これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2013 鴻巣花火大会

2013年10月13日 20時26分04秒 | エッセイ
 私は埼玉県出身である。
 郷土愛が手伝って、埼玉県のイベントには参加したくなる。
「次の土曜日は、鴻巣の花火がありますよ。今年は四尺玉も上がるので、すごいですよ」
 同僚からそう聞き、行ってみたくなった。
 しかし、鴻巣は熊谷の手前だから、都内からだとかなり遠い。どうせならと、埼玉に住んでいる高校時代の友達2人に声を掛けてみた。
「えっ、鴻巣で花火大会やるの? 知らなかった」
「アタシも知らなかった」
 さほど有名ではないようだが、四尺玉に惹かれ、彼女たちも来るという。現地で落ち合うことにした。
 10月12日。打ち上げ開始は6時半からだ。観覧場所までは駅から20分ほどだが、改札の大混雑で足止めを食らい、トイレの行列に並び、すっかり遅くなった。

 ドーン、ドドーン、バリバリバリバリ……

 轟音がとどろき、すでに始まったようだ。
 角を曲がり、民家が切れたところで、花火が大きく見えた。



「おおーっ!」
 どこにでもついてくる高2の娘が、歓声を上げる。打ち上げ場所から近いのか、隅田川より大きく見える気がした。
「もう疲れた。その辺で座って見ちゃおうよ」
「それもそうね」
 民家に阻まれ、低い位置の花火は見えないが、河川敷まで行く気力がない。私たちは、駅から5分ほどの路地で立ち止まり、花火を眺めた。



「へー、すごいじゃん」
 今年の隅田川は30分で終わったから、穴埋めする気持ちで見ていたのだが、こちらもなかなかのものである。



 人魂のような光が、ふらふらふらーっと天に昇っていく。これが上空にたどり着くと、大きな花を咲かせるのだ。





 同じことを考える人も多く、路地にはたくさん人が集まってきた。
 誰もが空とにらめっこし、人魂が上がるとカメラを構えていた。



 彩の国さいたま、を代表するように、鴻巣の花火は色鮮やかだ。



 人魂が4つも5つも同時に上がり、花の競演も見事である。





 1時間ほどして、友人2人が合流した。



「鴻巣の花火って初めてだけど、いいねこれ」



「写真撮らなきゃ」



 彼女たちもスマホを取り出し、熱心に撮影し始めた。



 半分ほど見たら帰る人もいるようで、会場から駅に戻る人波ができている。これからが本番なのにと、不思議に思った。



 8時15分あたりから、いよいよクライマックスだ。
 無数の人魂が上がっては開き、上がっては開きを繰り返す。



「うわぁ~!!」
 百花繚乱、豪華絢爛、などの四字熟語が浮かんでくる。これでもか、これでもかと連発されたお花畑で、空は昼間のように明るい。これは、隅田川も真っ青の迫力である。



 最後に、ひときわ大きな花火が、尋常ではない輝きを放ち、力強い軌跡を描いていった。



 放送は聞こえないが、これがきっと四尺玉なのだろう。
 花火大会のラストを飾るのにふさわしい、大物の登場であった。
「はー」
「はー」
 友人も娘も、しばらく言葉が出てこない。
 圧巻の幕切れに、私の魂まで上がってしまったようだった。
「……よかったね」
「うん、よかった」
 ようやく口がきけるようになり、4人で駅に向かう。
 来年は、荒川まで行かねばと誓った。
 埼玉県出身でよかったなぁ。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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