これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

「みどり」づくし

2010年02月21日 20時58分11秒 | エッセイ
 娘のミキは、吹奏楽部顧問のみどり先生が大好きだ。
「みどり先生って面白いんだよ! お母さん、話したことある?」
「挨拶だけならしたことあるけどね。普通の先生だった」
 吹奏楽部の保護者会や、パレードの引率当番で顔を出したとき、挨拶がてらみどり先生と会話を交わしたことはある。まだ20代後半の、丸顔でお姉さんのような先生だった。
「本当はね、結構厳しいけど、よくしゃべるんだよ。すごく一生懸命。みどり先生も、お母さんのこと、優しそうだって言ってた」
 初対面だと、お互いに正体を隠して接するものだ。私はちょっとホッとした。

 子供が、顧問の先生になつくのはいいことだ。
「5月4日はみどりの日だね。自分の日がカレンダーにあるなんて、さすがは先生!」
 小学校高学年のときは、担任の先生と相性が悪く、毎日のように家で悪口を言っていたのに、部活に関してはそれがない。親としても、心の負担がなくて助かる。
「今度のテストで平均点より低い点を取ったら、コンテストや演奏会に出さないって、先生が言ってた。頑張らないと」
 ミキは、集中力が切れやすいタイプなのだが、みどり先生の一言でやる気になっている。楽しむところ、締めるところとメリハリをつけて指導されているようだ。

 地元を走るバスは、車体に大きく「みどりバス」と書かれている。
 部活のない日曜日、久しぶりにミキと映画に行ったら、みどりバスが交差点で信号待ちをしていた。
「あのバスは、きっとみどり先生が運転してるんだよ」
 ミキのジョークに、私も乗ってやる。
「平日は学校で、部活ない日は運転手か。みどり先生、忙しいね」
「あはは、学校がある日は、バスも走ってなかったりして」
 二人で笑いながら、走り出したみどりバスを見送った。

 白内障の手術を終えた義母が、現在、自宅療養中である。飲み薬、目薬などがたくさん処方され、管理が大変らしい。
「おばあちゃんが薬を見せてくれたんだけど、『ミドリン』って目薬があったから、笑っちゃった」
「きっと、強力なんじゃない!?」
 そんなやり取りをしていた矢先のことだ。
 義母が体調を崩し、ホームドクターに診てもらった。服薬中の薬を見せたところ、「80過ぎのお年寄りには、量が多い」と言われたという。義母は困った顔で続けた。
「一番気持ち悪くなるのは、ミドリンって目薬なのよ。目がボヤーとしてきて、よく見えなくなるからイヤだわ」
 ミドリン、恐るべし!
 私もミキも、笑い転げたことは間違いない。

 それにしても、「みどり」という名の多いこと、多いこと。
 次はどんな「みどり」が登場するのか、楽しみだ。




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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (26)
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