これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

小指を守れ

2014年06月26日 19時08分24秒 | エッセイ
 まだ高校生だったとき、友人が乗用車に足の小指を轢かれた。
「骨が折れちゃって、しばらくは体育ができないよ」
 鈍くさい私ならわかるが、体操部で運動神経のいい彼女が轢かれるとは驚きだった。
 しかし、担任の若造にはまた別の意見があった。
「昨日、このクラスで、車に足を轢かれた人がいました。車も悪いけれど、轢かれた側にも問題があったのかもしれません。みなさんも、気をつけて下さい」
 これには彼女もキレた。
「は? アタシが悪いっての? ふざけんな、バカ!」
「キ、キミ、ななな、何てことを言うんだ!」
 思わぬ反撃に担任はひるみ、舌がもつれて上手くしゃべれない。
「今のは先生が悪いと思いま~す」
「そうだそうだ」
 多数の生徒に反抗され、担任は逃げるように教室を出て行った。たとえ、生徒に落ち度があったにせよ、責めるような言い方をせず、角が立たないようにすればよかったのだ。
 あれから長い年月が過ぎたが、同じ目にあった同僚がいる。
 スキーのインストラクターの資格を持っているスズカさんが、びっこを引き引き歩いていた。
「足、どうかしたんですか?」
「満員電車で踏まれたの。ミュールから見えてる小指に、サラリーマンの靴がもろ直撃よ」
「あらまあ……」
「悲鳴を上げるほど痛かったのに、その人は『大げさだ』とか言って、電車から降りちゃったのよ」
「ひどッ」
 翌日になったら、ますます痛みが強まったそうだ。整形外科を受診すると「骨折しています」と言われたとか。人の足も、乗用車も、同じくらいの破壊力があるらしい。
 実は私も、サンダルを履いて満員電車に乗っているが、安全面を考えたら、オランダ製の木靴でも履いたほうがいいのかもしれない。



 気をつけようっと……。

 だが、娘がこんなミュールを買ってきた。



 満員電車で履いたらいかんぜよ。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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