先日、お台場に行ったとき、あえて夫を誘わなかった。
「2人で行こうね」と娘のミキが言ったからだ。中学生ともなると、父親を疎ましく思うものなのだろう。
「今度は、東京タワーに行きたい~!」
ミキのリクエストに、条件つきでOKすることにした。夫だけ仲間はずれは可哀想だ。
「じゃあ、今度はお父さんも連れていってあげようね」
とたんに、ミキは、難しい顔になって答えた。
「お父さんも? ミキは別にいいけどさ、お母さんがイヤなんじゃないの?」
今度は、こちらが「へ?」となる番だった。
「お母さんは、よくお父さんの悪口を言ってるから、一緒に行きたくないんだと思ってた……」
「そうだったの? いつもミキはお父さんの言うことを聞かないから、一緒に行きたくないんだと思ってた……」
どうやら、お互いに気を利かせたつもりで、とんちんかんなことをしていたらしい。
この間の日曜日、何も知らない夫は、「今日は留守番じゃない~」と喜んで東京タワーについてきた。予想以上に喜んでいたので、私もミキも良心が痛んだ。
赤羽橋駅から歩いていくと、タワーの赤い足元が見えてきた。
到着したら、まずはエレベーターに並び、大展望台を目指す。時間は午前10時を少々回ったところだったが、すでに長蛇の列ができていた。
10分ほどで順番が来て、地上150mの大展望室2階にやって来た。あまり天気はよくないが、景色はなかなかのものだ。
「お母さん、ミキはルックダウンウィンドウってヤツが見たい!!」
ルックダウンウィンドウというのは、大展望台1階にある透明な床のことで、高さ145mから下を覗き込むことができる窓だ。階段で下に降りると、探し物はすぐに見つかった。
「わっ、コワ~イ」
高所恐怖症の人には無理だろう。足の下には絶景が広がっていた。
ウィンドウの近くにプリクラ機があった。私とミキは、「撮ろう撮ろう」とノリノリでのれんをくぐったが、夫は恥ずかしいと思ったのか、さりげなく機械から離れていってしまった。
「あ~あ、行っちゃったよ」
深追いせずに、二人で次から次へとポーズを決め、撮りまくった。撮影が終わるとプリントだ。
「4ポーズ選んでくださいだって。お母さん、どれがいい?」
「じゃあ、あれとそれとこれとあれ」
「落書きしようよ」
ミキは付属のペンを取り、背景に大きく「親子」と書いた。間もなくプリントが完了し、受取口に写真が吐き出されてきた。ミキは、プリクラを手にして満足そうに笑った。
「お母さん、このプリクラどこに貼る?」
「そうね、年賀状なんてどう?」
「いいね~!」
はたと気づいた。
来年の年賀状は母子家庭だ……。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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「今度は、東京タワーに行きたい~!」
ミキのリクエストに、条件つきでOKすることにした。夫だけ仲間はずれは可哀想だ。
「じゃあ、今度はお父さんも連れていってあげようね」
とたんに、ミキは、難しい顔になって答えた。
「お父さんも? ミキは別にいいけどさ、お母さんがイヤなんじゃないの?」
今度は、こちらが「へ?」となる番だった。
「お母さんは、よくお父さんの悪口を言ってるから、一緒に行きたくないんだと思ってた……」
「そうだったの? いつもミキはお父さんの言うことを聞かないから、一緒に行きたくないんだと思ってた……」
どうやら、お互いに気を利かせたつもりで、とんちんかんなことをしていたらしい。
この間の日曜日、何も知らない夫は、「今日は留守番じゃない~」と喜んで東京タワーについてきた。予想以上に喜んでいたので、私もミキも良心が痛んだ。
赤羽橋駅から歩いていくと、タワーの赤い足元が見えてきた。
到着したら、まずはエレベーターに並び、大展望台を目指す。時間は午前10時を少々回ったところだったが、すでに長蛇の列ができていた。
10分ほどで順番が来て、地上150mの大展望室2階にやって来た。あまり天気はよくないが、景色はなかなかのものだ。
「お母さん、ミキはルックダウンウィンドウってヤツが見たい!!」
ルックダウンウィンドウというのは、大展望台1階にある透明な床のことで、高さ145mから下を覗き込むことができる窓だ。階段で下に降りると、探し物はすぐに見つかった。
「わっ、コワ~イ」
高所恐怖症の人には無理だろう。足の下には絶景が広がっていた。
ウィンドウの近くにプリクラ機があった。私とミキは、「撮ろう撮ろう」とノリノリでのれんをくぐったが、夫は恥ずかしいと思ったのか、さりげなく機械から離れていってしまった。
「あ~あ、行っちゃったよ」
深追いせずに、二人で次から次へとポーズを決め、撮りまくった。撮影が終わるとプリントだ。
「4ポーズ選んでくださいだって。お母さん、どれがいい?」
「じゃあ、あれとそれとこれとあれ」
「落書きしようよ」
ミキは付属のペンを取り、背景に大きく「親子」と書いた。間もなくプリントが完了し、受取口に写真が吐き出されてきた。ミキは、プリクラを手にして満足そうに笑った。
「お母さん、このプリクラどこに貼る?」
「そうね、年賀状なんてどう?」
「いいね~!」
はたと気づいた。
来年の年賀状は母子家庭だ……。
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