これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

目標は春麗(チュン・リー)?

2010年05月23日 21時03分31秒 | エッセイ
 腰より高い位置を目指して、右足、左足と、交互にキックするエクササイズがある。
 太ももと腹筋、そしてお尻が痛くなり、引き締まる感じがする。アイスの食べ過ぎで丸くなった体をシェイプするチャンスだ。日々の運動に取り入れてみたらどうだろう。
 一世を風靡した格闘ゲーム、ストリートファイターⅡの人気キャラクター「春麗(チュン・リー)」が脳裏をよぎる。彼女の必殺技は「百裂キック」だった。チャイナドレスの深いスリットからのぞく、何ひとつ無駄な肉のない形のいい脚が、敵を倒すため、機械のような素早さと正確さで蹴りを連発し、痺れるほどカッコよかった。
 このエクササイズを続けたら、春麗に近づけそうな錯覚を起こしそうだ。ちょっと頑張ってみる価値はあると思う。

 キックといえば、教員になって3年目に、奇妙なことがあったっけ……。
 
 当時、勤務していた高校で、生活指導部主任の50代ベテラン男性が、女子生徒にとび蹴りをくらうという珍事が起きた。普通、教員が生徒から暴力を受けたら、「他人事ではない」と身構えるものだが、このときばかりは、どの教員も笑いをこらえるのに必死だった。
 私も、第一報を聞いたとき、「うぷぷぷぷ」と噴き出してしまった。男子生徒が女性の先生に暴力をふるったら、誰もが「許せない」と憤るだろうに、女子生徒が父親ほどの年齢の男性を蹴っ飛ばしても、「わははは」で終わってしまうのが不思議である。
「○○は、××先生と1mほどの距離で授業のことなどを話していましたが、突然後ろに下がり、助走をつけて××先生の胸のあたりにとび蹴りをしました。ワイシャツに足跡がつき……」
 職員会議で事実経過が報告される間、どの教員も下を向いて笑いをかみ殺している。ひとり、被害にあった教員だけが、胸に足跡をつけたまま、憮然とした表情で顔を上げていた。

 痛い思いをした上、笑い者になるなんて、これもまた二次被害というのだろうな……。

 もちろん、その女子は自宅謹慎となった。暴力は暴力だ。笑えるからといって、指導が軽くなるわけではない。
 しかし、なぜとび蹴りをしたのか、その動機がはっきりしないままだった。蹴られた先生は、特別に評判が悪かったわけではないし、蹴った女子も、突出して素行の悪い生徒ではない。会話の中で、生徒を刺激する言葉が飛び出し、衝動的に蹴ってしまったのだろうと結論づけられた。
 でも、カッとなった女子がとび蹴りをするなんて、極めて稀なケースなのではないか。
 思わず手が出ることはあるかもしれないが、わざわざ助走をつけて跳ぶとなると、日頃からの練習が必要だ。何か、特別なことをしていたのかもしれない。

 ふと、自分のことを考えてみた。キックのエクササイズをしているうちに、蹴ることへの抵抗がなくなっていったら、果たしてどうなるのか。
 ひょっとすると、職員会議でこんな報告があるかもしれない。
「6時間目終了間際、私語をやめない男子生徒○○めがけて、笹木先生がとび蹴りをするという事件がありました。体罰に該当するということで……」
 なーんてことにならないように、気をつけます!!




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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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