これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

指は甘やかしちゃいけないのよ

2024年04月28日 21時29分02秒 | エッセイ
 指輪のサイズは10号である。
 決して細い指ではないが、10代の頃は11号だったので、これでもワンサイズダウンを達成した。しかし、昨年、不摂生から体がむくんで指も太くなり、指輪が「なかなか入らない」事態になってしまった。第一関節は通過するのだが、第二関節が外に張り出したせいで引っかかり、「やだやだ」と抵抗するのだ。
 朝の出勤時、太ってウインナーのようになった指に、無理やり「えいえいっ」と指輪を押し込む作業が続くと、毎日が憂鬱になってくる。また朝から指と格闘しなければいけないのかとため息がもれる。そういうときは、脳がストレスを回避しようと頑張るのかもしれない。ピピッと合理的なアイデアが浮かんできた。
「そうだ、母からもらったプラチナの指輪に替えてみたらどう?」
 私の母は指が太い。手だけ見たら、男性と間違われるであろう。薬指でも13号というサイズなので「もうつけないからあげるわ」なんて言われて指輪を渡されても、ついぞありがたみには結びつかなかった。たまに中指にはめる程度で、引き出しの中で眠り姫と化していたアレを生かすチャンスだよ、と思い出させてもらったようだ。
「どれどれ」と指輪を取り出してみる。



 薬指にはめてみたが、以前と変わらずゆるゆるで、ポケットから手を出した弾みで、指輪が取れてしまったなんてこともあった。なくさないように気を付けなければ。
 でも、締め付けられる窮屈さがなくて、靴を脱いで素足になったときのような解放感が味わえる。指も自由を満喫し、さぞ爽快に違いない。
「このまま放っておいたら、第二関節が元に戻ったりして。様子を見てみよう」
 楽観的に都合よく考え、3カ月ほど放置していたのだが、残念ながら仮説は間違いであった。
 先日、好き勝手に過ごさせた薬指の太さを確認しようと、10号の指輪をはめてみた。
「ううっ、前よりもきつくなっている!」
 体重は1kg減ったというのに、薬指は太っていることが解せない……。



 この状態では、10号の指輪が全部入らないということになる。お気に入りのパールも、並んだダイヤも、はめるのを諦めるなんてことはできず大問題だ。この第二関節を何とかしなくてはと焦った。
 本気で考えると、さらにアイデアが生まれるものらしい。
「右手の親指と人差し指で、問題の関節を挟んでみたら、少しは細くなるかも?」
 まさかねとの思いもあったが、四の五の言わずにやってみた。痛くない程度に挟む指に力を入れると、関節の幅が多少は小さくなる。押さえたまま、指輪を下に動かしてみたら、スルッと第二関節を通過した。
「やった~、入った!」



 指の根元に肉が増え、指輪がめり込んでいるけれど、つけているうちに細くなるであろう。明日からは13号ちゃんには眠ってもらい、10号ちゃんに働いてもらうことにした。
 得られた教訓は、指を甘やかしてはいけないということだった。
 加えて、もっと早く思いつけよコラッ、と自分を叱った。

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裏切りの入学式

2024年04月21日 17時31分58秒 | エッセイ
 今年の桜は遅かった。



 おかげで、去年の倍以上忙しかった年度末のあと、年度初めの「出かけるついで」で、千鳥ヶ淵での花見ができた。



 淡い桃色は、清楚で儚い薄幸の美少女のようだ。誰もが気にかけ、見守る存在になっている。
 東京では満開になったのが4月上旬だったため、この美少女が、新入生を迎える式典に色を添えるに違いないと期待していた。
「今年の入学式は桜の下で記念写真が撮れるんじゃないですか」
「楽しみですね」
 職員室では、ことあるごとに、そんな会話が交わされていた。
 しかし、暗い顔をして話しかけてくる職員もいる。
「笹木先生、ちょっといいですか」
 よくない話というものは、話し前からわかるものだ。「やっば~」というオーラを全開にして、職員の声やしぐさの端々から凶兆がにじみ出ている。気圧され、二歩後ろに下がって聞いた。
「……何かありました?」
「今、体育館に行ってきたんですけど、舞台の袖の幕が破れているんですよ」
「ええっ」
 何という名の幕なのかわからないが、どの幕を指しているかはわかる。急いで現場に駆け付けると、見事に「パックリ」と切断された幕が力なく垂れ下がっていた。



