12月25日に生まれた友達がいた。
「クリスマスと一緒にされちゃうから、誕生日なのに損した気分」
彼女は毎年、そうボヤいていた。
夫も、彼女の気持ちがよお~くわかるに違いない。
今日、6月16日は彼の誕生日だが、父の日と重なっているのだから。
「今年はプレゼントなしってわけにいかないだろうな……」
私は頭の電卓を叩いて考える。3月の結婚記念日には、ダイヤのネックレスをもらったから、何かあげるべきだろう。もらいっぱなしというのも気が引ける。
そうだ、ポロシャツにしよう!
実は、先日夫が、ギョッとするような柄のポロシャツを着ていた。
色の組み合わせがおかしいのではないか? 少なくとも、私の美的感覚では受け入れがたい。しかも、牛のような体型をしている夫にはまったく似合わないので、着ないでほしいと思った。
別のポロシャツをプレゼントすればよいのだ。
だが、デパートに足を運び、私は仰天する。
「父の日のギフトにポロシャツはいかがですか~? 本日に限り20%引きです!」
「本日父の日で~す! ポロシャツはいかがでしょう」
紳士服売り場では、どの店でもポロシャツセールをしているではないか。おそらく、父の日といえばこれなのだ。
「パパ、どれがいい?」
「うーん、じゃあこれにしようかな」
家族と一緒に来ていた父親が、ニコニコしながら商品を選んでいた。ポロシャツ以外のものが欲しいとは思わないらしい。母の日とは大違いだ。
呆然としている場合ではない。私も選ばねば。
牛にも似合う一枚を選んでみた。
しかし、家には思わぬ敵がいた。
「パパ、誕生日と父の日おめでとう~!」
私がプレゼントを渡すと、娘も茶色の袋を取り出したのだ。
「ミキからもプレゼントだよ。お父さん、おめでとう」
「あ、ありがとう」
まさか、娘がプレゼントを買っていたとは。
「池袋で2時間半もかけて選んだんだよ」
こ、これは強敵だ! 私のポロシャツなんぞ、かすんでしまうかもしれない。
包みを開けると、中に入っていたのは帽子だった。
「へー」
これは結構なヒットだ。夫は外出するとき、たいてい帽子をかぶっている。そろそろ、くたびれてきたところだった。よく観察していると感心した。
「ねえ、ちょっと……。このポロに、この帽子、ピッタリじゃない?」
何の打ち合わせもしていないのに、うまくコーディネートできていることに気づいた。
「ホントだ、さすがはミキのお母さんだね」
夫は多くを語らなかったけれど、さっそくポロシャツに袖を通し、帽子をかぶって鏡を見ていた。
誕生日と父の日が重なっても、決して損をしない。
むしろ、喜びが2倍になるのかも?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「クリスマスと一緒にされちゃうから、誕生日なのに損した気分」
彼女は毎年、そうボヤいていた。
夫も、彼女の気持ちがよお~くわかるに違いない。
今日、6月16日は彼の誕生日だが、父の日と重なっているのだから。
「今年はプレゼントなしってわけにいかないだろうな……」
私は頭の電卓を叩いて考える。3月の結婚記念日には、ダイヤのネックレスをもらったから、何かあげるべきだろう。もらいっぱなしというのも気が引ける。
そうだ、ポロシャツにしよう!
実は、先日夫が、ギョッとするような柄のポロシャツを着ていた。
色の組み合わせがおかしいのではないか? 少なくとも、私の美的感覚では受け入れがたい。しかも、牛のような体型をしている夫にはまったく似合わないので、着ないでほしいと思った。
別のポロシャツをプレゼントすればよいのだ。
だが、デパートに足を運び、私は仰天する。
「父の日のギフトにポロシャツはいかがですか~? 本日に限り20%引きです!」
「本日父の日で~す! ポロシャツはいかがでしょう」
紳士服売り場では、どの店でもポロシャツセールをしているではないか。おそらく、父の日といえばこれなのだ。
「パパ、どれがいい?」
「うーん、じゃあこれにしようかな」
家族と一緒に来ていた父親が、ニコニコしながら商品を選んでいた。ポロシャツ以外のものが欲しいとは思わないらしい。母の日とは大違いだ。
呆然としている場合ではない。私も選ばねば。
牛にも似合う一枚を選んでみた。
しかし、家には思わぬ敵がいた。
「パパ、誕生日と父の日おめでとう~!」
私がプレゼントを渡すと、娘も茶色の袋を取り出したのだ。
「ミキからもプレゼントだよ。お父さん、おめでとう」
「あ、ありがとう」
まさか、娘がプレゼントを買っていたとは。
「池袋で2時間半もかけて選んだんだよ」
こ、これは強敵だ! 私のポロシャツなんぞ、かすんでしまうかもしれない。
包みを開けると、中に入っていたのは帽子だった。
「へー」
これは結構なヒットだ。夫は外出するとき、たいてい帽子をかぶっている。そろそろ、くたびれてきたところだった。よく観察していると感心した。
「ねえ、ちょっと……。このポロに、この帽子、ピッタリじゃない?」
何の打ち合わせもしていないのに、うまくコーディネートできていることに気づいた。
「ホントだ、さすがはミキのお母さんだね」
夫は多くを語らなかったけれど、さっそくポロシャツに袖を通し、帽子をかぶって鏡を見ていた。
誕生日と父の日が重なっても、決して損をしない。
むしろ、喜びが2倍になるのかも?
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