これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

味噌汁事情

2011年10月16日 21時00分08秒 | エッセイ
 最近、高知産の茄子が出回っている。
 栃木や群馬のものと違い、背丈が低くて太い。ずんぐりした姿が愛らしくて、思わず買ってきた。早速、味噌汁に入れてみる。
「なんだ、また茄子?」
 夫が、わざと聞こえるようにつぶやいている。「また」ということは、近い過去にも茄子の味噌汁があったということだ。昨日は、大根だったはずなのだが。
 首をかしげる私に、娘が耳打ちした。
「今朝、お父さんが作ったんだよ」
 我が家の朝食は、和食と洋食に分かれている。夫と娘は、ご飯と味噌汁、海苔、シラス、玉子焼きなどを好むが、私はパンと目玉焼きに決めている。和食党のやつらが、何を食べようと知ったことではない。
 だから、朝、夫と娘がいただいたものを、夜また食卓に並べてしまうということは、往々にしてある。普段は夫と意見が合わないのに、こういうときだけ一致するのが不思議だ……。
「へー、朝食べたの。ほー」
 男性の文句には、適当に相槌を打って、聞き流せばいいと、誰かに教わったことがある。
「オマエだって、4日連続でワカメの味噌汁を作ったことがあるじゃないかッ」と、全面対決の姿勢を見せてもよいが、たかだか味噌汁のことで衝突するのは大人気ない。
 茄子の話題は、それきりになった。

 栃木から新幹線通勤をしている同僚は、帰宅するや否や、夕食の準備にとりかかるそうだ。奥さんよりも帰りが早いので、2人の子どものために、お父さんは頑張っている。
「少しでも時間を節約するために、味噌汁の具は毎日同じなんです」
「へー、何にするんですか?」
「大根と油揚げです。日曜日には、一週間分準備して冷凍しておきます。あとは、お湯が沸いたら入れるだけですから」
「へええ、合理的ですね~」
 さすがに、男性の発想は違う。面白いなと思ったが、子どもの評価はまた違うようだ。
「僕は毎日必死なんですが、子どもたちは、土日に妻の作る食事のほうが美味しいと言います……」
 あらら。

 たかが味噌汁、されど味噌汁、といったところか。
 私が一番好きな具は小松菜だ。長ネギと溶き卵を加え、味噌ととけ合う、まろやかな味わいがいい。
 これぞ、日本人でよかったと思う瞬間である。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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