「ひええええ~!」
 そんな! あと3日後には入学式だというのに何たることか。
 破れ具合を確認したら、生地自体が経年劣化で薄くなっていた。刃物で切ったわけではなく、外から力がかかり、裂けたようである。いずれにせよ、こんなボロ幕を下げて、「新入生の皆さん、おめでとうございます!」などとお祝いできるはずがない。
「えーと、ガムテープあるよね」
 新しいアイデアを生み出すことは苦手だが、都合の悪い事実を誤魔化すことは得意な私である。縫うよりも貼り合わせる方が美しく仕上がると感じた。頭の中にはプレビュー画面が見えてくる。幕の裏からイメージ通りにガムテープを貼り、15分ほどで元通りに直した。
「はー、これで入学式は大丈夫でしょう。やれやれ」
 達成感でいっぱいだった。でも、誰も気づかない。連絡をくれた職員だけしかわかってくれないのが残念だ……。クソッ!
 無事に入学式を迎えられると思ったら、天気が味方をしてくれなかった。この日にかぎって風が強く、土砂降りの雨も降っているではないか。屋外の、桜の下での記念撮影はもはや絶望的。式典の間中、窓の隙間から悲鳴のような風音や、屋根に叩きつける雨粒の音が響いていた。窓から見えた空に視線を動かし、胸の内で「裏切りおって~」と罵倒した。
 式典が終わり、司会が今後の連絡をする。
「本日の記念撮影は悪天候のため、体育館で行います。このあと準備をしますので、教職員は手伝いをお願いします」
 拍手で退場した新入生がクラスごとに戻り、舞台を背景に撮影を始めた。
「あっ、直した幕も写るみたい。やったね!」
 どんな形であれ、自分の仕事が記録に残るのはよいものだ。
 とはいえ、ガムテープでは卒業式まで持つかしら? ドキッ!

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松本城周辺の美味しいもの

2024年04月14日 18時04分30秒 | エッセイ
 松本城を見る前に、どこかの喫茶店に立ち寄りたいと思っていた。
(関連記事「スカートでは危険な松本城」はこちらから)
 特急あずさの車内販売にホットコーヒーがなかったこともあり、温かいコーヒーに飢えていたのだが、雑誌に紹介されているカフェはたくさんあり、どこに行こうか迷った。
「えー、どうしよう。珈琲美学アベってところも素敵だし、蔵を店舗にしたところも捨てがたい」
 結局、お城までのルートに便利な、「珈琲 まるも」の看板が出ているこちらを選んだ。



 布団が干してある理由は、旅館業も営んでいるからだ。
「モンブランとホットコーヒーをお願いします」
 午前10時の時点で、座席がほぼ埋まっていた。駅から少々離れているけれど人気店なのだろう。



 体が温まるぅ~♪
 モンブランにもうちょい甘味とクリーミー感があるといいのだけれど……。こんなことを言っているから、私はコレステロール値と血糖値が高いんだろうな。
 一方、同行した娘のプリンがやけに美味しそうに見えた。



「いいよ、これ。プリンにして正解!」
 チッと舌打ちしたくなった。10分ほど経つと、スタッフの事務連絡で「プリン完売。メニューを直してきて」などと聞こえてきたので、「ハッハッ」となった方は早い時間帯にどうぞ。
 周辺の街並みもレトロでいい感じ~。



 ランチはもちろん蕎麦である。フレンチやイタリアンも充実しているそうだが、信州まで来て洋食っていうのもどうかと思う。松本城からさらに北上し、立派な店構えの蕎麦屋に入った。
 天ぷらのついたセットには、蕎麦の量が3種類あった。普通盛で2枚、小盛で2枚、普通盛で1枚なのだが、お腹が空いていたこともあり、たくさん食べることにした。
「2枚のセットを2人前お願いします」
 ビールを飲んで料理を待つ。小春日和で汗をかいたせいか、ビールの苦味がすごく美味しい。
「お待たせしました」
「わぁい」
 


 やはり2枚にしてよかった。



 味は期待通りだったのだが、水気はもうちょっと切った方がよろしいかと……。
 天ぷらは野菜も海老もイケて、衣が薄くてサクサク。こちらは文句なしであった。
 ごちそうさまでした。
 このあと、旧開智学校を見に行ったのだが、なぜか臨時休業になっていて、門の外から撮るだけになった。



 キイキイ。
 時計を見たら、帰りのあずさまで余裕がない。そろそろ駅に向かうことにした。
「じゃあ、珈琲美学アベに行ってみよう」
 と思ったのだが、相当な人気のようで、ズラリと長い行列ができていた。モカパフェなるスイーツが食べたかったのだが……。諦めて近くの喫茶店に入り、パフェという名のバニラアイスクリームをいただき、休憩した。まあ、休むところがあっただけよかろう。
「おみやげを見に行こう」
 事前に何も調べておらず、手抜かりだった。でもまあ、駅ビルに行けば何かあるだろうし、改札の中にも小さな土産屋があったから何とかなるだろう。駅ビル内で、長野製のスイーツを探したら、桜色のバウムクーヘンを見つけ購入する。



 結論からいうと、フワフワしてやわらかいし、甘みとバター等のバランスがよく、質のよい土産といえる。
 でも遊び心がない点には物足りなさを感じた。
 一方、改札内の土産屋には「松本全開」なお菓子があった。
 ブッセ。



