これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

春の水ようかん

2012年03月22日 21時14分36秒 | エッセイ
 お世話になった知人の家に、ご挨拶に行ってきた。
 本当は夏に行きたかったのだが、先方と日程が合わず、後回しにしていたら、年度末になってしまったのだ。
 手みやげに、先方が好きな水ようかんを買っておいたが、あれから半年以上経っている。はたして、賞味期限は大丈夫だろうか。包み紙を見ると、2012年5月と書いてある。長持ちするならセーフ。そそくさと、袋に入れて家を出た。
 水ようかんは、夏の季語のようなものだ。3月に持っていくにはちと早いが、相手が好きなのだから問題ない。
 しかし、10分も経つと、徐々に重みが増してくる。腕が疲れてきたせいだ。まるで、5kg入りの米袋をぶら下げているような重みである。男性ならともかく、女性が持ち歩くには向かない手みやげだ。今さらだが、今度から煎餅かクッキーにせねば。
 右手が痛くなってきたので、左手に持ち替えた。5分も経つとつらくなり、今度は左手から右手にパスをした。どっしりした水ようかんを左右交互に持ちながら、どうにか知人宅に着いた。
「こんにちは、笹木です。お邪魔します」
「いらっしゃい」
「少しですが、これ、みなさんで召し上がってください」
「あら、どうもありがとう」
 無事、水ようかんを渡したとき、私は心底ホッとした。務めを果たした達成感というより、厄介者を追い払った安堵感である。水ようかんは何も悪くない。ただ、重さが私の体力を超えていただけだ。
 知人と一時間ほど話し、頃合を見て、帰りの支度をする。
「長々と失礼しました」
「あ、待って。これ持って帰って」
 知人が、小さな紙袋を差し出した。外側に「梅花亭」と書かれている。おそらく、和菓子だろう。お礼に来たのに、逆にいただきものをするとは恐縮である。
「いえ、とんでもない」
「いいの、いいの」
 結局、断りきれず、袋を受け取った瞬間、どっぷりと後悔した。

 お、重い!!

 小さいからと安心していたら、実は、水ようかん並みに重かったのだ。
 行きも帰りも重い袋を持たされ、罰ゲームのような、トホホな一日となった。

 家で、和菓子を開けてみる。



 子福餅、梅もなか、三笠山の詰め合わせである。どれも餡がギッシリ詰まっており、重いはずだと納得した。
 特に、梅もなかは、餡がてんこ盛りになっている。



 甘すぎず、舌触りが滑らかで、とても美味しいもなかだった。
 子福餅も牛皮がモチモチしていてよかったし、三笠山は香ばしい外皮と、あざやかなうぐいす餡がマッチして、上品な味わいであった。
 感動的な美味しさに、前言を撤回する。

 罰ゲームどころか、これは賞品だった!!

 我ながら、現金なやつだと自覚する……。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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