これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ネタバレ少々「レ・ミゼラブル」

2013年01月24日 20時59分32秒 | エッセイ
 映画「レ・ミゼラブル」を観た。



 実家には、児童文学書の『ああ無情』があったので、あらすじは知っていたが、それでも感動した。

 たった一つのパンを盗んだ罪で、19年間投獄されたジャン・バルジャンは、ようやく仮釈放となり出所する。しかし、前科者に世間は冷たい。食べ物も家もなく、困り果てた末、教会にひと晩泊めてもらう。ところが、この男、こともあろうに教会の銀器をズタ袋に詰め込み、夜明け前に立ち去るのだ。
 そして、逃亡中、見回りの警官に見つかり、御用となる。バルジャンを連行し、教会に入った警官たちは、ズタ袋から銀器を取り出して、司教にあらためさせた。
 しかし、司教からは、耳を疑うような言葉が飛び出した。
「これは盗まれたのではなく、彼にあげたのです」
 しかも「燭台を忘れていますよ」と付け加え、さらに高価なものを持たせる。警官もバルジャンも、思いがけない展開に目を白黒させた。以来、バルジャンは自分を恥じ、まっとうな人間に変わっていく。

 私は、この映画のテーマが「許し」であると感じた。中盤でも終盤でも、許されることによって、誰かの人生が変わっていく。他者を踏みつけ、自分の幸せを追求しがちな現代人には、とりわけ観てもらいたい。私もときどき、人を非難したり、陰口を叩いたりすることがあるので反省する。大空のような、広い心を持ちたいものだ。
 作品賞をはじめとして、アカデミー賞に8部門でノミネートされたというから、吉報が待ち遠しい。
 実は、私はマダム・テナルディエ役で出演した、ヘレナ・ボナム=カーターが好きなのだ。オスカーへのノミネートはないが、スクリーンに登場すると、目を奪われる存在感がある。
 最初に彼女を見たのは、メル・ギブソン主演の「ハムレット」だ。清楚なオフィーリア役で登場し、ガラス細工のようなはかない姫君を好演していた。



 ところが、しばらくぶりに「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」でお目にかかったときには、オフィーリアとは真逆の悪役、ベラトリックス・レストレンジ役で出演しているではないか。ベラトリックスは殺戮を好み、けたたましい哄笑を轟かせ、狂犬のごとく攻撃的な魔女である。繊細さのかけらもなく、本当はこういう人なのかもしれないと思わせるほどのイカれぶり。



 しびれた……。
 今回は、イカサマ宿屋の、手癖の悪いおかみである。



 ベラトリックスの残虐さはどこへやら、コメディタッチのせこい稼ぎで笑いをとる役だ。何にでもなり切る女優なのだと、つくづく感心する。
 映画は楽しい。
 3月まで有効の割引券を何枚かもらったので、次は「リンカーン」でも観に行きたい。


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コメント (18)
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