 最中。



 特にこの最中がいい。粒あんがギッシリ詰まっている上、五重の天守が光っていた。



 土産としては、この最中がイチ推しかな~。
 見て、食べて、買ってと充実した一日を過ごしたせいか、帰りのあずさでは爆睡してしまった。
 車内での事件を思い出し、できるだけ寝ないようにしようとは思うのだが、この日は睡魔に負けた。
 振り返ると、珈琲美学アベに、混雑に負けて行かなかった松本市立博物館が心残りである。
 またの機会を作らなきゃ。

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スカートでは危険な松本城

2024年04月07日 17時53分34秒 | エッセイ
 先月末、国宝松本城を訪れた。
 2017年にバスの車窓から見たことがあり、「素敵! いつか行きたいわぁ」と願っていた場所だから、念願かなったりというわけだ。
 東京・練馬区からのアクセスは、立川まで出て特急あずさを利用するのが一番である。松本駅から徒歩14分という好立地であるため、気軽にフラッと出かけることもできる。もっとも、駅に合わせて建てたわけではないけれど。
 久しぶりの特急に興奮し、奮発してグリーン車を予約した。



 車内販売もあるが、ホットコーヒーは売られていない。乗り込む前に調達すると行楽気分がさらに盛り上がるに違いない。
「松本、松本。終点です」
 あずさ1号だと、ここには9:42に到着する。駅前には飲食店がたくさんあり、8時頃から開店しているらしい。長野県民は働き者である。まっぷるに掲載されている店を選び、休憩してからお城に向かった。
 お濠が見えてくるとテンションが上がる。



 この日は春休みの土曜日だったこともあり、10時台でもすでに観光客でいっぱいだった。外国人の姿も目立つ。門をくぐるまえに、山を背景にそびえたつ城を撮影した。



 観覧券は大人700円。博物館にも入れるようだが、時間の都合で割愛した。次回があれば覗いてみたい。
 門の中で早々に、色彩豊かな甲冑がお出迎えしてくれる。



 しかし、この先が長い。行列ができていて、30分は待っただろうか。勤勉な県民性を反映し、公開時間は8時半からなので、早ければ早い方がよいと思われる。



 待機中は、少しずつお城に近づくプロセスが楽しい。券売所でいただいたリーフレットを見ながら、城内の予習タイムに充てる。石垣の上には「石落とし」があり、よじ登ってくる敵を迎え撃つため、ここから石を落としたらしい。



 敵の身になって考えてみよう。濠を突破し城に近づいたところで、大きな石が顔や頭に向かってくるのだから、目から星や稲妻が出ること間違いなしである。イタイイタイ……。
 ここを通過すれば入り口はすぐだ。靴袋を受け取り、靴下で中へ入った。
 城内には撮影ルールがあった。基本的に自由に写真を撮れるのだが、階段付近は撮影禁止である。何しろ、どの階段も急勾配で、55度から61度というから上り下りに集中しないと危ないのだ。階段というより梯子に近いかもしれない。女性はスカートを避けた方が無難であろう。靴や手荷物を持ったまま、上に行く人と見学を終えて下る人とが狭い場所ですれ違うのだから、空間的にかなり厳しい。足元だけでなく、上背のある人は頭上にも注意が必要だし、背中のリュックが引っかかる難所もある。スタッフが「上りどうぞ」「下りどうぞ」と交通整理をしてくれるので、指示に従って行動することが必要だ。
 先ほど、外から見た石落しの仲間が城内にもあった。



 小さな窓は鉄砲狭間となっている。



 窓があると、敵の武器が飛び込む可能性もあるため、最小限の大きさにしているらしい。
 これより縦に広い窓が矢狭間である。



 飛距離を取るため山なりに射ることも考慮して、少し大きめにしないといけないのではと察した。
 窓から外を眺めていたら、戦闘モードになったようで、心拍数と血圧が上昇してきた。アドレナリンが分泌されたのだろうか。今から430年前に建てられたという松本城は、五重の天守を誇る我が国最古の城である。いくつもの修羅場に立ち向かい、戦い抜いた歴史に勇気をもらえる気がした。
 火縄銃や鉄砲、銃弾などもたくさん展示されていた。







 小刀に見えるが、これも銃らしい。



 最上階から見える景色の美しいこと。





 山も城も堪能できるロケーションは欲張りだ。
 見上げると、城を守る神様である二十六野神が祀られている。



 日本最古の五重天守を守り抜いたのだから、絶対、御利益があるはずだ。混雑していたが、私はそっと両手を合わせた。
 下界では、待機者の行列がどんどん長くなっている。見るものをみたら速やかに下るのがよかろう。出口に向かって進んでいくと、増築したことを示す表示があった。



 正直言って、古さの違いがよくわからない……。素人なもので。
 この先には月見櫓なるものがあり、徳川家光が立ち寄る予定に合わせて造ったのだという。月は見えない時間であるが、ここからの景色もオツなものだ。



 出口にたどり着くと、一気に肩の力が抜けた。城の中で戦モードになっていた証拠であろう。
 はー。
 強い気持ちになりたいときには、ここで感化されるのがよろしいかと思ふ。
 次回は、松本グルメをお届けしまっす!

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ミシマにハマる

2024年03月31日 17時17分00秒 | エッセイ
 毎週、日曜日にこのブログを更新しているが、伝えたいことを上手く文章化できないことも多い。
「うーん、うーん。どうやって書いたらいいかな」
 試行錯誤を繰り返し、チャレンジすることは大切なのだけれど、決して弱音を吐くわけにはいかない。一緒に暮らす家族がウンザリするからだ。ときには厳しい言葉を投げつけられることもある。
「誰も頼んでいないよ。書いてくれなんて」
 まあ、そりゃあそうだ……。
 ひとり鬱々と悩み、参考になる本はないかしらと図書館をのぞいたら、文庫本の棚から「おおっ」と拍手したくなる本を見つけた。



『文章読本』三島 由紀夫著
 世界中で評価されるミシマ文学とはいえ、氏の場合は「割腹自殺」が衝撃的過ぎて、実のところ、ほとんど読んだことがない。
(自決現場での記事はこちら
 せっかく出会えたのだからとページをめくってみた。意外なことに、思っていたより親しみやすい内容で、かなり共感できた。
 たとえば、文章を書くときに「同じ語を繰り返し使わない」ルールである。「自分」という語だったら、「自己」「自ら」等に置き換えることができるので、同じ意味でもバリエーションをつけて書くとの件では、初心者を懇切丁寧に育成しようとする姿勢が見えた。
 また、過去のことであっても、文末を「~であった」の過去形にとどめず、現在形を用いることが日本語文法ならば許されるとの説明にも大きく頷いた。語尾に変化をつけないと、読み手が退屈するととらえていたことは間違いでなかったのだ。
 一番ありがたいと思った内容は、他の作家のすぐれた文章を掲載していた点である。この人のこういう表現が生き生きとしていてお手本になるとか、情景が浮かんでくる、美しい等の注釈とともに書かれていた。中には、「私だったらこう書きます、これを模範としてください」という指導者もいるので、氏の選んだ「この作家のここがスゴイ」が貴重なものに感じられた。時間のあるときに購入し、書き写しに使いたい。
 次に、作家としての地位を確立したと言われる『仮面の告白』を読んでみた。



 いやあ、素晴らしい描写だった!
 たとえば、近江という不良少年が体操の授業の際、生徒全員の前で懸垂を披露する場面がある。「碇の刺青が似合いそうな二つの腕」と書くだけで、筋肉隆々の様子にどこか不健全な香りが漂っていることがわかり、「彼の肩の肉が夏の雲のように盛り上がる」のは、肥大化した筋肉が入道雲に似ているのだとイメージできるし、「生命力、ただ生命力の無益な夥しさが少年たちを圧服したのだった」となると、尋常ではないものに打ちのめされ言葉を失った生徒たちの静止画が浮かんでくる。氏は、五十音を自在に操り、その場、その場を切り取るのに最適の表現を次々と繰り出していた。こんな書き方があるだと驚き、文豪ならではの視点に、もっともっと触れたいと願うようになった。
 先日、特急列車に乗る前に本屋に立ち寄った。『仮面の告白』を読み終えてしまい、他の文庫はないか探したかったからだ。立川駅構内にある小さな本屋で、数えたわけではないが、売り場に並んでいる文庫本は1000冊未満に見えた。果たして、三島由紀夫の著書は買えるのだろうか。
「あ、あった」
 限られたスペースでも、なるべく多くの作家を揃えようとの心づかいだろうか。ミシマ作品は一冊だけ、『宴のあと』を見つけることができた。



 まだ50ページぐらいしか読んでいないけれど、料亭の女将であるかづが、このあとどのような人生を歩んでいくのか気になって仕方ない。
 さーて、明日から新年度。
 気持ちを新たに、通勤時の読書タイムでミシマ文学から学び、吸収したいものだ。

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ナラ カミーチェ西武池袋店 営業終了

2024年03月24日 15時49分13秒 | エッセイ
 仕事から帰り、自宅に届いた郵便物を見て「ええっ」と声を上げた。



 なんと、オシャレな装いに欠かせないナラ カミーチェが池袋での営業を終えると書かれているではないか。
「やだ。困ったな」
 左手にハガキを持ったまま、私はその場で立ち尽くした。
 一体いつからナラ カミーチェの服を着るようになったのだろう。少なくとも、2010年にはこのブラウスを手に入れていた。



 きっかけは、西武池袋店4階をうろついているとき、これを着たマネキンが視界に入ったからだ。
「あら素敵。こういうのが一つあってもいいわね」
 フリルやレースを溺愛していることもあり、迷わず試着をした。幼児のすべすべの肌のような生地と、ストレッチ素材で体にフィットする心地よさ、背中から腰にかけての美ラインが気に入り、いい買い物をしたと思っている。その後わかったことだが、耐久性に富んでいて、何十回と洗濯してもほつれや傷みがないところも大いに評価している。これはすごい。
「他にもないかな」
 次に手に入れたのがこれ。



