛸柔煮の歯ごたえを楽しみ、おかわりが欲しくなった。



 さざえ沢煮椀。貝類は総じて好きである。貝殻を傾けてお椀に汁を注ぐと、絶品のお吸い物となる。



 造り。氷の屋根が涼感を高める。
 


 和牛フィレステーキ。焼けた石の上に載せると、肉片が「ジュッ」と小さな悲鳴を上げて、身をよじる。



 ミディアムになったところで「いただきます」。



 デザートは、あんみつ、バニラアイスであった。



「美味しかった~」
 食後は、みんなで記念写真を撮った。姉はアルコールで童心に返ったらしく、母の頭にツノを作っていた。



 あとは、まっすぐ帰るはずだったのだが……。
「コーヒー飲みたい」
 まだ遊びたかったのか、母が駄々をこねはじめた。
「じゃあ、ロビーのラウンジに行こう」
 しかし、父は家でくつろぎたかったようだ。おかわりをもらう母を横目に、「そろそろ帰ろうや」などと落ち着かない。母の食欲が満たされたところで、ようやくお開きとなった。
「今日はありがとうございました」
 父も母も、かしこまって頭を深々と下げる。記念品の紙袋を、大事そうに持っているところがうれしい。
 4年後には、母が喜寿を迎える。
 今度は、食後のコーヒーもつけてもらおう。


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コメント (10)
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