これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

クリスマス攻防戦

2009年11月29日 21時13分17秒 | エッセイ
 まだ11月も終わっていないのに、すでにクリスマス商戦は始まっている。
 テレビをつければ消費者の購買意欲を煽るようなコマーシャルが流れ、ポストにはおもちゃのパンフレットや、衣類のカタログが届けられる。
 中一の娘は、いいように刺激を受けてしまったようだ。
「ねえねえ、お母さん、クリスマスプレゼントにiPod買って~!」
 私はオーディオ用品に無知である。
「iPod? いくらするの?」
「8GB(ギガバイト)で、14800円って書いてあるよ」
 ちんぷんかんぷんだ。
 娘は遠慮がちに続ける。
「本当は16GBのが欲しいんだけど、高いし、ケースやスピーカーも必要だから、8GBでいいかなぁ」
「8Gと16Gの違いは何?」
「8Gだと2000曲くらい入るけど、16Gだと4000曲なの」
「2000曲入れば十分でしょ」
「えー、少ないよ! だって、いきものがかりは全部入れたいし、Greeeenとか絢香とか、大塚愛に吹奏楽の曲もあるんだもん!」
 そういうものなんだろうか?

 子供が成長するにつれ、プレゼントも高価になっていき、とどまるところを知らない。
「iPodはお母さんにもらうとして、デジカメと自転車は誰に頼もう……。お祖母ちゃんかな?」
 それはちょっと悪いだろう。私はきっぱりと言い聞かせた。
「ダメダメ、年金暮らしの人に、そんな高いものをねだらないの」
 娘は渋い顔をして考え、ニヤリと笑って切り出した。
「じゃあ、サ、サンタさんに頼めばいいんだね!!」
「……」
 サンタの存在を信じているとは思えぬ年頃だが、親としては答えに窮する提案で、一本取られた形になった。
「すっかり忘れてたよ、サンタさんがいた~」

 早く使いたいからという理由で、今日は娘と電器屋さんに行き、iPodを買うことにした。
 本体はすぐに見つかったが、ケースやスピーカーなどのアクセサリーがわからない。店員さんを呼び、聞いてみたのだが……。
「iPodですか。音源が限定されるし、アフターサービスも悪いので、個人的にはお勧めしませんが」
「ええっ!!」
 私も娘も、声を揃えて叫んだ。しかし、思い当たる節がないわけでもない。
 勤務先の高校で試験監督をしていたら、生徒の制服に入っていたiPodが突然鳴り始めたことがある。イヤホンが刺さっているのに音漏れが激しく、周りの生徒に迷惑だった。急いで止めようとしたのだが、ロックされていて操作できず焦った。幸い、教室内には雑巾がたくさんあり、何重にもくるんでソフトボール状態にしたら、ようやく音が聞こえなくなったのだった。
 そんなことを思い出し、不安になって聞いた。
「では、どちらがお勧めですか?」
「……そうですね、ソニーさんあたりがよろしいかと」
 娘は音楽が聴ければ何でもいいらしい。案内された売り場で、抵抗せずに商品を選んでいる。
「これは、○○ちゃんが持ってるから、同じのはイヤだ」
「ノイズキャンセラがついているのがいい」
 結局、16GB、スピーカーつきのウォークマンとなった。



 お値段は、21800円。
 何だかんだで、7000円も高くついてしまった。
 娘にしてやられた気がする……。 



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コメント (26)
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