 着心地うんぬんより、見た目の華やかさで選んだ一枚だ。カジュアルな日常にも、フォーマルな場にもマッチして幅広く活躍してくれる。
 個性派としてはこちら。



 自己主張したいときに着ていくと、「ファイト~!」と応援してくれる。
 開襟ブラウスは着回しのできるアイテムだ。



 こちらもストレッチ素材なので、服に体を合わせるのではなく、服が皮膚の一部となって、違和感なく動けるところが素晴らしい。
 タートルだって売られている。



 白と黒のどちらにするか決められず、両方買ってしまったけれど、同じくらい出番があるから正解だった。
 ブラウスだけでなく、カーディガンも持っている。



 こうして箪笥の中を見てみると、いかにナラ カミーチェに頼って生活していたかが実感できた。
 作家の江國香織さんは、『いつか記憶からこぼれおちるとしても』という短編で、母娘の買い物スポットとして、ナラ カミーチェを登場させている。氏も、このブランドを高く評価しているのではと察し、ブンブンと首から唸り音が出るくらい激しくうなずいた。
 まだ営業しているうちにと、先日最後の買い物を楽しむため、池袋の店舗に向かった。
「いらっしゃいませ。新商品も入っていますよ」
 月末でなくなる店とは思えぬくらい、陳列棚はブラウスやカットソー、スーツなどでいっぱいだった。
 やはり、目を引くのはフリルのついたデザインである。



「これ、15年前に買ったブラウスと似ています」と店員さんに話しかけてみた。
「たぶん、その頃に比べると、フリルは控えめになっていると思いますよ」
 店員さんが笑って返してくれた。なるほど、時代とともに、シンプルなタイプが好まれるよう変わってきたということか。たしかに、多少は大人しくなっているが、基本的な裁断や縫製は踏襲されているようで、体に合わせてくれる特長に変化はなく、安心して買いものができる。
 西武池袋店さん、長い間ありがとうございました。  
 さて、今後はオンラインショップか、新宿まで出て、京王百貨店か高島屋のナラ カミーチェに行くこととなる。
 さらに素敵な品ぞろえを、よろしくお願いいたします!

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手帳の代わりに買ったもの

2024年03月17日 09時49分29秒 | エッセイ
 4月始まりの手帳を求めて文房具屋に行った。
「うーん、ないなぁ」
 私が愛用しているのは、月ごとのカレンダー以外は、8割以上がノートになっているメモ充実タイプの手帳だ。昨年はこれが見つからず、適当なものを選んだが、十分に活用できなかった。



 ボールペンや付箋もセットにして、電車の中でTO DO LISTを作ったり、打ち合わせの記録をとるぐらいの使い方だったから、ただただ重いだけ。これは改善しないといけない。
「そもそも、カレンダーのページは使わなかったかも」
 コロナやインフルエンザの流行もあり、私的な予定が少なかった証拠であろう。まあ、友達も少ないし。
 職場ではOutlookを使っている。上司と予定を共有し、お互いの予定を確認しながら自分の業務計画を立てるので、スケジュールのほとんどはここに集約される。でも、上司に見られるのだから、休日欄に「11:00墓参り・高尾駅集合」とか、アフターファイブに「19:00上野・焼肉食べ放題」などと入力するわけにいかない。
「たしか、スマホにカレンダーってのもあったな」
 機能を思い出し、コソッと開いてみた。操作はシンプルで、これなら私にも使えそうだ。「今さら何言ってんの?」とバカにされそうだが、興味がなくてスルーしていたことを悔やむ。今年は旅行を復活させて、出かける機会を増やしたい。ためしにプライベートな予定をいくつか入力し、かつ忘れぬよう、通知が届く設定にした。
「こっちの方が断然便利。てことは、ノートがあればいいんじゃない?」
 結局、手帳は買わずに、A5サイズのキャンパスノートと、「スマポケノートカバー」の組み合わせで購入した。



 このノートカバーが優れモノである。



 4カ所のポケットがあり、プリント類や付箋が挟めるし、領収証やチケット等の保管もできる。
 ファイルとノートの隙間にはボールペンも収納できて便利だ。



 ファスナーのついたポケットには、ちょっと貴重なものを入れるとよさそうだ。現金やカード類を綴じ込めば、財布を持ち歩く必要がなくなったりして……。



 先日、初めてノートを開いてみたが、硬いカバーに支えられ、実に文字が書きやすかった。重さは手帳の3分の1とあってバッグが重くならず、若くない世代には助かる。
 カード・名刺用のホルダーの使い道もひらめいた。



「自分の名刺を入れておけば、名刺入れを忘れても大丈夫じゃん!」
 私はときどき、これをやらかすことがある。3枚はキープできるから安心だ。
 ところで、若い世代には、メモすらスマホで入力する輩がいて、ノートはいらないらしい。入力が遅い私には無理だな……。
 準備万端に整えて、令和6年度を迎えま~す!

