これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

写経で迎える2010年

2010年01月14日 21時39分13秒 | エッセイ
 以前から、写経には興味があった。

 ギャーテー ギャーテー ハラギャーテー
 ハラソーギャーテー ボジソワカ

 般若心経は、なぜか心に響く。
 今年こそは、年はじめの落ち着いた時期に挑戦したくなった。ネットを見ると、写経用紙セットなるものが販売されているようだ。
 ちょうど、スーパーに行く用事があったので、チラリと文房具売り場をのぞいてみた。意外なことに、まさか置いてないだろうと思った写経用紙セットが、なかなか好位置のスペースに陳列されている。予想よりも需要があるらしい。
 私が買ったセットは、般若心経のお手本と罫線入りの下敷き、それに半紙が20枚入っものだ。下敷きの上にお手本を載せ、その上に半紙を置いて、筆でなぞるだけという手軽さである。
 このお手本が恐ろしく達筆だ。自信に満ち溢れた文字が、これでもかこれでもかとばかりに肩を並べている。
 もっとも、丸ゴシック体や


 ポップ体のお手本など、到底あり得ないだろうが……。


 スーパーでは写経用の筆も売られていたが、書道の小筆と大して変わらない。もっと細いほうが書きやすいと思い、私は自宅の面相筆を使うことにした。筆ペンは、書きにくいから論外だ。
 面相筆は正解だったけれども、開始早々につまずきを感じた。

 漢字が難しすぎる!!

 旧字体にこだわる必要はなさそうだ。しかし、お手本なしでは情けない字になってしまうので、ひたすら真似するしかない。
 これは声。


 触。


 槃。


 写経の効用には、自然の治癒力の向上、脳の活性化などと並んで、集中力や忍耐力が高まるというものがあるそうだ。実によくわかる。初めてということもあり、四苦八苦しながら進むには、わき目も振らず一心不乱に書き続けるしかない。

 是諸法空相 不生不滅不垢不浄不増不減……

 ああ、ここは聞いた覚えがある。
「世の中にあるものは実態がない。だから、生まれたり減ったりするものはない」という意味らしい。
 一切の苦しみから逃れる「悟り」に到達することは期待しないが、偉人の教えはためになる。
 延々と2時間写経を続けていたら、最後の最後で、冒頭の部分が登場した。

 羯諦(ギャテイ)羯諦 般羅(ハラ)羯諦 般羅僧羯諦 菩堤薩婆訶(ボジソワカ)

 本当に難しかった。でも、お手本のおかげで、なかなかの出来だと思うのだが……。



 万一、誤字脱字などがあっても、用紙をゴミ箱に捨ててはいけないという。写経とは、一字一字仏様を書くことなので、不要なものは焼却し、仏様が煙とともに天上に帰っていかれるようにしなければならない。
 私は、20枚全部を書いたら、お寺に納経したい。都内にも、納経を受け付けるお寺がたくさんあるようだ。たとえば池上本門寺。ここには行ったことがあるが、たいそう立派なお寺だった。芝公園の増上寺でも受け付けている。
 だが、私が選んだのは浅草寺である。
 納経のついでに「焼きたての人形焼を買って帰ろう」などという、不埒なアイデアが頭から離れない。
 写経を20枚完了したら、このような煩悩とおさらばできるだろうか……。



楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (23)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする