これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

すべり込み父の日

2012年06月17日 17時46分43秒 | エッセイ
 12月24日、25日に生まれた人は気の毒である。誕生日のお祝いが、クリスマスと一緒にされてしまうから。
 誕生日が、5月8日から14日までのお母さんも可哀想だ。母の日と一緒にされるかもしれないから。
 そして、6月15日から21日までに生まれたお父さんも然り……。
 ちなみに、うちの夫の誕生日は6月16日である。今年の父の日は17日の今日。1日しか違わないので、今年は一度ですませることにした。
 まずは、本人に都合を聞いてみる。
「16日と17日、どっちでお祝いする?」
「どっちでもいい」
「何が食べたい?」
「何でもいい」
「何か欲しいプレゼントある?」
「ない」
 ……まったく、張り合いのない夫である。高1の娘も呆れていた。
「別に、レストラン行かなくてもいいんじゃないの? お父さん、どうでもよさそう」
「なんかね」
「去年あげたお財布も、全然使ってないじゃん。もうあげなくていいよ」
「そうしようか」
 家中に、やる気のなさが伝染する。とどめを刺すように、夫あての電話がかかってきた。
「ママ、今訃報があったから、16日はお通夜に行ってくる。夕飯はいらない」
「あっそ」
 誕生日という特別な日が、普通の日に格下げされた決定的な瞬間であった。

 もう知らん……。

 今日は父の日だったが、私は朝イチで美容院に行き、特別なことをする気がなかった。
 しかし、どこぞの父親は、娘のお手製のチーズケーキを、ホールでもらったと聞く。おそらくデレデレと顔が緩み、鼻の下を伸ばしたに違いない。
 駅ビルに行けば、「お父さんありがとう」の広告がいくつも並び、父の日商戦に心を動かされた。

 よしっ、今日は食事を豪華にするぞ!

 お昼はシーフードグラタンだ。イカ、エビ、アサリ、ホタテ、マッシュルームをカゴに入れる。夜はヒレステーキにしようと考え、壱岐牛を買う。デザートは、フルーツゼリー、ケーキ、シュークリームなど、夫が好きそうなものをあれこれ買い込んだ。
 そして、これが唯一のプレゼント、バースデーカードである。



 私が書いても夫は喜ばないので、娘を呼ぶ。
「ミキ、お父さんに何か書いてあげてよ」
「えっ、何て?」
「お誕生日おめでとうと、父の日ありがとうでいいんじゃない」
「そっか。あとは家事がんばってねとか」
 やれやれ。
 すべり込みで、父の日に間に合った。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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