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正丸峠ハイキング

2024年03月10日 21時45分46秒 | エッセイ
 忙しいときほど出かけたくなるのは、一種の現実逃避なのだろうか。
 心の欲求に応えて、埼玉県にある正丸峠までハイキングをすることにした。
 まずは、西武池袋線に乗り正丸駅で下車する。



 ここから正丸峠、伊豆が岳山頂を目指して歩くのだが、翌日は仕事ということもあり、「ほどほどに」をモットーにスタートした。
 歩き始めてすぐの場所では、大きな岩がこちらをジッと見ていて緊張した。



 地震が起きたら落ちてきそうで怖い……。歩く速度をわずかに上げた。
 違う場所にも巨岩が寝そべっていたが、この岩から視線は感じられず、くつろいでいるようだった。



 立ち並ぶ木々の高さに圧倒される。



 ここでは、人間は爪楊枝アートに紛れ込んだ米粒ぐらいの存在なのだろう。そう考えると、気楽に、力まず、自然体で楽しむ気持ちになれた。
 延々と上りが続く中で気づいたことがある。
 尾瀬に行ったときは、上りが5分続いただけでゼイゼイしたのに、ここでは15分上っても苦しくならない。以前よりもバテにくくなったらしい。
 昨年11月頃からコレステロール値、血糖値を下げる食生活を心掛けているので、その効果が出ているんじゃないのかな~と予想した。血液ドロドロから脱出し始めたことを実感する。成果が得られると、人はさらに頑張れるものなので、バレンタイン以降に食べ過ぎたチョコの穴埋めをしようと、張り切って腿を上げた。なんて単純なワタシ。
「おおっ、こんなに上ってきたんだ~」



 ところどころで振り返り、消費カロリーを計算して「えっへっへ」と笑う。体の調子もいいし、このまま伊豆ヶ岳まで行けると思ったのだが、甘くはなかった。コーヒーブレイクとトイレ休憩のため、あてにしていた奥村茶屋が閉まっていたのだ。



 どうやら営業するのは土日祝日のみらしい。その日はあいにくの月曜日。一気に気が抜けて、「じゃあ引き返そうかな」と口を尖らせた。強行してもよかったのだが、無理することもない。
「せっかくだから、付近を散策してから下りよう」
 まずは、昭和天皇がお越しになった記念の碑を見る。



 裏にも何か書いてあった。



 展望台のような場所もあったので、景色を眺めて、おにぎりをムシャムシャ。





 この日ばかりは、登山用のストーブ(バーナー)が欲しいと願った。お店が開いていなくても、自分で湯を沸かし好みの豆でコーヒーをいれたら、それはそれは美味しく感じるに違いない。しかも、検索すれば山ごはんのレシピも手に入る。どうせリュックはスカスカなのだから、多少、荷物が増えても問題なかろう。
「よし! 頑張るぞ」
 早々に下山しながら、私は今年の新たな目標を立てていた。転んでもただでは起きたくない。
 山頂グルメってどう?
 山と一緒に、お料理の写真もアップできるといいな~。
 一段と現実のストレスから解放される気がしてきた。

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ひな祭り 何か足りない ちらし寿司

2024年03月03日 21時23分35秒 | エッセイ
 今年もひな祭りがやってきた。
 私には姉と妹がいて、生まれてきたのが娘という女系家族なものだから、昔から重要なイベントだと思っている。
「さあ、ちらし寿司ができたよ~」
 この日ばかりは夫が活躍する。毎年スーパーでよさそうな刺身を選んでは、美しいちらし寿司を作ってくれるのでありがたい。こたつでダラダラと夕食を待っていた私は、呼ばれて素早く立ち上がり、いそいそと食卓に向かった。
「召し上がれ」
「わあい」



 あれっ。
 第一印象で違和感に気づいた。何かおかしい。何かが違う。でもその正体がわからない。
 うーん。何だろう。
「おしゃもじはこれを使って。はまぐりの殻はこのボウルに入れて」
「はい」
 それ以上は考えず、夫に促されるままに、ちらしを取り分けた。とびっこの入った酢飯はプチプチした食感が楽しい。味のついたシイタケに、香ばしい白ゴマが酢飯によく合って、自然に「美味しいなぁ~」との言葉が出た。マグロもイケる。ああ幸せ。
 それから間もなく、違和感の正体がわかった。
 あわてた夫がザルを抱えてテーブルに走り、「菜の花を入れ忘れちゃった」と言うではないか。
「ああ、緑がなかったんだね。そういうことか」
 色のバランスは大事だ。緑が加わると、ちらしに落ち着きが出たような気がした。
 しかし、この菜の花。よく見ると、茹でた水分をしぼり過ぎ、シワシワでクチャクチャになっているではないか。



