これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

正しい蕎麦の作り方

2009年10月04日 20時18分38秒 | エッセイ
 先日、知り合いの蕎麦職人から、「そば打ち段位認定制度」なるものを聞いてたまげた。
「最高は五段位です。俺は今、初段を受ける人に指導をしています」
 蕎麦の世界も、奥が深いようだ。
 調べてみると、段位認定会を主催しているのは、全国麺類文化地域間交流推進協議会(ZEN麺)という団体らしい。認定会は全国各地で実施されている。
「そばアレルギーの方は、ご来場をご遠慮ください」とのただし書きが、目に飛び込んできた。
 
 私は蕎麦を打ったことがない。自分で作るにしても、乾麺を買ってきて、自己流で茹でるだけだ。
 件の蕎麦職人は、富山県魚津市で『日曜日だけの蕎麦処 くぼ多』というお店を開いている。通信販売もしているので、ひとつ、正統派の教えを請うことにした。
 蕎麦と一緒に送られてきた「作り方」が頼りだ。
 まず、なるべく大きな鍋とボウル、ざるを用意する。
 ボウルには、あらかじめ茹でた麺を冷やす水を入れておく。茹でる水も冷やす水も、浄水かミネラルウォーターを使用するのが基本だ。
「お湯が沸騰したところへ、一人前の蕎麦をパラパラと入れます。必ず一人前を守ってください」
 彼は、私のいい加減な性格を知ってか、一人前というところに念を押した。何でも、家庭用の火力では、一人前がベストらしい。

 入るだけ入れていいのかと思っていたよ……。

 私は素直に一人前を用意して、お湯が沸くのを待った。



「茹で時間は40秒から60秒! これも厳守です。必ずタイマーで計ってください」

 何だよ、このエクスクラメーション・マークは……。

 ここも、大事なチェックポイントなのだろう。
「茹で方が下手くそだと、俺が一生懸命打った蕎麦が台無しになる」という、彼の必死な思いが十二分に伝わってきた。
 タイマーではなくストップウォッチだったが、私は律儀に時間を計り、茹ですぎないように細心の注意を払った。茹でている最中は軽く箸でほぐす程度にし、あまりいじらないほうがいいらしい。万一、噴きこぼれても差し水をしてはいけないとある。
 瞬く間に60秒が過ぎた。
「茹で上がったら、麺をザルですくい、ボウルの水に入れて粗熱を取ります」
 パスタを茹でる鍋を使ったので、これは簡単だった。東京の水は温度が高い。彼の作り方には書いてなかったけれども、ボウルに氷を入れて水温を下げた。
「次は、ボウルの蕎麦をザルにあけ、水道水で洗って下さい。直接水流にあてない方が良いです。これを三回やって下さい。もし、水道水の匂いが気になる場合は、三回目をミネラルウォーターで洗って下さい」
 ……茹で時間60秒を守れたあとは、緊張感が緩み、このあたりは適当になってしまったかもしれない。
「薬味は、本ワサビが良いです。あとは辛み大根おろしなどかな」
 本ワサビ……チューブだが、冷蔵庫にあった。
 こちらのお店では、化学調味料など添加物を一切使用していないつけ汁がついてくる。「こだわりの味」という表現がピッタリの、だしの効いたまろやかなつゆは、そんじょそこらで買えない逸品だ。蕎麦湯で割っても、実にいいお味だった。

 水気を切って麺を盛り付け、きざみ海苔をトッピングした。
 うちにはせいろがないので、一番お気に入りの皿を使ったのだが、蕎麦というより、soba、あるいはJapanese noodles という感じになった。



 いや、蕎麦は地味なので、むしろこれくらいにぎやかな器を使うべきではないのか?

 見た目は洋風でも、正統派の味に違いはない。
 一口食べると、蕎麦粉とつけ汁が、二人三脚しながら喉元を元気に駆け抜けていった。
 彼らが通り過ぎたところで、蕎麦独特の後味が口の中いっぱいに広がってくる。

 美味しい、じゃなくて、うまい!! よね♪

 これぞ、ニッポンの味!
 やはり、蕎麦は奥が深い……。



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