これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

観てよかった☆「ツナグ」

2012年11月01日 20時48分59秒 | エッセイ
※ 一部ネタバレが含まれていることをご了承ください。

 映画「ツナグ」を観てきた。
 きっかけは口コミだ。「すごく感動した」と言う人が多かったので、どんなものかと劇場へ足を運んでみたのだ。


※ 写真はパンフレットから

 その日は、土曜日なのに仕事があり、どうにか19時からの回にすべり込んだ。
「ツナグ」とは、たった一度だけ、死んだ人と会わせてくれる案内人である。予備知識はなかったけれど、主役の松坂桃李くんがわかりやすく説明してくれた。
 依頼人の希望を受けたら、ツナグが死者を呼び出し、面談の打診をする。死者に会えるのは、生涯に一度、一人だけ。死者が面談を拒否しても、1回とカウントされる。死者が面談を承諾したら、月の出る夜の夜明けまで、再会することができる。
 松坂くんは、まだツナグ見習いという立場だ。本物のツナグは、樹木希林演じる祖母なのだが、高齢のため、ツナグの役割を彼にバトンタッチしたがっている。松坂くんは、仕事を通して、ツナグを受け継ぐかどうか考えるという設定であった。いわば、体験中といったところか。
 依頼人は、死んだ母親と会いたい中年男・畠田、事故死した親友と再会したい女子高生・嵐、失踪した婚約者が忘れられないサラリーマン・土谷の3名である。死者への思いは三人三様で、それぞれの人生ドラマがある。
 やたらと腹が立ったのは、佐藤隆太演じる土谷だ。面会の段取りが整ったというのに、こともあろうに肝心の土谷が来ない。いざとなって尻込みし、逃げ出したのだ。
 私は、現実逃避するやつが大嫌いである。逃げて何が解決できるのか。自分が傷つくことを恐れていては、何も解決できない。土谷が雨の中をフラフラとさまようシーンでは、苛立ちMAXとなり、「かーっ!!」と一喝したくなった。人生は、ガチでぶつかっていかねばならぬ。
 イライラする場面はあったが、まったく退屈しない映画だった。すっかり引き込まれ、上映時間の129分が瞬く間に過ぎていく。ラストもスッキリしていたし、終わったあとは得した気分になれる。夢中になって観ていたら、同じ姿勢を続けたせいか、次の日の肩こりが半端なかった。それでも、ぜひ観てほしい映画である。
 ふと、私には、ツナグを介して会いたい人がいるだろうかと考えた。
 よーく考えた。頭の引き出しを、何度もひっくり返して探してみた。
 でも、いない。
 きっと、身近な家族との別れを経験していないからだ。
 子供のとき、母とケンカすると、その夜は必ず母が死ぬ夢を見た。葬式で、「まだ謝っていないのに、どうしたらいいんだ」と深く深く後悔して目が覚める。私は、夢であったことに感謝し、生きているうちにと素直に謝ることができた。

 死者との再会もドラマティックだけど、相手が生きているうちにできることをしなくては。

 そんなことを考えさせてくれる映画だった。


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コメント (20)
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