 夫はなまじ力があるだけに、ふきんを絞れば破れ、グラスを洗えば割り、菜の花を茹でればボロ雑巾にようになってしまう。困ったものだ。力の入れ加減については、もっと考えてもらわないといけない。
「ねえ、パパ。菜の花は強くしぼらなくて大丈夫だよ」
「えっ、水分をよく切ったつもりだったんだけど、もっとってこと?」
「いや、逆だよ逆。もっと緩くていいから」
「そうかなぁ」
 ……ちゃんと伝わっただろうか。怪しい。
 お節句なので、ちらし寿司だけでなくスイーツも用意した。Hanako3月号に載っていたシュークリームの美味しいお店でこちらを。



 700円かぁと驚いたが、食べて納得。このシュークリームにはそれだけの価値がある。
 今まで食べた中では一番の味わいといえる。こってりカスタードクリームは抜群、パリパリのシューも絶品で大満足でした。ごちそうさまです。
 いただきものの桜餅と草餅もテーブルに並べたが、主役の娘は「お腹いっぱい」と言って食べなかった。
 代わりに夫が「和菓子はしばらく食べてないから、2つとも欲しい」と手を出し、嬉しそうに平らげていた。女の子じゃないのだが、片づけてくれるからまあいいか。
 男の子がいない我が家では、端午の節句は柏餅を食べる程度でお茶を濁す。
 今年は元・男の子のために、食事部門にも力を入れ、ちょっと豪華にしてあげてもいいな。

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落ち込む気分を上げる場所

2024年02月25日 17時59分25秒 | エッセイ
 気分が落ち込んだとき、あなただったらどうする?
 10日ほど前、仕事で大きなミスをした。正確にいえば、間違えたのは別の職員だったのだが、それを見つけられなかった私も同罪というわけで、上司が解決に向けて奔走している。
 はー。
 加えて、昨日2月24日はウクライナへの軍事侵攻から丸2年。こんなに長く戦闘が続くとは思わなかった。兵士にも市民にも死傷者が増え、家族や自分が明日生きていられるかもわからない、過酷な状況に置かれたウクライナの方たちを思えば、私が抱える問題なんてちっぽけ過ぎるのだが。
「出かけようかな」
 天皇誕生日からの3連休を迎え、気晴らしに外出プランを立てた。
「そういえば写経がたまっているな」
 日記を見たら、最後に納経したのは9月26日。はや5カ月が経過している。そろそろ観音霊場巡りを再開させよう。順番でいくと、次は狭山ヶ丘駅から行かれる妙善院と松林寺。何分歩くのかと地図で場所を確認していたら、「砂川遺跡」なる文字が目に入った。
「えっ、遺跡?」
 私は遺跡や古墳といった古いものが大好きだ。これをスルーするわけがない。納経の前に、まずは遺跡に向かおう。
 その日は晴れて、柔らかで暖かい日差しのシャワーが降っていた。狭山ヶ丘駅から住宅地を抜け、田園風景が広がってくると、心もリラックスする。緑が多く、土の匂いがするせいかもしれない。
「ここだ」
 まずは砂川遺跡に到着した。



 ここでは、今から2万年前にあたる旧石器時代時代のナイフ形石器などが出土したという。出土物の多かった地点をAやFとして丸で囲っている。





 緑地を併設することで、市民の憩いの場となっているようだ。



 落ち着く~。
 学術的な内容も記述されていた。



「砂川遺跡の調査で得られた2つの成果」として、わかりやすい説明にまとまっているところがありがたい。子どもにも理解できるので、読めば将来、歴史や社会に興味を持つ大人に成長するかもしれない。
 成果の一つ目は「ナイフ形石器の製作工程が把握された」ことで、丸い石をどのように加工して、切る道具・刺す道具に変えていったかが書かれている。
 二つ目は「石材が人びとの移動とともに遺跡をこえて動いていることが具体的に明らかにされた」である。
 復元過程から、砂川遺跡外の石材と思われるものが見つかったことで、石材を携えて移動生活を繰り返していた当時の様子が判明している。
 獣を追って自給自足の生活をしていた先人たちに敬意を表したい。
 
 石器のあとは、対照的に、殺生がはばかられる寺院・妙善院に向かう。
 観音様の立ち姿が実にお美しい。



 線香をあげ納経して、次のお寺・松林寺へ。こちらの観音様も温かく迎えてくれた。





 20枚あった写経をすべて納めると、心から重石がとれたように、ふわふわと浮かび上がる。起きてしまったことは取り返しがつかないので、今さらクヨクヨ悩んだって仕方ないよ、と思えるのが不思議だ。
 武蔵野観音霊場は全部で33カ所あり、この日で15カ所に納経することができた。暑い夏が来る前に、残りの18カ所を回れればと思う。
「また写経するかな」
 書けばさらに気持ちが落ち着き、納経すればますます明るい気分になる。
 落ち込んだときは試してください。

