これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ボールドを買いに

2009年05月21日 20時00分00秒 | エッセイ
 毎週、日曜日はスーパーに行く。ついこの間の日曜日も、昼食の材料を買いに出かけた。チャーシューに、味付け玉子にメンマ、長ネギをカゴに入れ、店内をひと回りした。
 
 そうそう、液体洗剤も買わなくちゃ。

 わが家は、もっぱらボールドを愛用している。界面活性剤の割合が低いような気がして使っているのだが、実のところはよくわからない。しかし、一度ボトルを買うと、成り行きで詰め替え用を買ってしまうのが人情というものだろう。
 そんなわけで、ボールド詰め替え用もカゴに入れて会計をすませた。
 帰宅して袋を開け、食材を冷蔵庫にしまっているとき、何かが足りないのに気づいた。

 あ、ボールドだ!

 たしか、レジのお姉さんが、食品とは別の小さなレジ袋に入れてくれたはずだ。カウンターで食材を袋詰めしているとき、邪魔にならないよう、少し離れたところに置いたのだっけ。
 私は記憶をたどり、ボールドの行方を思い出そうとした。
 店を出たときは、食材の袋しか持っていなかった……。ということは、カウンターに置きっぱなしで帰ってきたらしい。

 さて、どうしたものか。

 近所とはいえ、もう一度スーパーに行くのはかったるい。でも、ボールドは残りわずかだったはず……。ボトルを見てみると、やはりあと2~3回分しか残っていない。

 えーん、やっぱり行かなきゃダメか……。

 足取りも重く、私はスーパーまで歩き始めた。
 実は、この手の失敗は何度も経験ずみなのだ。大抵は、カゴの手前にあるものを見落とし、入れ忘れることが多い。ガムや電池といった小さなものや、スモークサーモンやハムなどの薄いものが危険である。
 学生時代に、コンビニでアルバイトをしていた頃は、お客さんが買った商品を袋詰めして手渡し、いなくなってからカゴに残った飴を発見なんてこともあった。まったく、最悪の店員だったと思う。
 スーパーに着くと、まずは袋詰めしたカウンターを確認しに行った。

 ない……。

 次は、サービスカウンターに忘れ物として預けられていないかを聞こうと思った。
 ここにもなければ、もう1個買うしかない。たかが328円とはいえ、自分の間抜けさを認識する作業は気分が悪い。
 しかし、サービスカウンターのお姉さんは、温かい笑顔でこう答えた。
「ああ、ボールドですね。届いていますよ。こちらですか?」
 お姉さんが取り出したレジ袋は、ほんの20分前に私が買ったものに間違いなかった。

 やった!!

 彼女にお礼を言って袋を受け取り、私はスキップしそうなくらい軽~い足取りで家に向かった。どこの誰かは知らないけれど、人様の親切は、この上なくありがたいものだ。

 やっぱり、日頃の行いがいい人は違うのねぇ♪

 そんなことを考えながら、顔を上げ、胸を張って歩いていると、どこからか戒めの声が聞こえてきた。

 すぐ調子に乗るから、忘れ物するんだよ……。



楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※姉妹ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^
コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする