これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

秘密のから揚げ

2014年12月04日 22時04分32秒 | エッセイ
 久しぶりに、弁当のおかずを鶏のから揚げにしようと思った。いつもは網焼きにして、余分な脂を落とすのだが、やたらと忙しいせいか、こってりしたものが食べたくなったのだ。
 私が好きなのは、醤油に酒、しょうが、にんにくを加えたタレで、味つけをしたから揚げだ。しかし、その夜は眠くて、「明日の朝、塩こしょうをすればいいや」と簡単に考え、ひと口大に切ったところで寝てしまった。
 翌朝、眠い目を無理やり開き、冷蔵庫から鶏肉を出す。ビニール袋に小麦粉を入れ、肉に衣をつけたら、熱した油でカラッと揚げる。寝ぼけたまま料理をして、火事になったら大変だ。火の扱いには十分気をつかう。
 料理が終わり、油の始末をしたところで気がついた。

 あれ、アタシ、鶏に塩こしょうをしたかしら……。

 記憶にない。ドキドキしながら、ひとつ味見してみると、見事に塩気ゼロである。これはまずった。
 面倒くさがらずに、醤油ベースで味つけをすればよかった。途中で放り出し、さっさと寝たからこういう失敗をしたのだ。
 しかし、今になって後悔しても始まらない。どうにか急場をしのがなければ。
 ソースをかけてみたら? と頭の中でささやく声がする。
 ちょっと合わないかも……。
 砂糖と酢、ケチャップで甘酢を作り、かけたら美味しいと思うが、そんなことをしている時間はない。
 追い詰められてひらめいたのは、フライドポテト方式だ。から揚げの上から、塩とこしょうをかけてみた。少なくとも、何もしないよりはいいだろう。
 6時間後に、お昼の時間がやってきた。弁当箱のフタが、やけに重く感じられる。「えいやっ」と開けると、味気のないから揚げが、6個並んで食べられるのを待っていた。全部に味がなかったら、午後はパワーダウンして、仕事に支障が出そうだ。
 中でも、一番小さなものを選び、ゆっくり箸でつまみ上げてみる。外から見ると、特に変わったところはない。
 意を決して口に入れると、意外や意外、ちゃんと塩気が伝わってきた。こしょうも利いている。弁当箱に入れていた6時間で、塩こしょうが肉に浸透したらしい。

 美味しい~!

 かくして、私は夜まで元気に働くことができたのであった。
 めでたし、めでたし。
 帰りにファミリーマートに寄ったら、2種のからあげが売られていた。



 買ったことないけど、しょうゆがいいな!


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コメント (10)
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