これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

電子レンジ依存症

2011年09月29日 21時26分47秒 | エッセイ
 我が家では、夕食のごはんを多めに炊いて、凍らせておく習慣がある。翌朝、電子レンジで解凍し、朝食やお弁当にするのだ。
 おとといも、チンして私のおにぎりや、娘の玉子かけごはんとなった。
 そのあと、夫も朝食をとろうとして、冷凍ごはんを電子レンジに入れた。ターンテーブルが回り、「ピー」という終了音も鳴ったのに、ごはんが温かくならない。
 どうやら、夫の番になったら、故障したらしい。運の悪い男である。
「しょうがないから、熱い味噌汁をかけて食べた……」
 夫は、よほど悲しかったようで、仕事中の私に愚痴メールを送ってきた。修理に来てくれるのは、2~3日後となるという。
 えらいことになったと慌てた。日々の生活で、どれだけ電子レンジに頼っているかを思い知らされる。直るまで、お米は朝炊くようにして、冷めたおかずも火にかけて温めるようにせねば。
 しかし、慣れないうちは、失敗がつきものである。
 朝食のパンを買うため、帰りにコンビニに寄った。「コロッケパンはこの前食べたし、ウインナーロールもちょっとなぁ」などと考えながら、ゴンドラとにらめっこをしていた。
 たまにはサンドイッチがいいかも、と思いついたのが間違いである。サンドイッチを通り越して、つい、好物のチーズバーガーに手が伸びた。
 我に返ったのは、レジで「ハンバーガーは温めますか」と聞かれたときだ。とたんに、電子レンジが使えないことを思い出した。まったく、習慣というのは恐ろしい。「バカだなぁ」としょげながら、私は翌朝用のチーズバーガーを持って家路についた。
 翌朝は寝坊した。ダッシュでお弁当を作ろうとしたら、肉を解凍していなかったことに気づいた。

 なんてこったい!!

 もう、お弁当は諦めようと思ったが、幸い、我が家は二世帯住宅だ。肉をつかんで1階の義母宅に押しかけ、「電子レンジを貸してくださ~い」と頼み込んだ。
 心の広い義母は、笑顔で「いいわよ、好きに使って」と答えた。実にありがたい。
 だが、2階にいると、電子レンジの終了音が聞こえない。肉の解凍は2分半だったが、そろそろかと思って見に行ったら、まだ1分しか経っていなかった。義母と一緒に待っているのも気まずいので、いったん2階に戻る。今度はちゃんと時計を見て、時間になってから階段を下りた。
 お弁当ができたら、次はチーズバーガーだ。こちらは40秒なので、義母と世間話をしながら終わるのを待つ。「ピー」と鳴ったら、礼を言ってまた戻る。
 ただでさえ時間がないというのに、朝っぱらから階段を4往復もしてしまった……。
 くたくたになって出勤すると、昼前に夫からメールが来た。
「やっと電子レンジが直りました! センサーが壊れていたそうです」
 私が大喜びしたのは、いうまでもない。

 なくなったとき、初めてありがたみのわかるものがある。
 電子レンジなどは、その代表格だろう。
 家族なども、いて当たり前だと思ってはいけないのだろうな……。
 テレビの前に陣取っている太った男を見て、ふとそんなことを考えた。



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コメント (14)
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