これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

震災の記録 野島断層保存館へ

2024年01月28日 18時13分01秒 | エッセイ
 1995年1月17日5時46分に発生した阪神・淡路大震災。
 この地震は活断層である野島断層が動いたことにより起き、道路や畑のあぜ、生垣などに地面のずれが現れた。断層による地形の変化を残し、地震のエネルギーの大きさと自然の脅威を伝える役割を担う施設が、この野島断層保存館である。
「うわ」



 入ってすぐの場所に、国道43号倒壊再現模型が待ち構えており、転落したトラックや散乱した積み荷に度肝を抜かれた。震災による恐怖や混乱が凝縮されている図であった。
 この施設は地震や断層について科学的にわかりやすく説明されており、地震の多い我が国に果たす役割は大きい。おかげで、地学には素人の私にも、ある程度は理解できた。淡路島に行く機会があれば、ぜひお立ち寄りいただきたい。

阪神・淡路大震災の記録
 ○死者6434名
 ○倒壊した建物24万棟以上

 あらためて犠牲になった方々のご冥福をお祈りします。

野島断層とは
 ○逆断層成分をともなう右横ずれ断層
 ○長さ10km
 ○最大で1.2mに及ぶ地面の段差と2m近い横ずれが生じた
 ○このうち地面のずれが最もよく現れた淡路市の長さ185mの断層が天然記念物に指定され一部を保存

「ふーむ」
 断層の種類については、3種の模型で学ぶことができた。



 係員の説明も要領よく簡潔にまとまっている。
「わずか10秒で用水路はつぶれました」



「地面に段差ができ、アスファルトの道路も破壊されました」





 このアングルは、リーフレットの写真と重なっている。



 あぜ道も、わずかな時間でこの通り。



 決して抗うことはできない、大きな大きな自然の力を目のあたりにした。





 断層のわずか1mの場所にあった家屋がメモリアルハウスとして展示されている。





 この家は通常の2倍以上のコンクリートを使用しており、地盤もよかった等の要因で、傾いてはいるがほとんど壊れず残っていたという。
 地震直後の台所が生々しい。





地震のメカニズム
 ○地球はプレートという堅い岩盤によって表層を覆われている。
 ○プレートは地球全体で十数枚に分かれている。
 ○プレートはマントルの対流により移動するため、プレート同士の衝突やすれ違いが起き、岩盤に力が加えられる。
 ○岩盤に長期間、大きな力がかかると歪みが蓄積する。
 ○歪みに耐えられなくなった岩盤が破壊し、ずれると地震が起きる。

「なるほど」
 出口に向かい、新たな知識が得られたことと、それを今後の防災に生かすことを考えていた。
 1995年は神戸を拠点とした、かつてのオリックス・ブルーウェーブが初優勝した年でもある。「がんばろうKOBE」をスローガンに躍進したチームに、どれだけ多くの方が元気をもらったことかと敬意を払う。
 また、PASONAグループが淡路島に本社を移転したことも、復興の大きな要因となっているようだ。こちらのグループ代表者も神戸出身と聞く。多方面から復興が支援されたことで、現在の淡路島や神戸があるのだとわかった。
 能登半島の震災にも、共通点は多いだろう。
 先日ようやく義援金を送ることができた。
 今後もやれることを探していきたい。

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13号車で行く淡路島

2024年01月21日 08時58分31秒 | エッセイ
 仕事で淡路島に行くことになった。
「どうやって行くんだろ。調べてみよう」
 東京からだと新幹線で新神戸に出て、そこから高速バスというルートが一番早いらしい。新幹線を予約し、品川に向かった。
 電車の遅延もなく、目当ての新幹線が到着するまで、あと30分もある。どこかでお茶しようとエキュートをふらつくと、サザコーヒーが目に入った。
 カステラショートケーキなるスイーツと、将軍コーヒーを注文する。金色のカップに元気をもらえる上、ケーキのルックスに見とれ、朝からリッチな気分になった。



「おっ、ザラメ糖」
 カステラというだけあって、スポンジの下には歯応え十分のザラメ糖がかくれんぼしていた。ジャリジャリした食感と甘みを楽しみ、お店を出た。エネルギーをチャージしたあとは、重い荷物も苦にならず、軽~い足取りで23番線のホームへ。
「えーと、何号車だっけ」
 切符を見ると、13号車の13番となっている。



 予約画面で「最も空いています」などと表示された車両で、トイレも近かったから何も考えずにポチッと押したのだが、キリスト教徒だったら絶対に選ばない座席だろうな……。
 仏教徒へのダメージはなく、ほどなくランチタイムを迎えた。いくつもある駅弁から、私が選んだのはあなご弁当である。



「イケる、イケる」
 幸せな飲み食いタイムのあとは読書と昼寝。退屈せずに新神戸に到着した。
 ここから高速バス「かけはし号」に乗り換え、明石海峡大橋を越えて淡路島に入る。



 当然ながら海が見え、地図の画像と視界とが重なる。一致したことを伝える「ピピッ」という音が、頭の中に聞こえてきた。



 淡路島には淡路市、洲本(すもと)市、南あわじ市があり、中心となっているのは高速バスの終点となっている洲本市と聞いた。ここまで実に4時間半。近くはないが、すごく遠いわけでもない。所用を終えると、日没を迎える時間となった。
 夕日の鮮やかさに目を奪われる。



 夕食は日本料理。こちらは食料自給率が高く、玉ねぎをはじめとする野菜、刺身やわかめ等の海産物、酪農からの乳製品が島内で調達できるというから素晴らしい。



 しかも、どの食材も味が濃くて風味豊かだ。お料理に喜んでいたら、島の方がこんな話をしていた。
「いやあ、島の外で食事をすると、アレ、こんな味なんだってガッカリするんですよね」
「でしょうね、これだけ美味しいものに慣れていれば、舌も肥えますもの」
 外食の楽しみが減るのは気の毒かもしれない。
「ぜひ、淡路牛も食べてみてくださいね。神戸牛みたいなもんですから」
「へえぇ、それはぜひ。でも時間があるかしら」
 茶碗蒸し、煮物、ご飯なども運ばれてきたが、写真も撮らずに食べてしまい、ラストのデザートが登場する。



