これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

グラタンの気持ち

2011年07月03日 17時35分49秒 | エッセイ
 昨日は、区内の公園で「なにやらフェスティバル」というイベントがあり、娘の所属する吹奏楽部が演奏するというから見に行った。
 しかし、天気がよくない。雨ではないけれど、灰色の分厚い雲が空を覆っている。屋外ステージだから、雨が降ったら中止だという。せっかく行っても、中止になったら無駄足となる。私は、空とにらめっこしながら「大丈夫だろう」と判断し、家を出た。
 電車に乗り、5つ目の駅で降りれば公園はすぐそこだ。演奏時間よりも早く着いたせいか、保護者の姿はまばらである。前のほうの席に腰を下ろし、ステージ上の和太鼓を見ながら待っていた。
 小学生とおばさんたちで構成された和太鼓グループは、額や頬から汗を流して熱演している。「滝のような」と形容されることもあるが、そこまでの量ではなく、「白滝のような」汗であった。それぞれのおでこから、二、三本、汗の細い足あとが目に入る。それもそのはず、見上げると、さっきまで空で胡坐をかいていたモクモク雲が割れ、太陽が誇らしげに顔をのぞかせていた。
 
 ジリジリジリ……

 これは予想外である。天気が持てばラッキーだと思っていたから、紫外線対策はほとんどしていない。顔にだけは日焼け止めを塗り、サンバイザーで防御しているものの、半袖のTシャツでは、むき出しの腕を守れない。
 だが、太陽は、雲に遮られていたうっぷんを晴らすように、情け容赦なく照らし続けた。

 ジリジリジリ……

 なにやら、オーブンの中のグラタンになった気分である。予熱が完了し、230度になったオーブンに、ホワイトソースベースのカニグラタンを入れたらどうなるか。私も、7分後には茶色の香ばしい焦げ目がつき、アツアツの出来立てになってしまうのだろう。とろけるチーズがなくて残念であった。

 ジリジリジリ……

 和太鼓が終わり、ようやく吹奏楽部の演奏が始まった。童謡のメドレーから始まり、いきものがかりの「ありがとう」、ラストは、アニメソングのメドレーである。25分はあっただろう。銀河鉄道999も、宇宙戦艦ヤマトもいい曲で大好きなのだが、両腕を焼かれてはかなわない。燃える腕に顔を歪め、「早く終わってくれ~」と念じていた。
 暑さの中、中学生たちはよく演奏したと感心する。
 そして、私も頑張ったのだが、誰も褒めてくれないのが淋しい。

 お風呂の前に、日焼けの状態を確認した。



 肩は白いが、二の腕から下が赤い。いわゆる「土方焼け」になっている。
 ほんの40分ほどだったのに、こんなに焼けてしまうとは……。まるで、両腕に赤い長手袋をしているようだ。
 貴婦人の正装、ローブ・デコルテを着るときには、手袋をするものだという。
 今なら私も、赤のローブ・デコルテとコーディネートできそうな気がする。
 湯船に体を沈めたら、腕が沸騰したのかと思うくらい熱かった。



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コメント (10)
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