これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

無免許教員?

2009年06月04日 20時11分55秒 | エッセイ
 教員免許状が見当たらない。
 教員免許更新制度が導入された今、手続き上「ない」では済まされないだろうから、何とかして見つようと決心した。
 運転免許と違って、免許状を携帯する義務はないが、紛失したら無免許ということになるのだろうか?

 まずは、妹の家に電話をする。両親が那須に隠居したことを機に、私が育った家には、現在、妹一家が住んでいる。私の荷物も多少残っていたかもしれないのだ。
「ねえ、2階の6畳間の押し入れに、私の教員免許状があると思うから、明日の夕方、見に行っていい?」
「まだ、姉さんのものあったかしら。あとで見てみるよ」
 私の家にはなかったので、妹の家にあるに違いないと思いこんでいたのだが、望み薄という気がしてきた。もう一度、屋根裏の収納庫をひっくり返して、大捜索をしないとダメだろうか。
 しばらくして、妹からメールが来た。
「やっぱりないよ。持って行ったんじゃないの?」

 よし、気合いを入れて探さなくては!

 卒業証書や賞状の山が怪しい。筒を開けて証書を確認したり、賞状をめくって片っ端からチェックしたが、免許状は見つからない。幼稚園の卒業証書まで出てきたのには笑った。ひらがなで書かれた氏名が微笑ましい。なぜか、高校の卒業証書だけはなかった。
 本やアルバム、記念写真などが入った封筒にたどり着いた。何と、この中には、大学の受験票や合格通知書、1年から4年までの成績表、教員採用試験の要項や辞令にいたるまで、すべてのものが揃っていた。どの文書も旧姓で書かれており、懐かしさで胸がいっぱいになった。

 私って、物持ちがいいのねぇ。

 探し物ではなく、別のものに気を奪われ、時間を無駄に費やしてしまった……。
 でも、こんなにいろいろなものを保管してあるのに、どうして免許状はないのだろう?

 捜索中に、夫の卒業証書や賞状が入っているケースを発見した。「もしや、成績表もあるのでは?」と興味を持ったが、免許状が紛れている可能性はゼロなので、スルーすることにした。
 ケースの近くに、どこかで見たようなビニールバッグが立てかけてある。引っ張り出してみると、高校生のときに買ったカレンダーだった。大好きな青池保子さんのカレンダーを予約し、1年間楽しんだあとも捨てられなくて、取っておいたのだった。



 中をのぞいて息をのんだ。

 これは、高校時代の卒業証書!?

 とたんに、古い記憶が一気に蘇ってきた。そういえば、高校の証書は筒ではなく、A3サイズのホルダーに入っていたのだっけ。カレンダーのバッグにすっぽりと収まったので、引っ越しのときに一緒に入れたような気がする……。
 期待が体中に押し寄せてきた。急いでバッグの中身を出すと、大学名の印刷された封筒が出てきた。封筒に中には、やはり、お目当ての教員免許状が入っていた!

 あったー!!

 私の大学は神奈川県にあったので、授与権者は神奈川県教育委員会となっている。本籍地、氏名、生年月日、免許の種類、教科、免許番号、授与日などの記載があった。やはり、氏名は旧姓のままだ。

 よかった、これで無免許じゃないや!

 免許状をしまおうとしたとき、封筒の表面に「注意」と書かれた文字が目に入った。

「本籍地、氏名等戸籍上の異動を生じた場合は、すみやかに授与権者に書き替えを願い出ること」

 ……てことは、現姓の免許状が必要ってこと?
 せっかく見つけたけれど、旧姓の免許状は通用しない?
 
 うーん、やっぱり無免許なのかも……。



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コメント (12)
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