「うーん、最後まで美味しい」
 淡路島グルメはハイレベルであると十分理解した。
 初日に買ったりもらったりしたお土産はこちら。



 海苔は軽くて持ち運びに便利だし、味付け加減が絶妙なので、ぜひご賞味いただきたい。
 移動と飲食に疲れ、ホテルでぐっすり眠った。



 ホテルの朝食は和食だったが、どれも口当たりがよいので、朝はパンにこだわる私でも難なくいただけた。



「へっへ~、海苔をもらおうっと」
 パリパリ、モグモグと食も進む。食後は淡路市に向かい、西海岸を通って高速バスに乗ることになっている。途中、どこかの店でランチタイムを確保するのだが、ひそかに「洋食がいいな」と企んでいた。
 しゃれたLADY BIRD ROADに立ち寄り、買い物もする。



 ここには農家のお店が入っており、玉ねぎやトマトに加えて、スープやドレッシングも買えた。



 時間的にちょっと早いが、ここのレストランでお昼をいただく。店を選んでいたら、「淡路牛カツレツランチ」の看板を見つけ、感嘆の声を上げた。
「淡路牛だって! ここ、ここにしましょう!!」
「え、ええ、まあ、はあ、いいですよ」
 同行者を強引に納得させて、気の変わらぬうちに中に飛び込む。メニューを見たら、これまた電光石火で「淡路牛カツレツランチを」と注文し、念願がかなった。



 衣をつけるとカロリーは上がるが、ソースとなじんで肉の旨味もアップする。一切れ、二切れと順に頬張り、旅行のラストを締めくくる淡路の味を噛みしめた。肉質はやわらかでやや甘め。焼き加減もよく、気がついたら最後の一切れとなっていた。
「ごちそうさまでした~」
 満足したあとは再び高速バスで新神戸へ。新幹線はまたしても13号車であった……。



 次回は、阪神淡路大震災を語り継ぐ「野島断層保存館」での内容をお送りします。
 現地に行くことで、29年前の災害で、報道から見えないものも知ることができました。
 少しでも多くのことをお伝えできるよう頑張ります!

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雪の七回忌

2024年01月14日 21時02分08秒 | エッセイ
 母方の叔父の七回忌があった。
 東京といっても標高の高い高尾は寒く、昨日の雪が残っている。



 運よく晴れて、両親や姉妹、叔母、従姉妹とその家族に会えることはうれしい。
「では、お一人ずつ順にお焼香なさってください」
 僧侶の指示で、長子の母から墓前に進んでいく。次は母の伴侶である父が、母と入れ替わりに焼香台に向かう。父も半年後には86歳。老化が進み、話しかけてもすぐに返事がかえってこないが、帽子をとって手を合わせていた。
 焼香が終わると僧侶が話し始める。
「七回忌というのは休広忌(きゅうこうき)とも言われ、仏様の徳が広まっていく時期です」
 ところが、父は飽きてきたのか、下を向いて足元の雪を踏み固め、ザッザッと小さな音を立てていた。困ったものだ。集中力が続かず、多動な小学生に似ているかもしれない。
「では、これにて失礼いたします」
 僧侶が帰ったあと、父に近づき話しかける。
「お坊さんの話、ちゃんと聴いてたの」
 父はニヤニヤしながら「聴いてなかった」と答える。
「そんなことだと思った」
 まあ、正直でよろしいというところだろうか。「コラッ」と怒っても直らないし。
 姉も父に言いたいことがあったようで、話に加わってきた。
「ちょっと、お父さん。帽子かぶったままでお焼香したんじゃないでしょうね」
 ボンヤリしている父に代わって私が返事をする。
「一応、取ってたわよ」
「え~、そう」
「見てたの?」
「見てなかった」
 ……まあ、この2人が親子であることは間違いない。
 法事のあとは会食だ。



「やだな、牡蠣が入ってる。姉さん、食べてよ」
「ふっふっふ。もらうわ」
 妹の隣に座ったら、鍋の牡蠣をゲットした。ラッキー!
「じゃあ、皆さん、献杯の準備をお願いします」
 長子の母が仕切り、食事会が始まった。何年かに一度しか顔を合わせないので、それなりに話が弾む。ひたちなか市の従姉妹は弟夫婦と同居していて、食事作りが大変だとこぼしていた。大田区に住む従姉妹は、一番年少だけど、それでも43歳になったという。
「大晦日から、石川県に行ってたんだよね」
 ひとつ年上の従姉妹からは、思わぬ話があった。
「七尾市に泊まった翌日に地震が起きて、もう死ぬかと思った。高速を走っていたときに、震度7だからね」
「怖い!」
「金沢まで出て帰ってきたけど、4時間かかったよ」
「大変だったね」
「生きててよかった」
 従姉妹とその一家が何とか無事に戻ってこられたことには感謝しかない。
 報道を通して、災害に遭ったときは、助かるときも助からないときも紙一重の差しかないと感じる。あらためて、お亡くなりになったかたのご冥福をお祈りしたい。
「実はね、法事で集まるのは今回で最後にしようと思って」
 食事会の終わりに母が静かに切り出した。
「もうあたしも高齢だし、体が自由に動かないから、この先は無理なのよ」
「そうだね」
「仕方ないよ」
 同席した者はみんな頷いた。
 法要という形式はとらなくても、故人を偲ぶことはできる。
 これから先は、自分のペースで行かれるときに墓参りをしなくては。
 いつかまた、親戚たちで集まれるといいな。

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ラ・フランスの仇

2024年01月07日 21時21分42秒 | エッセイ
 明けましておめでとうございます。
 今年もご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

 さて、年始早々、小さなトラブルに見舞われた。
 箱根駅伝が悪いわけではないが、これを見始めるとやめられなくなることがある。
「いけいけ、頑張れ~!」
 今年は娘がテレビの前から動かず、昼食もそこそこに応援を続けていた。その日のランチは何だったか忘れたが、デザートにラ・フランスを剥いたことは間違いない。娘が果物だけ後回しにして駅伝に夢中になっていたのに、夫は気づかず、お皿に載っていたラ・フランス全部を平らげてしまった。娘が食卓に戻ってきたとき、何も残っていないことに驚いたようだ。
「……お父さん、ミキのラ・フランスも食べちゃったの?」
「え? ミキのだったの」
「そうだよ! まだ食べてないのに、ひどぉ~。好物だって知ってるでしょ」
「ごめん」
 小さな子どもではないので、泣き叫ぶことはしないけれど、年始とあって近所のスーパーは営業していない。代わりに柿を焼いて食べさせた。
「もう、お父さんはイヤ。勘弁してほしい」
 娘の不満はタラタラ続く。よし、スーパーが開いたらラ・フランスを買いに行こう。



「わあい、食べごろだぁ~」
 翌日、まずは皮を剥いてガブリ。
 今日は、おやつにラ・フランスのタルトも作ろうと思って準備をした。
「生地にバターが50gって多すぎじゃない? 40gにしちゃおう」
 勝手にレシピを改ざんする。
「砂糖は30gか。あっ切らしてる!」
 私は平日フルタイムで働いているので、調味料の管理は専業主夫の夫に任せているが、砂糖のストックはなかった。ないからやめよう、となるはずもなく、砂糖を求めて急遽コンビニに走る。
「もう、お父さんはイヤ。勘弁してほしいいいい~!」
 今度は私が叫ぶ番だった。
 無事、上白糖をゲットしタルトの続きに戻る。



「バターを減らしたから生地が硬いな。えいえい」
 力技で材料を滑らかに整え、バター減量でも何とかなった。



 これに、アーモンドクリームを加えて、ラ・フランスを載せる。



 あとは、190度のオーブンで35分焼けばできあがりだ。



「できた!」
「すごくいい匂い」
 3等分に切り分けたつもりが、ひとつだけ大きなピースになっていた。
「えっへっへ、これはミキの」



 娘がちゃっかり手を伸ばし、重そうな皿を取っていく。これでリベンジは果たせたようだ。
 次に大きなピースを夫に渡す。私はLDLコレステロール値が高めなので、減らしたとはいえバターが怖いのだ。
「いただきまーす」
 焼く前は硬かった生地も、火を通すとサクサクのサブレーのようになる。砂糖も少なめにして正解。ちょっと焦げたアーモンドクリームと、軟らかくてとろけるようなラ・フランスがサブレーに載って、それはそれは贅沢な組み合わせとなった。
「美味しいっ」
 夫に腹を立てていた自分も、父に不満顔の娘も、食べ終わるころにはリセットされて平和が戻る。
 美味しいものは一家団欒に欠かせない。
 ウチの場合は特に……。

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おせちの心配

2023年12月31日 23時13分46秒 | エッセイ
 仕事納めは12月27日であった。
「一年って早いな~」
 大掃除の合間に、あれこれと2023年の振り返りをする。いいこともあったけれど、今年は大事なことが停滞していた気がした。2024年は変化の年となるよう、もっとやりたいことに注力しなくては。
「そういえば、おせちは大晦日に届くはず……だったよね」
 JTBのポイントが大量に余っていたので、今年はJTBショッピングでおせちを注文した。たしか、10月の申し込み時に届いたメールに、配達について書かれていたことを思い出し、受信BOXを確認した。
「えーと、発送時にあらためてご連絡します、か」
 チェックしたのは30日だったが、一向に発送時のメールが届かない。
 崩れたクリスマスケーキが相次いで届けられたニュースは、本当にお気の毒だった。だが、他人事ではないのではないか。年末の物流業界は過酷な状況と聞くから「間に合いませんでした」となるリスクもあるだろう。
「ちゃんと届くのかな」
 たぶん大丈夫だろうと考える一方で、一抹の不安もある。近所のスーパーは、三が日は休業だ。まあ、20分ぐらい歩けば元旦から営業している店もあるから、何とかなるだろう。
 いざとなれば、インスタントのカレーうどんやスパゲッティでいいやと、手抜きメニューにシフトしかけた。おっと、正月からこれでは先が思いやられる。
 そして大晦日の今日、めでたく「商品を発送しました」のメールを確認した。送信されたのは30日の23:45。自動送信? 倉庫業ってどうなっているのやら……。
「あ、インターホンの調子が悪かったんだっけ」
 午後に届くことはわかったが、ピンポンされても気づかないかもしれない。私は椅子を持ち上げて、インターホンの前に置いた。ここで、SNS用の編み物をして待てばよい。
 編み始めて一時間後、小さな音でインターホンが鳴った。
 どうやら、おせちが到着したようだ。



「やったぁ!」
 配達のお姉さんから「よいお年を」と声をかけられ、気分も上がる。
 やっと、お正月モードになってきた。
「編み物も完成!」



 どう頑張っても、洗練されたものはできないが、私の腕ではこれが目一杯の出来である。
 紅白が佳境に入ってきた。
 もうすぐ2023年も終わる。
 皆さま、今年もお世話になりました。
 来年は、あれこれチャレンジしていきますよ。
 どうぞ、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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クリスマスケーキは手作りで

2023年12月24日 16時26分54秒 | エッセイ
 クリスマスは、家でまったり、美味しいものを食べるに限る。
「寒いし……」
 今朝の練馬の気温は2度だったらしい。もっと冷えている雪国の方には申し訳ないけれど、厚着した身をブルブルと震わせ、コタツから外に出られない。ダラダラ、デレデレ、ドロドロと過ごすばかりだ。
 昨年まで、ケーキだけはデコレーションを予約していたが、今年はそれすらも面倒になり、「家で作るからいいや」と決めて何もしていない。幸い、ブッシュドノエルのレシピはあるから、今月上旬までは張り切っていた。でも、だんだんテンションが落ちてきて、「もっと簡単なレシピはないかな」とクリアーブックをひっくり返して探す有様……。
 そして、超カンタンなレシピを見つけてしまった。
「ふっふっふ」



 ヨーグルトクリームのティラミスである。
 たしか、2022年ではなかったか。小林まさみさんという料理研究家の方のレシピを「いつか作るときが来るかもしれない」と切り抜き、ファイリングしていたことが功を奏した。
 ココアパウダー・コーヒーはあるから、プレーンヨーグルトとカステラ、リキュールを買ってくればできるというお手軽さがありがたい。



 ただし、オシャレなガラスの器がなかったので、こっそり、サイズの近いパウンド型を使っている。完成して皿に盛りつければ、何に入れたかなんてわかりっこないから問題なーい!



 まずはヨーグルトの水切りをする。2パック800gものヨーグルトって、こんなに大量。



 これに重しをして、90分冷蔵庫に入れる。



 すぐに乳清(ホエー)が流れてくる。これは栄養価が高いため、捨てずに二次利用した方がよい。



 私はオリゴ糖を入れて、そのまま飲んでしまった。少々クセがあるけれど、お腹の調子が上がった気がする。検索すると、ホエーのレシピも豊富にあるから、もっと有効活用できるかもしれない。
 水切り後は、こんなにぺちゃんこになる。申し訳ないくらい、つぶれてしまった。



 これに砂糖大さじ5を加えて、クリームのでき上がりだ。甘くない方がいいので、大さじ4を入れた時点で味見をしたら、まあまあの仕上がり。砂糖は大さじ4でもイケる。



 やっとカステラの出番が来た。1cm厚さに切ると、ちょうど4切れ並ぶサイズである。



 これにコーヒー60cc、リキュール大さじ1を混ぜたシロップを半量かける。





 この上にクリームを半量載せて



 その上にまたカステラを重ね、シロップの残りをかける。



 最後にもう一度、残りのクリームを全部載せて、2時間冷やせばでき上がり



 完成品にココアパウダーをかけ、切り分けたら「いただきまーす」となる。



「おいし~」
「かる~い」
 家族からの評判は上々であった。
 課題としては2つある。
 まず、崩れてしまったピースがあったため、水切りを徹底する必要があった。表面積の大きな重しにした方がよさそうだ。
 それから、若干の酸味が残っていたので、ヨーグルトのメーカーにもこだわりたい。小岩井のヨーグルトだったら、よりクリーミーになり、マスカルポーネに近づくのではないかと思う。
「そんなもん、何だっていいよ。ごちそうさま!」
 夫も娘も満足してくれたようだ。小林まさみ先生、ありがとうございました。
 さて、夕飯にはピザを焼こう。ステーキとカニ爪も焼いて、冷凍のスープを温めるだけだから、楽チン楽チン。
 日が落ちて気温が下がってきた。
 私はまたコタツに潜り込む。
 夕飯の支度を始めるまで、ダラダラ、デレデレ、ドロドロと、クリスマスイブの雰囲気を満喫した。

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2023 今年の漢字

2023年12月17日 21時44分05秒 | エッセイ
 今年の漢字は「税」だった。
「税か。どうもピンと来ないな」
 友人はインボイス制度の煽りを受け、残業続きだと嘆いていたが、教員には直接の影響がないので厳しさがよくわからない。世の流れから取り残されているのかもしれない。

 一年を振り返り、2023年にふさわしい漢字を考えるのは、年末ならではの恒例行事で楽しくもある。さて、今年は何がピッタリだろうか。
「そうねぇ、救かな」



 今年は2回「救われた」と思うことがあった。
 まずは食生活の変化である。以前に「コレステロール値が高い理由」という記事でご報告したが、10月の健康診断で、またもやLDLコレステロール値と血糖値が基準をオーバーしていた。しかも初めて血圧まで高くなり、いよいよマズいとの予感があった。



 よくわからないのが胸部X線で「肋骨骨折のあと」と書かれていたが、まったく身に覚えがない。咳をした拍子に骨折するとも聞くので、一応、仰向けではなく横向きに寝て、就寝中の咳を防ぎ、様子をみることにする。
 毎朝聞いているNHKのラジオ「健康ライフ」のコーナーで、たまたま血管の健康について取り上げていた。
「脂質異常症やHbA1cの高い方は、血管が細くなっているので血圧にも異常が出てきます」
 ドキッとした。これは私のことではないのか。
「脂身の多い肉や乳製品は避けて、ササミやヒレ、大豆製品などに替えることが大事です。放置するとやがて血管が詰まり、心筋梗塞等を引き起こします」
 すでに血管が傷ついた状態らしいので、すぐにでも始めねばと決め、ロースやチーズとお別れした。
 今日の夕飯は麻婆豆腐だったし



 明日の弁当のおかずは鶏ササミのテリヤキだ。



 食生活を変えた途端に、食事の前には「お腹が空いた」と感じるようになり、肩こりも軽減されるなどの効果が表れている。何より、生命を脅かす危機から脱出しつつあることに感謝である。来年こそは、脂質・血糖・血圧が正常範囲に収まってほしいものだ。
 もうひとつ、幸運なことがあった。
 私は職場のX(旧Twitter)を担当している。ある程度はフォロワーが欲しいところだが、なかなか増えていかず、やっと150まで到達したあと伸び悩んでいた。
「週6回発信しているのに、思うようにいかないなぁ。あーあ」
 自分個人のアカウントなら気にしないが、広報という重圧がのしかかってくる。結構プレッシャーになっていた。
 ところが、ある朝起きたら、フォロワーが20も増えていた。
「なになに? 何が起きたの?」
 どうやら、5桁のフォロワーを抱えるユーザーが、私の発信をリポストしてくれたらしい。いつもは200から300程度のアクティビティ数が10万を越えており、目にした人がフォロワーに加わったようだった。
「へえ~、そんなことあるんだ。ラッキー!」
 幸運は一度だけではなかった。同じユーザーが、ひと月後に再度私のポストをリポストしてくれたので、追加で30ものフォロワーが増え、唖然茫然とするばかり。アクティビティ数は20万に達し、キツネにつままれた思いがした。
「うわあ、クラクラする……」
 SNSのすごさと怖さがわかった気がしたが、おかげでフォロワー数は目標を上回り、体裁が保てている。ありがたいことだ。

 実は、先月下旬に自尊心を打ち砕かれる「事件」があった。
 自尊心を下げられると、殴る蹴るの暴行を受けたのと同様のダメージを受けるらしい。私も心が傷つき、この先どうやって生きていけばよいか、柄にもなく悩んでしまった。
「そ、そうだ、この気持ちも救ってもらえないかなぁ」
 願ってみたものの、一向に救いは来ない。
「アンタ、3回目ぐらい、自分で何とかしなさいよッ!」てことかもしれない。
 今年もあと2週間。
 楽しく生きるヒントが見つかるといいな~。

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若い世代も ミートグッバイ

2023年12月10日 21時33分25秒 | エッセイ
 20代後半の娘が出勤の際、電車の中で転びそうになったお婆さんを助けたという。
「電車が止まる前に立つから、ブレーキがかかったときによろけたところを受け止めたんだよ」
「危ないね」
「でもさ、思ったよりも重いお婆さんで、足を踏ん張ったせいか、ふくらはぎが腫れてパンパンになっちゃった」
「あらま」
「整形外科に行ったら、肉離れって言われた」
 シーン。
 人助けはよいことだが、娘は、よもや自分が負傷すると思っていなかったようだ。
「3週間は杖を使って足に負担をかけないようにだってさ」
「はああ~」
 そんなわけで、職場への往復は松葉杖を使うようになった。



「優先席の前に立てば、大抵の人が席を譲ってくれるから、本当に助かる」
 世の中、捨てたもんじゃない。
 だが、外だけでなく、室内で杖を使わないと回復が遅いとわかった。何かないかと考えて、故人となった義母の杖を思い出したらしい。
「あった、あった、おばあちゃんの杖。これ借りようっと」



 子を飛び越えて、孫が使うようになるとはつゆ知らず、義母もあちらでビックリだろう。長さが調節できるようになっていて、腰が曲がっていた義母のサイズより少し伸ばすとちょうどよくなる。部屋の中ではコツコツ、コツコツと木と木のぶつかる音が響いていた。
 おかげで、3週間経過した今ではかなりよくなり、医師から杖なしでオーケーと言われた。
「ああ、やっとミートグッバイから脱出だよ」
 娘の言葉に耳を疑った。ミートグッバイとは、あの長嶋茂雄さんが肉離れを表現した語である。私も含めて、年配者ぐらいしか知らないと思っていたのだが。
「へえ、長嶋さんの言葉だったの? みんな割と使ってるよ。Xにも上がってるし」
「まさか若い子に広まっているとはね」
 巨人軍だけでなく、長嶋語録も永久に不滅なのかもしれない。
 先日、職場の中にも出勤途中に肉離れに見舞われた男性がいた。
「乗り換えようと駅の階段を下りていたら、急にふくらはぎに激痛が走ったんすよ。誰かの荷物が当たったのかと思ったけれど、後ろに人はいないし、階段から落ちて散々でした」
 急激に筋肉が伸ばされたとき、筋肉がケガすることを肉離れといい、人に蹴られたような痛みを感じることがあるらしい。気の毒な彼は、医療機関で全治2カ月と診断された。
 肉離れの正式な傷病名は、挫傷や筋挫傷というそうだ。
 診断書の傷病名欄に「ミートグッバイ」と書かれる日は……残念ながら来ないかな?

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2023 シャンパーニュ忘年会

2023年12月03日 20時38分09秒 | エッセイ
 昨日は3姉妹忘年会のため、妹と一緒に姉の家に行った。
「こんにちは~」
 集合は14時だが、持参する料理を作っていると、つい遅れてしまう。きっと妹も遅刻だろうとか、姉が支度に手間取っているかもなどと予想する段階でアウトだ。もっとも、一秒一刻を争うイベントでもないのだけれど。
 姉がサラダやサーモンのカルパッチョなどを準備してくれていた。



「じゃあ、乾杯しようか」
「えっ、ドンペリじゃない! すご~い」
「まあ、白だけどね」



 シャンパーニュならではの強い炭酸が舌に心地よい。家ではもっぱら安物の缶ワインを飲んでいるので、ありがたくいただいた。
 この日、私が作ったのはカボチャのコロッケ、キノコのキッシュに加えて、初のラタトゥイユである。



「うんうん、美味しいわ」
 2人の反応は悪くなかった。胡麻とショウガの香りが利いたレシピということもあり、夏だったらもっとよかったかもしれない。
 妹が職場での笑い話を披露し、姉も私も笑い転げた。母や父の話題も出て、盛り上がったところで2本目のボトルがやってくる。
「次はモエよ~」
「わあい」



 さて、私はアルコールに強くはない。飲み過ぎに注意して、迷惑を掛けることのないようにしなくてはいけない。意識がフワフワしてきたら、水に切り換えようと思っていたが、このときは何ともなかった。
「これ、巨峰なんだって。食べてみて」
「ドライフルーツ? 珍しいわね」



 一粒口に入れると、甘みが凝縮されていて、口当たりのよいスイーツに感じられた。
「イケる!」
 あらたまった席での贈答品にいいかもしれない。姉のセンスのよさにはいつも感心する。
「3本目はマムでどう?」
「いいねぇ~」



 実は、このボトルの写真を撮ってからは記憶がない。写真の情報から、撮影したのは18:48だったとわかった。あとから写真を整理したら、意味のわからないスクショが残っていた。何でこんなものを撮ったのだろう?



 おそらく、この頃にはかなり酔いが回っていたと見え、操作を間違えたとしか思えない。このあとは記憶がなく、気づいたらソファーで目覚めたところで、時計は22:10になっていた。
「あれ? 寝てた?」
「いつものことじゃない。気にしなくていいわよ」
「疲れてるんだよ」
 食事がひと段落したところで録画していた番組を3人並んで見ていたら、私が寝てしまったというが、まったく覚えていない。帰る時間が迫っているので、頭の中を整理してみた。
「そうだ、プレゼントを持ってきたんだった」
 せっかく集まるのだから、プチギフトを用意した。これを渡さずに帰るわけにいかないが、姉も妹も「もうもらったよ」と言うではないか。
「……そう?」
 ちなみに、今年は箸と箸置きだ。箸の素材は栗、柿、梅の3種類で、どれが当たるかはお楽しみだったのだが、記憶にないところが悔やまれる。
 私のバッグには柿の箸が残されていた。箸置きはアジの開き……可愛くて面白いからこれにしたのだ。



 帰り支度をするため荷物を準備すると、エコバッグにも何かが入っている。どうも、妹からタオルやTシャツをもらい、自分で袋詰めをしたらしい。記憶のないことが、こんなに心細いとは思わなかった。
「毎年のことなんだから、別にいいわよ」
「そうそう」
 姉も妹も、私が寝ることを想定していたのだろうか。ひょっとすると、毛布なども準備していたのかもしれない。せっかく会えたのに、話す時間が短くなってしまい残念に思う。
 忘年会とは「その年の苦労を忘れるための宴会」という。
 とはいえ、忘れ過ぎには注意しましょう!

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虫歯の(元)子どもの誕生日

2023年11月26日 20時39分16秒 | エッセイ
 歯みがきのあとに歯間ブラシを使ったら、歯茎から血が出た。
「あれえ、化膿しているのかな」
 先月のことだ。10月、11月は忙しく、疲れがたまっていたせいと決めつけていた。ちょうど、ゴールデンキウイを食べたせいかもしれない。ひとまず娘に愚痴ってみた。
「ねえねえ、ミキ。お昼にキウイを食べたら、ゴマが歯の間にはさまって、歯茎から血が出ちゃった」
「は? キウイのゴマって何よ。種でしょ」
「そうそう」
「二度と食べちゃダメ」
「やだよ~」
 たわいのない話のあと、何日も出血が続く。痛みも強まり、不安になって歯医者に駆け込んだ。
「痛い? じゃあ、レントゲンを撮ってみましょう」
 出血している場所は治療痕の下で、外から見てもわからない。まずはレントゲン室に向かった。
「虫歯ですね」
 医師が歯の写真を見せながら説明を始める。どうやら、根元まで進行してしまい、神経が腐っているらしい。虫歯の箇所は写真の色が薄くなっていて、明らかに変だった。レントゲンでそんなことまでわかってしまうとは驚きである。その日は詰め物を削って神経を抜き、薬を入れて化膿が治まるのを待つという。銀を詰め直すのは2~3週間後に、歯茎の状態が安定してからと言われた。
「今日は軟らかいフタをかぶせておきましたので、また来週見せて下さい」
「はい」
 不幸なことに、この間、私は誕生日を迎えた。先日アップした美しいレディのケーキは、治療中の歯で食べたわけだ。(関連記事「レディに一目惚れ」はこちらから)食欲はなかったが、一年に一度のお祝いなので、食い意地は衰えない。
 娘からはプレゼントとしてスタバのドリンクチケットを6回分もらった。



 しかし、歯茎の痛みが残っており、さすがに、すぐには使う気になれない。
「ううう、そういえば、NHKのみんなのうたに『虫歯の子どもの誕生日』っていうのがあったよね」
 平成生まれの方は知らないかもしれないが、昭和生まれだったらご存じなのでは……。誕生日の前日から虫歯の痛みに悩まされた男の子の嘆きを歌ったもので、なかなかのインパクトがある。
 初めてこの曲を聞いたときは、何て不幸な子どもなのだろうと同情した。そして、今は自分が同じ状況になっている。もう大人だけど、これを聴いていたときは子どもだった。ちゃんと歯みがきしていたはずの、元子ども。「ぼくは~あ、もうダメだあ~ああああ」というフレーズには苦笑するしかない。
 あれからひと月以上たち、先週、ようやく歯の治療を終えることができた。痛みも出血もなくなって、大きく削られた歯にフィットした銀がはまり、噛み合わせを調節したら、医師からねぎらいの言葉があった。
「大変でしたね。これでもう大丈夫です」
「よかった! ありがとうございました」
 歯茎が元気になると食欲も戻る。一昨日は11月にしては非常に暑く、出先で駅に向かう途中のスターバックスが目に入った。
「おおっ、チケットを使うチャンスだ~」
 コートを脱いでちょうどよい気温なので、キャラメルフラペチーノを注文する。しかし、チケットの使い方をすっかり忘れていた。
「ええと、ウォレットから……これかな?」
「はい、その三角のところを押していただけますか」
 レジのお姉さんに教わってURLにたどり着き、何とかQRコードが表示できた。ホッ。
「お待たせしました~」



 虫歯を乗り越えて味わったフラペチーノは、やさしい甘さで、疲労も寝不足も吹き飛んでしまう格別な味がした。
「おいし~」
 チケットの残りはあと5枚。
 最高気温8度の今日は寒すぎた。
 暖かい日に、別のフラペチーノを頼んでみようっと。

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日本遺産「大山詣り」

2023年11月19日 21時41分23秒 | エッセイ
 貴重な平日休みを利用して、神奈川県伊勢原市の大山に行ってきた。土日は混雑するので月曜を選んでみた。
 2月にも登った山だが、今回は紅葉目当てである。
 しかし、見渡す限り緑一色で、赤や黄色に色づいた葉が見当たらない。
「うーん、まだ早かったか」
 今回は、ケーブルカーに頼らず歩いて登ることにしたが、翌日は仕事なので山頂まで行かず、富士見台で富士山を拝んだら下山する予定だ。
「女坂は左よ。こっちこっち」
 方向音痴の私に代わって、親友の幸枝がナビゲーターをしてくれる。ついていくだけなら楽チン、楽チン。



 しかし、登りは苦しいなぁ……。



 私の心肺機能はお粗末なので、ゆっくり登ることにした。女坂の途中には大山神社があり、お詣りをして阿夫利神社を目指す。低く垂れこめていた雲も晴れてきて、江の島が見えた。雨女としてはちょっとウレシイ。



「はあはあ、ひいひい、ふうふう」
 無心で斜面を上がっていく。思った通り、すぐに汗が噴き出してきた。タオルでふきふき、1時間ほど登っただろうか。ようやく阿夫利神社の近くまで来た。



「やったぁ! あとちょっと」
 石段を登ると鳥居と下社が見えてくる。



 左に大山獅子が鎮座していた。



 お詣りを済ませて下界を眺めると、赤く色づいた葉が見えた。
「ああっ、紅葉してる! やった!」
「唯一なんじゃない」



 ゼロよりはいいけれど、今月末あたりが見頃とも聞く。休みと合わないところが憎い。
 わずかな紅葉を楽しんだ隣には、男性の像が立っていた。



「スキー板?」
 いやいや、スキーではなく木太刀と書いてある。大山詣りは日本遺産であり、江戸庶民の信仰や行楽の地として親しまれてきたとの説明に「うんうん」と頷いた。
 さて、ここからさらに富士見台まで上がらなければならない。少し休んだら出発だ。コンビニで買ったおにぎりを頬張り、元気をチャージしたところで、もうひと頑張りしなくては。
 目的地の少し手前に、夫婦杉という大きな木があった。



 見ているだけで、エネルギーをもらえるような印象がある。山のパワーはすごい。
「着いたー!」



 ここからは富士山がキレイに見える。



 雪化粧をしているが、これからもっと白くなるのだろう。
 居合わせた方が、山頂にもよいスポットがあると話していたけれど、私たちはここで引き返すことに決めている。山頂から見る富士山はまた今度。
「帰りは男坂から行ってみない?」
 幸枝の提案に「いいよ!」と答え、別のルートで下山する。
 こちらは予想と違って、石段ばかりの道だった。



 しかも急勾配ときている。女坂より所要時間が5分短いことに納得した。
 半分ほど下りてきたところで、年配の男性とすれ違う。急な石段を登ってきた彼は、私たちを見つけてすがるように話しかけてきた。
「いやあ、キツい、キツいよ~! まだまだ?」
「はい。あとしばらく続きますよ」
「うわあ、もっとかぁ~」
 ナビゲーターの幸枝が、慰めるように問いかけた。
「女坂だったら、途中に大山寺があるんですけどね。男坂には何かありますか」
「ないよ、何もない」
「あははは」
 話し相手がいたことに気をよくしたのか、男性はさらに続けた。
「男は男坂を歩くもんだと思って、こっちに来ちゃったんだ」
「えー、まさか」
「女坂に行くには手形がいるんじゃないの、はっはっは」
 LGBTQの時代にどこまで本
気かわからないが、陽気なオジさんだった。あの調子で山頂まで行くのかもしれない。
「着いた~」
 無事、バス停にたどり着き、伊勢原駅から家を目指す。
 スマホを見たら、万歩計は22,000歩を超えていた。結構な運動量だった。



 その夜はぐっすり眠り、翌日は筋肉痛に悩まされながら元気に働いた。
 山のパワーは偉大である。さすがは日本遺産。
 チャンスがあれば、来月あたり、また登りたい。

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イヴ・サンローラン展 人混みとの戦い

2023年11月12日 21時38分38秒 | エッセイ
 素敵なドレスが展示されていると評判の、イヴ・サンローラン展のチケットを買った。



 比較的空いているであろう平日に見ようと、仕事の予定を調整して休みを取る。
「国立新美術館周辺でランチできる店はないかなぁ」
 検索すると、正統派古典料理を提供するレソールというフレンチレストランにピピッときた。最近では、ホームページの写真や雰囲気で、当たりの店を判断できている。
 当日はシャンパーニュを飲みながら、ランチコースを堪能した。





 熊本の「菊鹿」という白ワインも美味しかった。



 この白は、豊かで深い味がして、口の中いっぱいにブドウが広がっていくところが素晴らしい。フレンチによく合う一杯だった。



 デザートもいただき、満足して国立新美術館に向かうと、予想以上に混雑している。平日でこの人出では、土日はどうなってしまうのだろう。壁の説明文も、人の背中に阻まれてスムーズに読めない有様だった。デザイン画などのこまごまとした作品には、順番待ちの行列ができている。
「もういいや。ドレスだけ見られれば」
 幸い、マネキンが着ているドレスやスーツは行列のすき間から見ることができた。パーティーに着ていけそうなもの、普段使いに近いもの、防寒できそうなもの、マニッシュなものなど、実に多様な衣装が展示されている。
 アルコールが入り、眠気に負けそうなことも理由のひとつだが、もっと大きな要因は人混みが苦手だからであろう。ランチの満足感があった分、展覧会への期待度が下がったこともよくなかった。自分のペースで動けず、行列に並んでノロノロと見て回るのが苦痛で、私はさっさと歩き始めた。少々離れた場所から、衣装の全体像がつかめればよい。
 以前、アドベンチャーワールドのパンダたちを見に行ったとき、ブロ友さんから「そんなにあっさり見終わるなんて信じられない」と驚かれたことがある。パンダもドレスもじっくり鑑賞したいと思っているが、人垣ができていると、とたんに面倒になってしまうらしい。ひと目見たあとは、とっととその場を離れることしか考えられない。さすがに撮影可のエリアでは写真を撮ったが、館内には30分もいなかったと思う。





 展示の顔となったワンピースもあった。








 こんな雑な見方をしても、目の保養になるし、心に残る言葉も見つかった。
「私の目標は巨匠たちと自分を比較することではなく、最大限彼らに近づき、その才能から学ぶことだった」
 21歳で鮮烈なデビューを果たし、4年後には自身のブランドを発表したイヴ・サンローラン。その40年後に引退するまで、世界のファッションシーンをリードしていたというのに、何と謙虚な姿勢だろう。
 アルコールと人に酔い、ボーッとした頭でも、氏の偉大さは伝わってきた。
 展示は12月11日までだ。
 私のように混雑した場所が苦手な方は、18時以降20時まで開館している金曜・土曜を狙うことをオススメしたい。

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『ミステリと言う勿れ』原作を読む

2023年11月05日 20時57分26秒 | エッセイ
 田村由美さんは大好きな漫画家のお一人だ。『巴がゆく!』でファンになり、『BASARA』はリアルタイムに楽しませていただいたが、就職やら育児やらですっかり疎遠になっていた。
『ミステリと言う勿れ』が映画化されたことで、今はこの作品を描かれていると知り、読みたくなってオンラインで取り寄せた。



 ページを開いたところで違和感に気づく。
「そうか、今まで読んだ作品は、女の子が主役だったからかな」
 この久能 整(くのう ととのう)君が、驚異的な記憶力と観察力で、いくつもの事件を解決しちゃうのだからビックリする。特に便利な暮らしに慣れている現代人は、記憶の代わりにデジタルを使った記録ですませ、対面から得られる情報に疎くなっているので、スーパーマンに見えるのかもしれない。
 1巻は「ふむふむ、なるほど」と軽く読めた。整君のすごいところは、自分の思考を余すところなく言語化できる能力だ。私も結構勘の働く方だが、どうしてそうなるかを上手く説明できなくて、「何となく」とか「適当に」などとお茶を濁すこともある。整君にはそういうところがなくて、バッサバッサと謎をぶった切って進んでいくところに憧れる。
 だが、2巻、3巻と進むにつれ、登場人物が増えて人間関係を理解するのに手間取り始めた。
「ああ、今日はもうやめておこう。頭がついていかない」
 整君の理路整然とした謎解きを堪能するには、自分の頭も整理しないといけないのだ。髪型だけ整えたって、頭の中がグチャグチャだと面白さが半減してしまう。いや、髪型だって乱れていると家族に指摘されたのだっけ……。
 ひとまず、昼間からスパークリングワインを飲んで、理解力が低下しているときはやめておこう。次は最初に読むであろう5巻を一番上にして、私は全巻を届いたときの段ボールにしまい始めた。続きは、アルコールが入っておらず、頭が働くときに読むことにする。
 うれしかったのが、巻末の「たむたむタイム」である。



