これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

思い込み

2008年11月16日 19時51分23秒 | エッセイ
 結婚して最初に住んだ賃貸住宅は、『アイセイハイツ』という名前だった。
「結婚しました」のハガキに、新住所を書いて方々に連絡したというのに、新年早々届けられた年賀状には違う名前が書かれていた。

『アイヤイハイツ』

 どういう建物だよ……。

 書いていて変だと思わなかったのだろうか? しかも、一人二人の間違いではなく、十人ほどが同じミスをしていた。
 中には、夫の先輩とおぼしき年配の方が、達筆な筆づかいで『アイヤイハイツ』と書いたものもあり、ひときわ滑稽に見えた。

 思い込みというものは厄介だ。本人は正しいと信じていても、根本的には間違っているのだから。間違いの種類もさまざまで、『アイヤイハイツ』などは笑ってすませられる部類に入るけれども、勝手な思い込みから犯罪に発展する場合などはシャレにならない。

 生徒の答案にも、これまた思い込みによる珍答が多い。
『為替レート』なのに『為替ルート』。
『アウトソーシング』を『アウトソーイング』。
『石油』の読みが『せきゅう』。
『社債』が『しゃせき』
 etc……。
 
 こんな間違いしちゃって~、おっかしーと笑っていたら、他人事ではなかった。

 実は、私はエッセイを出版したことがある。
 カルチャースクールに通いながら、せっせと書き上げたエッセイをまとめてみたくなったのだ。



 3年以上前のことだが、選んだ出版社がよりによって新風舎だったものだから、倒産・買い取りという悲しい結果が待っていた。
 現在我が家には、この本が300冊ほどある。ご希望のかたには差し上げたいくらいだ。
 その後、新風舎の顧客を文芸社が引き継ぎ、再度の出版計画が進行中である。内容的には変更なしで、製本しなおしてもらえばよいという気持ちでいた。
 先日、文芸社から校正原稿が送られてきたのだが、読んでビックリした。

『間髪を入れず』→『容れず または いれず では?』
『追い打ちをかける』→『追い討ち では?』
『機嫌を伺い』→『窺い または うかがい では?』
『二軒のバイト』→『二件?』
etc……。

 どれもこれも、誤用だったとは!!
 知らなかったとはいえ、もう出版してしまったのだ。これはシャレにならない間違いである。

 新風舎、どうして教えてくれなかったんだよっっ!!

 考えてもどうにもならないことは、開き直るにかぎる。
 私、国語科の教員じゃないからいいんだも~ん、だ!!



お気に召したら、クリックしてくださいませ♪
※姉妹ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^(11/16更新)
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする