これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

コアラ抱っこ

2010年09月09日 21時06分07秒 | エッセイ
 交流のあるブロガーさんが、鹿児島県の平川動物園に行き、気持ちよさそうに眠っているコアラの写真をアップしていた。
 コアラは実に愛らしい。家に連れて帰りたいくらいだ。
 8年前、オーストラリアを訪れたときは、コアラを抱っこして記念写真の撮れるテーマパークに行った。ゴールドコーストのドリームワールドである。
 日本では真冬のシーズンだったが、南半球のオーストラリアは盛夏で、非常に暑かった。私たち3人家族は、汗をかきかき、コアラの列に並んでいた。待つこと30分、ようやく順番が来たときのうれしさといったらない。
 ぬいぐるみのような可愛いコアラを手渡され、私は大感激で受け取る。毛がフサフサしていて、体温が高い。コアラは抱っこに慣れているようで、おとなしく私の胸に収まった。
「お母さん、いいな……」
 当時6歳だった娘が、恨めしそうにボソリとつぶやく。うう、耳が痛い。コアラの安全のためなのだろう、小さな子どもは抱っこさせてもらえないのだ。
 まずは、私とコアラのツーショットを撮り、次に娘を入れて撮影した。



「Good」
 英語は得意ではないが、観光地では何を言われているのかわかる。
 次は夫の番だ。夫はでかい図体をしている上、人相が悪いのだが、見かけによらず、この日を楽しみにしていたらしい。パアッと花が咲いたような笑顔で両手を伸ばし、コアラを受け取った。
 カメラマンがファインダーをのぞきこみ、いざ撮影というときだ。不思議なことに、先ほどまで静かだったコアラが急に暴れ出した。前足をバタつかせ、どう見ても「イヤイヤ」をしているようだ。
「Oh」
 係員の、大柄なお姉さんが両手を差し出し、コアラを戻すよう促した。夫はコアラを返したが、置きみやげがあった。手の平に、黒い碁石のようなフンがついていたのだ。
「うわぁ~~!!」
 夫が叫び声を上げ、地面にフンを叩きつけると、行列から小さな笑い声が漏れる。
 コアラは、お姉さんの腕の中で安心したのか、すぐに落ち着きを取り戻した。彼女は夫に近寄り、再度コアラを引き渡す。夫はおそるおそる受け取り、写真の準備をしようとした。
 ところが、このコアラ、後ろ足で夫の突き出た腹を蹴り、またもや激しく抵抗し始めた。夫が気に入らないのか、はたまた身の危険を感じたのか、必死で逃げようと頑張っている。
 お姉さんは「ダメだ、こりゃ」という表情を浮かべ、コアラを回収した。夫は悲しそうな顔をしていたが、手の中を見て、もう一度叫んだ。
「うわぁ~~!!」
 またもや、お約束のように、置きみやげが残されていたのだ。夫がフンを放り投げると、行列からは遠慮のない笑い声がとどろいた。私も娘も涙が出るほど笑ったが、係員のお姉さんまでもが口端を上げていた。
 結局、別のコアラが連れてこられ、ようやく夫はコアラ抱っこで記念写真にこぎつけた。



 だが、このコアラ、何やらおじいさんのようだ……。
 
 お土産に、コアラの絵本を買ってきた。人形のように、動く目がついている。寝かせると閉じ、立たせるとパッチリ開くのだ。



 うーん、超個性的……。
 こんなコアラだったら、抱っこしたくないかも。




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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (16)
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