これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

30年前のサイン帳

2013年03月07日 21時07分58秒 | エッセイ
 いよいよ、卒業式のシーズンである。
 私の勤務校では来週となっているが、3月早々に行われる高校も多い。ご近所の某私立女子高は、曜日に関係なく、毎年3月3日に実施しているらしい。
 今まで、何度も卒業してきたが、一番名残惜しく感じたのは、中学の卒業式だった。
「サイン帳お願いね」
 3月になると、クラス内でサイン帳が回ってくる。クラスメイトに一言書いてもらい、記念に残すのだ。住所、氏名、電話番号、誕生日、血液型、趣味、好きなタレント、好きな食べ物、メッセージなどが主な記載項目となっていた。女子はマメだから、2ページ書くのが普通だった。
 私も自分の分も回し、友達に書いてもらった。今でも、手元に残してある。



 当時はキティちゃんが大好きだったので、なぜこれを選んだのかわかる気がする。
 背表紙の黄ばみが、30年という長い月日の経過を物語る。



 中を開けると、女の子たちの顔が浮かんできた。八重歯の大きいトヨミ、おでこの広いシズカ、パンダみたいに可愛いナオミ、栗色の髪のチエ……。結構おぼえているものだ。
 少女らしい丸文字が主流だが、私は人に流されないケイコの、豪快ななぐり書きが好きだった。彼女は、つるんでトイレに行くこともなく、堂々と一人で行動できる文化を持っていて、しばしば尊敬していたのだ。今はどうしているのだろう。
 それから、音楽の実技テストでただ一人、「オー・ソレ・ミオ」をイタリア語で歌ったレイコも、個性豊かで楽しかった。もしかしたら、今は外国で暮らしているかもしれない。
 ヒロミのところで、ページをめくる手が止まる。この子は、意地が悪くて嫌いだった。でも、それを悟られるのもまずいと思い、書いてもらったのだ。みんな、そうだった。いつの時代でも、女の子は周りに気をつかう。
 なぜか、こんなメッセージが書かれている。



「これからも、レズろうね~ なーんちゃって」

 …………。

 他のページにも、「レズっこ砂希」だの、「レズごっこ楽しかったね」などと書いてある。
 ほとんど覚えていないのだが、そういう遊びが流行っていたらしい。
 もちろん、みんなノーマルだ。しかし、これだけを見たら、決してそうは思わないだろう。
 もし、私が死んだら、遺族からどんな扱いを受けるのか、心配になってきた。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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