これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

最後の1個

2010年04月15日 21時22分21秒 | エッセイ
 昨日、職場の歓迎会があり、久々にワインを飲んだ。
 お酒を飲むと、アイスクリームが欲しくなる。たしか、家の冷蔵庫には、肉や魚などの食材が入っているだけで、アイスはなかったはずだ。
 樹液に吸い寄せられるカブトムシのように、私はコンビニめがけて歩き出した。
 夏場と違い、アイスの売り場面積は狭い。少ない種類の商品を端からチェックすると、どこかで見たようなアイスが1個だけ残っていた。気になり手に取ると、「ザクリッチ」と書いてある。



 おおっ、これが噂のザクリッチか!!

 たしかこれは、3月29日に発売されたものの、売れすぎで、4月11日に販売を一時休止すると発表されたアイスである。マイミクさんの日記によると、「当初の販売計画を大きく上回る売り上げとなり、供給が間に合わない状況であるため、一時的に販売を休止し、十分な供給体制を取ったあと再度販売する」とのことだ。
 アイスは、ハーゲンダッツかサーティーワンと決めていた私も、「そんなに売れているなら、一度は食べてみたい」と浮気心が起きた。
 そのアイスが、今、目の前にある。

 もしや、これは最後の1個では!?

 販売休止寸前の残り1個を前に、私は「なんて運がいいんだろう」と幸せな気分に浸った。例えるならば、街中で著名人とバッタリ出くわしたような感覚に近い。そういえば、知人のマダムが喫茶店に入ったら、たまたま勝間和代がいて、サインをもらえたとブログに書いたことがある。
 勝間氏とザクリッチではえらい違いだが、希少価値のあるものに偶然出会えた喜びは同じだ。さらに言うなら、勝間和代は持ち帰れないけれども、ザクリッチは126円払えば自分のものになる。私はマッハでレジに直行した。

 家に着いたのは、22時になろうかという頃である。この時間に、231kcalを摂取するのは恐ろしい。でも、食べたい欲求には勝てない。私は外袋を開けて、パフ入りチョコレートが隠されているコーンにかぶりついた。
「次世代コーンアイス」を名乗るだけあって、コーンもチョコレートも美味しい。サクサク、パリパリと軽快な音を立て、口の中にはほどよい甘味が押し寄せてきた。
 しかし、2口目でトーンダウンする。チョコレート内側の、バニラアイスが水っぽいのだ。私は、溶けたときに粘りが出るほどの、乳脂肪分の高いこってりしたアイスが好きなのに、これは水で薄めたような淡泊さである。なんとも物足りない。
 どんなに美味しいのかと過剰に期待した分、落胆も大きい。「まあ、普通のアイスだね」と、私は冷静に評価した。ジャイアントコーンのほうが美味しいかもしれない。
 販売休止は、話題作りのための戦略なのではという見方もできる。私は素直で単純なところがあるから、まんまと引っ掛かったのかと思うと悔しい。

 今日もコンビニに寄り、本当にザクリッチが品切れになっているかどうかを確認しようと思った。最後の1個と信じて買ったのに、また10個くらい陳列されていたらシャレにならない……。
 が、隅から隅までアイスをチェックしても、やはりザクリッチは見当たらない。予想通り、あれが最後の1個で間違いなかったようだ。
 すると、再び幸福感がよみがえってきた。味はそこそこでも、ラスト1個というところが重要である。買えてよかった、ツイていた、と笑顔になった。
 我ながら、実に単純なヤツ……。




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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)

コメント (18)
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