これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

宇都宮お見舞いツアー(1)

2013年06月02日 20時15分04秒 | エッセイ
 母が脊柱管狭窄症の手術を受けた。
 10年前に乗馬を習っていたとき、落馬したことがあったが、そのときに脊柱管がつぶれて神経を圧迫したのだという。左足の膝から下が痺れ、感覚がないと言っていた。手術で脊柱管を広げれば、徐々に感覚が戻ってくるらしい。
 問題は、入院先が宇都宮で、少々遠いというところである。早速、姉と妹に連絡をとった。
「2週間入院する予定なんでしょ。一度くらいは行ってあげないとね」
「どうせなら、一緒に行かない?」
「土曜日ならアタシは大丈夫。都合はどう?」
「こっちもオーケー」
 というわけで、めでたく3人の都合がついた。
 それぞれ住んでいる場所が違うので、2時に宇都宮駅で待ち合わせをする。



 なかなか立派な駅だ。作りが大宮駅に似ている。2人はすでに来ていた。
「バスターミナルの先に、餃子の像があるんだよ」
「何だ、それ~!」
 姉の言葉に、私も妹も笑った。宇都宮といえば、餃子で有名な街だ。はたして、どんなものかと見てみたら、餃子のヴィーナスであった。



「うーん、微妙……」
 隣に鎮座しているカエルは、もっと微妙だった。何を表しているのか、説明が見あたらなかった。



「こんにちは」
「お邪魔します」
 病院に着くと、母が喜んでくれた。だが、父は全然顔を見せず、家に引きこもっているという。
「洗濯はランドリーがあるし、いなくても全然困らないよ」
 母は強がっているが、いざというとき役に立たないのでは不安だ。何て使えない男なのかと呆れた。
「半年くらいは、かがんじゃいけないんだって。今も、まだ座れないんだよ」
 食事には何の制限もないが、行動にはかなりの制限があるようだ。せっかく広げた脊柱管を保護するため、負荷のかかる動作は避けなければならない。母はしばらく、手術後の苦労談を披露していた。
 あっという間に50分ほど経過する。お見舞いは長居するものではない。
「じゃあ、そろそろ」
「お大事にね」
 時間にゆとりはあったが、個室ではないので、頃合いを見て引き上げる。
「駅でお茶していこうか」
「いいね」
 途中、重要文化財の旧篠原家住宅なる建物があった。



 駅前のファミレスに入ると、待ちきれなかったというように、姉がワインを注文する。
「グラスは3つで」
 おや、お茶ではなかったのか??
 成り行きで、私も飲む破目になった。結局、1時間半くらいいただろうか。夕飯の支度もあるし、いつまでものんびり飲み食いしてはいられない。
「おみやげ買って帰ろうよ」
「やっぱり餃子かな」
 考えることは同じである。夕飯には、この餃子を買ってみた。



 家に着いてから調理すると、こんがりいい色に焼けた。



 そして、ごまだれが絶品である。



「マジうまいわ」
「スーパーのと違う」
 家族も絶賛するこのうまさ。
 感動~~!!
「餃子せんべいも買ってきたんだよ」



 こちらのほうも、しっかり餃子の味に仕立てられている。



「美味し~い」
 お腹いっぱいになったところで、高2の娘が無謀なことを言い出した。
「来週は水曜日が休みだから、ミキもおばあちゃんのお見舞いに行ってくる」
「ええっ!?」
 大宮までなら、彼女は行ったことがあるが、無事、宇都宮にたどり着けるのだろうか。
 心配しつつ、ちゃっかり餃子を頼んじゃったりして……。


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コメント (12)
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