これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

変な呼び方

2013年06月13日 21時34分12秒 | エッセイ
 前校長は、「生徒の人権」に敏感な人だった。
「先生方、生徒を呼び捨てにしているのであれば、それは人権問題です」
 くん、さん付けで呼ぶ先生のほうが少ないかもしれない。私もつけずに呼ぶほうだが、意識を変えなければという気がした。
 一方、私立のある高校では、「男女を問わず、生徒には『さん』付けで呼ぶよう指導を受けている」という。男子には『くん』というのも許されない。現に、社会では男性にも『さん』付けとなるから、そちらのほうが大人扱いをしていると感じる。個人的には好感が持てた。
 今年は、担任を持っていることもあり、生徒を「○○さん」「△△くん」と呼ぶよう努力している。
 だが、私語の多い生徒や、問題を起こす生徒にはつい、「○○!」「××!」と呼び捨てとなる。敬称をつけて注意すると迫力がないので、「ここは例外」と割り切る。メリハリをつける場面も必要であろう。
 私は授業中、なるべくたくさんの生徒を指名する。35人の生徒全員が当たることもあるくらいだ。
 昨日も、端から順番に生徒に答えさせていた。
「じゃあ、次は新井さん」
「石川くん」
 順調に進行し、授業の残り時間が10分となったときだった。中本という生徒の番で、なぜか舌がもつれ、思いがけない呼び方となった。
「次は、中本様」
 言った瞬間、しまったと思ったが、やり直すことはできない。
 一瞬、間ができる。
 呆然としている当人を差し置いて、周りの生徒がドッと笑った。
「中本様だって~!」
「あはははは」
 私も笑うしかなかった。
「やだね、様にしちゃったよ」
 ウケを狙って、さらに続ける。
「じゃあ、今度は中山様」
「はいっ」
 集中力が切れそうな時間帯に、やたらと盛り上がり、授業は終わった。
 同じネタは、もう使えないけどね……。


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コメント (10)
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