これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

その皮を食べられますか?

2012年07月26日 20時57分40秒 | エッセイ
「一物全体」という言葉をご存じだろうか。これは、いわゆる「丸ごと食」のことで、野菜なら皮や葉も残さずに、魚なら骨や頭も含めて全てを食べるという意味だ。
 マクロビオティックのレストランに行ったとき、初めてその意味を知った。食材は、丸ごとでバランスがとれているため、全てを摂ることで体のバランスも整えられるというわけだ。
 以来、野菜や果物の皮むきをやめた。大根や人参、蕪などは、何の抵抗もなく受け入れられる。南瓜の硬い皮も、加熱すれば軟らかくなり問題ない。りんごや桃も、しっかり洗ってガブリといただいている。
 問題はキウイである。あの毛深い皮を、口に入れるには勇気がいる。ゴールデンキウイならともかく、グリーンキウイは恐ろしくて、一度も立ち向かったことがない。
 先日は、種なし巨峰に挑戦した。



 私はワインが好きなので、葡萄にも深い愛情を感じている。一粒もいで皮を噛むと、瑞々しい果肉に加えて、ワインに似た果汁が舌先に広がってきた。
 ところが、そのあとがいけない。幸せな気分になれたのは一瞬だけで、皮の苦みが背後から飛びかかってきた。いきなり、腰を蹴られたような衝撃が口に走る。

 し、渋い!

 梅干しみたいに口がすぼまり、シワシワになった気がする。しかし、ここで挫けてはならない。私は、赤ワインと白ワインの違いを思い浮かべた。赤ワインには果皮や果肉が入っているが、白ワインは果汁だけで作る。そして、私が好きなのは赤ワインなのだから、ここで皮を食べないことは許されない。なんとも支離滅裂な論理で自分を説得し、どうにか皮を飲み込んだ。
 十粒ほど食べると、口に渋みの層ができ、歯医者の帰りのように味覚が麻痺してきた。

 もう限界だ……。

 巨峰の皮を、なめていたと反省した。
 この前買った雑誌には、若返りのカリスマ医師、南雲吉則氏が載っていた。中には、目を疑うような発言が書かれている。
「私はミカンでも、栄養豊富な皮ごと食べます」
 記事には、縦二つに切ったヘタつきミカンの画像が添えられていた。
 
 まさか、ここまでするとは!

 何の疑問も持たず、私は「ミカンは例外だろう」と考えていた。つくづく、自分の甘さを痛感する。
 最近では、メロンが店頭に並ぶようになったが、「メロンでも皮ごと食べます」などと言われたらどうしたものか。
 もうついていく自信はない……。


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コメント (18)
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