これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

夢で逢えたら

2012年02月09日 21時39分12秒 | エッセイ
 変な夢を見た。職場で隣の席にいる、50代の独身女性が出てきて、しきりにあれこれ話しかけてくるのだ。
 この人は、おしゃべりが大好きで、話し出すと止まらない。一度、多数の教員が採点している部屋で止まらなくなり、けたたましさにたまりかね、「静かにしてください」と注意したことがある。結構、根に持つタイプのようで、それから一カ月は近寄ってこなかった。
 今は、普通に会話を交わすようになったが、必要に迫られたからであって、実のところは気を許していない。一輪車でバランスを取るような、危うい間柄だから、好きか嫌いかと聞かれたら、お互いに嫌いと答えるだろう。
 夢とはいえ、その彼女の相手をするのは不幸である。適当に聞き流し、あたりさわりのない相槌を入れ、話が終わるのを辛抱強く待っていた。
 そこで、ハッと目が覚めた。

 げっ、6時過ぎてる!!

 どうやら、5時20分にアラームが鳴ったあと、二度寝したらしい。大幅な寝坊に、私は焦った。
 朝食と歯みがきをカットして、始業ギリギリの電車に飛び込み、どうにか間に合った。冷や汗をかき、化粧がはげて、髪も乱れている。彼女のせいではないが、どうにも恨めしい。
「今日、夢に貴女が出てきて、しゃべっていたら寝坊しちゃった」などと笑い飛ばせばスッキリするのに、それができる相手ではない。
 ああ残念だ……。
 不思議なことに、彼女も朝から元気がなかった。口数が少なく、答案の山を抱えたまま、机に突っ伏して動かない。どうやら、具合が悪いようだ。普段は、殺しても死なない感じの彼女だが、強いストレスを受けると、体調を崩すことがある。

 もしかして、私も彼女の夢に出演しちゃった?

 どんな夢かを想像してみた。仲間と楽しくしゃべっているところに私がやってきて、冷ややかな声で「ちょっと黙ってもらえます?」などと言ったのかもしれない。
 まあ、考えすぎだろう。

 今日は、いつも通りの彼女だった。
 よく食べ、よくしゃべり、校内を元気に歩き回っていた。微妙な関係とはいえ、弱っている相手を見るのは忍びない。祝復活といったところである。
 放課後、校長室で会議があり、お菓子をもらった。
「いっぱいあるから、他の先生の分も持っていって」と促され、真っ先に彼女の顔が浮かぶ。部屋に帰って、煎餅とチョコレートをおすそ分けすると、喜んでもらえた。
 危うい一輪車から、パンクした自転車くらいには進展した気がする。



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コメント (14)
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