 田村センセイのお人柄なのだろうが、仕事中の裏話などが描かれていて、いつもクスッと笑ってしまう内容になっている。久しぶりに再会して、独身時代に戻った気分になった。読み終わったら娘がこの漫画を読むので、母子2代で楽しませていただこう。

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北京豆知識

2023年10月29日 17時22分55秒 | エッセイ
 中国は、近くにあるのに遠い国のひとつだ。
 でも、知人が何度か行き来しているので、話を聞いたら印象が変わった。
「今回はね、北京に行きました。時差は1時間ですよ」
 日本が午後6時だったら、北京は午後5時らしい。ヨーロッパやアメリカと違って、まさに隣国との印象を受けた。
「東京にいるのと同じように、快適に過ごせます。お店はほぼ同じですし。街並みの写真を見ますか」
 たしかに、衣料品もファストフードもブランド品も、たくさん揃っているようだ。
「あれ……」
 気になったのはこの写真である。



「スターバックスは絵でわかりますが、星野珈琲もあるんですか」
「いえいえ、星巴克珈琲というのがスターバックスなんです。当て字ですね」
「なるほど」
 勘違いして、スフレパンケーキを探す人がいるかもしれない。私などは特に危ない。
「代金は日本よりちょっと高いかもしれません。あちらは現金が使えない店が多いので、アリペイを入れました」



 ここで混乱した。
「33円? どうなっているんですか」
「人民元も¥で表示されるんですよ。1元が120円なので、660円ぐらいですね」
「えええ」
 いやあ、知らないことが多いと実感する。おみやげに、パンダとお菓子をいただいた。



「どれどれ、お菓子を食べてみよう」



 見た目からして美しいが、中身は何だろう。実は、ロウソクだったりして……。
「えーと、パッケージの漢字を検索してみようかな」



 どうも、チョコレートケーキの一種らしい。たしかに、中はこんな感じになっていた。



 甘さ控えめで、なかなか美味しい。2個入りだったので、残りは夫にあげたら、素直に食べていた。中国のお土産をいただくのは初めてかもしれない。
 スモッグがひどいとか、お腹を壊すなどという話も聞くが、「そんなことなかった」という声もある。万里の長城も一度は見たいし、旅行先の候補に入れていいかも……。
 中国が、にわかに近くに感じられてきた。
 我ながら単純!

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レディに一目惚れ

2023年10月22日 17時45分58秒 | エッセイ
 誕生日が近づいてくると、家族が気をつかって尋ねてくる。
「ケーキは何がいいの。前に欲しいのがあるって言ってたじゃない」
 そうそう。アトリエアニバーサリーのフェミニンなデコレーションで祝ってほしいと思っていたのだっけ。すかさず、ホームページを検索してみた。
「これがいい」



「こっちでもいい」



「どこで売ってるの?」
「池袋か新宿三丁目だね」
 答えながら、通勤定期を持っているのは私だけなので、自分で買うべきではないかと思った。なんか違う気もしたが、好きなケーキが選べるのだから「まあいいか」である。
 ケーキを買うには、日が暮れる前に職場を出なければならない。いつもより早く退勤した。池袋より新宿伊勢丹が近いので、まずはここから攻めたら、すぐにレディのケーキに出会えた。
「スイートレディホワイトをください」
「プレートをおつけしますか」
「はい」
 自分の誕生日とはいえ、「お誕生日おめでとう 砂希ちゃん」などとは頼みづらい。さすがに痛すぎる。無難に「ハッピーバースデー ママ」にした。
「買えた、買えた♪」
 帰宅するや否や冷蔵庫に入れる。クリームが溶けたら悲惨なことになりそうだ。真夏じゃなくてよかった。
 夕食の寿司をいただき、いよいよケーキが登場する。



「わあ、可愛い」
 よく見ると、HPとはドレスの柄が違うが、ウロコのようなデザインもまた素敵だ。
 後ろはこんな感じ。



 横からは……あまり見ない方がいいかもしれない。



「ロウソクをもらったからつけてみよう」
 クジャクの羽のように差してみたが、家族からは不評だった。
「何か千手観音みたいじゃない?」
 うん、まあ、そう言われればそうかも。



「ハッピバースデートゥユー」
 バースデーソングを歌ってもらい、ロウソクを吹き消す。誰かに祝ってもらえることが嬉しい。
 いよいよレディにナイフを入れるときがやってきた。胴体を抜かないと、うまく切れそうもない。3人で分けるにはちょっと大きいので、2日がかりで食べればよいかもしれない。



 カステラはフワフワ、クリームも軽くて、サクサク切れる。
 断面はこんな感じ。ドレスの中にもイチゴがあって、満足感が大きい。



 背が高いので、カットしたあとは寝かせた方が安心だ。



「いただきまーす! 美味しいね」
「うんうん、イケる」
 あっという間に食べてしまい、残りの半分に目が行った。
「全部食べちゃおうよ」
「そうだね」
 さすがにお腹いっぱいになったが、美味しいうちにいただけたのは正解だった。
 食後、ダラダラとネットサーフィンをしているときに思いつく。
「そうだ、Facebookにケーキをアップしよう」
 お祝いメッセージを寄せてくれた友人もいたので、お礼とともにレディを紹介したら、反応がすごかった。
「可愛い!」
「キレイなケーキですね」
 小学生のお嬢さんがいる友人からは「娘が誕生日のケーキをこれにして、って言ってます」なんてコメントも書き込まれ、レディは大人気である。
 ドレスがピンクのレディもいますからね。

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