これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ピーターラビットな年末

2011年12月22日 21時46分21秒 | エッセイ
 先月、西武百貨店で買い物をしたら、「ピーターラビット展」の招待券をもらった。
 去りゆくウサギ年に思いをはせて、というわけではなく、日本語版出版40周年記念なのだそうな。
 今日は、たまたま時間があったので、「どうせタダだし」と覗きに行ってみた。

 ピーターラビットの作者は、ビアトリクス・ポターという女性である。
 子どものころから、あらゆる種類の小動物に興味を持ち、弟と鳥・こうもり・トカゲ・カエル・蛇などを飼っていたという。普通の女の子だったら、卒倒してしまいそうだ。それらを熱心にスケッチすることから、繊細で正確なタッチが生まれたのだろう。
 彼女の描く、柔らかな動物たちには、ノスタルジアをかき立てるものがある。自然を愛した絵本作家ならではの作品だ。
 1901年に、ポターが原稿を持って出版社を回ったとき、どこからも契約を結んでもらえなかった。結局、彼女は自費出版をしたのだが、翌1902年に、すべてに挿絵に色をつければ出版するという会社が登場する。この出版社の判断は正しい。ポターの作品は、淡い色が特徴である。原色などの強烈な色はなく、見る者を安心させる気がするのだ。
 絵本作家として、ポターが本格的に活動しはじめると、海外からも注目されるようになる。
 わが国では、1906(明治39)年に、日本農業雑誌に「お伽小説・悪戯な子兎」というタイトルで翻訳化されたのが最初だという。もっとも、当時は著作権という概念がなかったから、ポターに無断で掲載されたようだが……。
 驚いたのは、この雑誌がガラスケースに展示されていたことだ。しかも、シワやシミは見当たらず、ツヤツヤとして、まるで新品のようではないか。105年前のものとは思えぬ保存状態のよさに、私は度肝を抜かれた。
 その後は、「ピーターウサギ」というタイトルで、翻訳本が出回ることになる。

 ピーターウサギだって!!

 苦しいタイトルに噴き出しそうになったが、ひとりだったので我慢した。
 いっそのこと、ピーターも「ぴゐ太」などと、日本的な名前に変えればよかったのかもしれない。
 ピーターウサギのほうも、年代物の絵本や紙芝居などが勢ぞろいし、見ごたえ十分である。よくぞ、ここまで集めたものだと感心するばかりであった。
 展示が終わると、お約束のようにショップが待ち受けていた。
 私は、英語で書かれた絵本が欲しくなった。



 20種類ほどある中から、一番簡単そうなものを選び、お買い物バッグに入れる。
 娘がクリアファイルを使うので、これもバッグに加える。



「何ももらえなかった」と夫に泣かれてはかなわないので、バウムクーヘンを与えることにした。



 何だかんだで、いつも買いすぎてしまう。招待券をバラまいても、十分お釣りがくるに違いない。
 お会計をすると、さらにポストカードとビニールバッグをもらった。
 
 ビアトリクス・ポターは、1866年7月28日に生まれ、1943年12月22日に77歳で亡くなったらしい。

 68年前の今日じゃん!

 ポターが亡くなっても、彼女の生み出したキャラクターは生きている。
 作家冥利につきるとは、このことだろうか。
 そんなことを考えながら、私はそっと手を合わせた。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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