これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ペルセウス座が泣くよ

2009年09月03日 21時03分25秒 | エッセイ
 秋の気配が日に日に色濃くなってきた。
 この夏の心残りといえば、皆既日食が見られなかったことと、もうひとつある。

「今日の午前2時から5時までが、ペルセウス座流星群のピークですよ」
 日付が8月13日に変わった頃、マイミクさんからこんなメッセージをもらった。あいにく、私は携帯の電源を切って寝たあとだったので、これを読んだのは翌朝になってからだ。

 残念、手遅れだったのか……。

 しかし、ネットで検索してみると、ペルセウス座流星群はピークの前後10日くらいであれば見られるようだ。ピーク時には1時間に30~60個もの流星が現れ、天体初心者でも気軽に観測することができるという。
 俄然見たくなり、明日こそはと意気込んで夜更かしした。私が寝る時間は、大体午前0時から1時の間だから、2時まで起きているのは正直言って辛い。でも、ちょうど仕事も休みだし、この機会を逃したらいつ見られるかわからないと思って頑張った。

 1時間に30~60個ということは、1~2分の間に1個の割合で現れるってことかしら??

 単純で姑息な計算をし、少なくとも5分間空を見上げれば、ひとつふたつは見られるだろうと予測した。
 2時になり、ドキドキしながら庭に出た。雲の多い日が続いていたにもかかわらず、その日は月や星がハッキリと見え、流れ星の観測に最適と思われた。
 だが、広い空のどこを探しても、流星群は見当たらない。煌々と輝いている星は、どれもこれも貼り付けられているように動かない。
 1分経ち2分経つと、本来、短気な私は辛抱できなくなってきた。
 頭が勝手に、部屋に戻る口実を探し出す。

 そうだ、玄関が開けっ放し!

 夫がトイレに起きたとき、玄関の鍵が開いていることに気づいたら、内側から施錠されてしまう。私は鍵を持たずに出てきたので、閉め出されるかもしれない。
「大変、さあ帰ろう」と、私はドアに向かった。

 次の日、冷静になると、自分の行為が愚かに思えた。あと何分か待てば、流星群を見られたかもしれないのに、短気を起こしてチャンスを逃したことが悔しかった。

 よし、今夜は早く寝て4時に起きて見よう。

 私は朝型なので、夜更かしするより早起きしたほうがいい。今度こそペルセウス座流星群を見るのだと、気合いを入れて床に就いた。
 翌朝午前4時。予定通り起床し、誰もいないのをいいことにパジャマで外に出た。北東の方角に出現すると聞いたので、ひたすらそちらを見る。昨日より雲が多いが、ところどころに切れ間があり、星も月も見えるから大丈夫だろう。
 ピークの13日から2日が過ぎていることを考えると、5分待つだけでは不十分かもしれない。今回は、鍵も持ってきたことだし、10分くらいは頑張ってみようと思っていた。
 しかし、ジッとしていると蚊が寄ってくる。私は刺されやすい体質なので、じわじわと不安が高まる。

 もしや、蚊が流星群のように、私の周りを飛んでいるのでは?

 余計なことを思いついた途端に鳥肌が立ち、その場にいられなくなった。
 踵を返して、カーディガンのポケットから玄関の鍵を取り出す。
 また、帰る口実を見つけてしまった……。



楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)

コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする