これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ヘンテコな依存症

2012年04月05日 20時20分41秒 | エッセイ
 何かを買って帰ろうと思っていたのだが、その何かが出てこない。
「何だったかな、ブリーズライト? 目薬?」
 いまひとつ確信が持てないまま、ドラッグストアに寄った。会計をすませたあとも、何かが足りない気がする。でも、やっぱり思い出せない。モヤモヤして、どうも気分が悪い。
 お風呂に入ろうとして、服を脱いだときにわかった。
「そうだ、乾電池!!」
 私は入浴前に、体重を測る習慣がある。しかし、昨日は計測後に、電池切れを示す「Lo」の文字が出てしまった。買い置きを探すと、単三電池が4個必要なところ、1個しか残っていない。ようやく、「明日買ってこよう」と考えたことにたどり着いた。
 だが、時すでに遅し。スイッチを入れても、反応のない体脂肪計を前に、私のモヤモヤは最高潮に達した。



 ああーっ、測りたい!!

 電池がなくて、目の前の器具を使えぬもどかしさ。イライラして、地団太を踏みたくなる。採点した答案を、目の前で隠されたようなじれったさが我慢できない。体重を測らなければ、とても平常心には戻れそうになかった。
 アルコールやタバコに依存する人は珍しくないが、私の場合は体重計らしい。毎日、同じ時間に体重を測らないと、「太ったのではないか」と気になって気になって、落ち着かない。我ながら、ヘンテコな依存症だと思うが、それが現実である。
 そういえば、アナログな体重計もあったことを思い出す。結婚後すぐに買ったものだから、もう20年も経っている。脱衣所を探すと、タオルの下から、ほこりをかぶった体重計が顔を出した。



 16年前に妊娠したときは、1日に3回も4回もこれに乗って、体重管理に励んでいた。デジタルの体脂肪計をもらってからは、すっかりお役目を奪われてしまったが、今回は久々の出番だ。何といっても、電池のいらないところがいい。
 そこだけ色落ちしている、足の定位置に両足を載せる。白い目盛りがグルグルグルッと回り、見慣れた数字で止まった。どうやら、太ってはいないようだ。ようやく、私は落ち着きを取り戻し、お風呂に入ることができた。
 翌日、最優先で乾電池を買ったことはいうまでもない……。
 禁断症状が出てから、初めて依存症に気づいたわけだが、私だけではないだろう。
 あなたも、奇妙なものに依存していませんか?



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (15)
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