これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

職場の怖~い話

2009年01月18日 20時30分26秒 | エッセイ
 私の職場では、ときどき怪奇現象が起きる。
 生徒に提出させた問題集がごっそり行方不明になるとか、得点や成績を記入した教務手帳が見当たらないなどである。なくなったら困るものだけに、持ち主は血眼になって探すが、なかなか見つからない。
 しかし、しばらくすると、持ち主とは何らかかわりのない場所から、唐突に姿を現すことがある。見つかるだけマシだが、どうにも解せない。
 紛失するのはモノだけではない。
「先生、聞いてください。共用パソコンからフロッピーを抜き忘れたばっかりに……」
 過日、若手の香代先生が、泣きそうな顔で話しかけてきた。教材や成績などを入力しておいたフロッピーを、生徒立入禁止のパソコン室にうっかり忘れたら、見つけたときには初期化されていて、データがひとつも残っていなかったのだという。どう考えても、職場の同僚が故意にイニシャライズしたとしか思えない。
「誰……? そんなことするのは……」
 悪意の塊のような人と一緒に働いているなんて……。私はゾッとした。

 ところが、それは他人事ではなかった。何日かして私も、あるべきはずのものが消えていることに気づいたのだ。それは、教材費の請求書だった。一括処理するため、何枚かの請求書をまとめておいたのだが、確かに受け取った記憶のあるものが見当たらない。

 私も、やられた?!

 わけがわからず、とにかく机を徹底的に探すしかないと決心した。
 実のところ、請求書は再発行してもらえるから、なくても取り返しのつかない事態には発展しない。しかし、自分の不注意でどこかに紛れているのか、誰かに持ち去られたのかをはっきりさせたい。
 翌日、夕食の支度を夫に頼み、私は机の捜索に取りかかった。書類の山を分類し、引き出しを整理して、2時間ほど格闘したのだが……。
 いくら探しても、請求書は出てこなかった。
 やはり、誰かの嫌がらせとしか思えない。

 悔しくて、学年主任にことの次第を愚痴った。
「貴重品以外でも、大事なものは、鍵のかかるところにしまったほうがいいね」
 主任も顔を曇らせ、自衛策を考えていた。
 片袖机の引き出しは唯一鍵がかかるので、以来、なくなって困るものはそこに入れることにした。

 しかし、これが裏目に出るときもある。
 ある朝、出勤し、「さあ仕事だ!」と元気にバッグを開けて気がついた。

 やべー、机の鍵忘れたっ!!

 結局、その日は引き出しを開けることができず、一日棒に振る結果となった。
 ……もう知らん。



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コメント (14)
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