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2024 バレンタインデー

2024年02月18日 08時54分57秒 | エッセイ
 かつてはバレンタインに備え、1月中にはデパートの特設コーナーに足を運び、楽しみながらユニークなチョコレートを選んだものだった。
 しかし、コロナ禍で一変し、チョコごときで買い物に出かけるなどもってのほか、と思うようになった。コロナが明けてからも売り場を歩くのが面倒で、サボリが日常化している。
「生協で頼めばいいもんね~」
 個別配達してくれるパルシステムが私の強い味方だ。カタログからチョコを選び、注文用紙に数量を書くだけで、バレンタインデーの一週間前に届く仕組みになっている。六花亭やロイズの商品もあるので、職場での義理チョコにも重宝する。
 今年、家には3000円台の大物チョコ1個とロイズのポテトチップチョコレート、六花亭のストロベリーチョコ、モロゾフのトリュフなどを注文した。
 ただし、困ったこともある。生協の荷物を受け取るのは、夫本人なのだ。まあ、専業主夫なので仕方ない。毎週火曜日に、玉子や牛乳、ヨーグルトなどが届くのだが、チョコレートも一緒に発泡スチロールの中に入っている。どんなに鈍い男性でも、Valentine's Dayの文字の入った包装紙に包まれた箱を見れば、「これは俺用なのでは」と気づくに違いない。
 そのチョコを、夫は何食わぬ顔で廊下に積み上げ、2月14日が来るまでジッと待っているのである。よく考えると変な話だ。
「いっそのこと、バレンタインを待たず、届いた日に渡してしまった方がいいのでは……」
 そんな思いもあったが、忙しい毎日ですっかり忘れていた。隠すでもなく、平然と廊下の置かれたチョコは、やがて見慣れた景色と化していた。デリカシーや気配りはどこに行ったのかと、自分でも疑問を感じつつ、ようやくバレンタインデーの夜を迎えた。
「パパ、チョコレートどうぞ」
「ありがとう」
 何と白けたやり取りだろう。サプライズなんてものは1ミリもない。
 とりあえず、廊下の荷物が少し減ったという安堵感はあった。
 一番の大物は、京都にあるフランス屋製菓のこちら。



 開けてビックリ。色的に、バレンタインデーというよりクリスマスみたいだ。赤はミルク、茶はビター、緑は抹茶で白はホワイトだった。どれも甘さ控えめで食べやすい。
 トリュフは私の好きなチョコの一つで、中のとろける甘みが病みつきになる。



 今年は姉からデメルの猫ラベルもいただき、食べきれないほどの量になった。



 そして3日後の昨日、私もおやつに食べようとして、コソコソ箱を開けたら、チョコが全然減っていないではないか。クリスマスカラーは相変わらず底が見えないし、トリュフは全部揃っている。ポテトチップにいたっては箱すら未開封だった。心配になって夫に確認をする。
「あれえ、食べないの?」
「えっ、食べてるよ。フランス屋のを毎日4個ずつ」
 そうか、数が多すぎて、食べても食べても変化が見られないだけだったのか。一瞬、「来年は買わなくていいや」と心の中で舌を出したのだが、そういうわけにもいかなさそうだ。
 自分が食べたくて買った、ポテトチップチョコに手を伸ばす。
「これ、開けるよ」
「うん」
 トリュフにも遠慮なく手を出した。我が家はまあまあ生存競争が激しい。うかうかしていると全部食べられちゃうのだから。
 さて、来年はどうしよう。
 せめて、スーパーで買い、クローゼットに押し込めるぐらいはしようかな。

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プリン愛

2024年02月11日 10時34分55秒 | エッセイ
 1月26日発売のHanakoが熱い。



 お待ちかねのスイーツ特集で、生クリームたっぷり、イチゴどっさりのデザートが紙面を飾っている。東京の店が多いとはいえ、京都など西の実力店も載っていて、永久保存版にしたいくらいだ。
 しかし、このタイトルには疑問がある。
「ショートケーキ、シュークリームはともかく、ドーナツってジャンルが違うんじゃない?」
 私のイメージでは、ドーナツは主食としても、間食としても使える実用的なアイテムであり、ケーキやシューと同じ土俵ではない。ドーナツは別のカテゴリーに属している気がする。
「三大定番スイーツだったら、プリンを入れないと」
 そんなわけで、プリンについて語りたい。
 プリンの一番の魅力は喉ごしのよさではないか。真夏の暑い日に、スポンジ系のスイーツは「ちょっとなぁ」と思うが、プリンだったら「くれくれ!」となる。黄色のカスタードに卵の濃厚さと控えめな甘味が凝縮され、大変口当たりがよい。これに茶色のカラメルが流れ込み、強力な甘味とわずかな苦味が加わることで、格段にパワーアップしながら味覚を楽しませる。食道にダイビングする直前まで舌を満足させるスイーツだ。
 代々木にある、かもめのイタリアンのプリンは絶品だった。



 代官山のミケランジェロプリンもなかなか。



 リーズナブルなところでは、ジョナサンのプリンサンデーもイケる。



 ケーキ屋さんのプリンはどこもクオリティが高く、甲乙つけがたい点で記事化しづらいのかもしれない。
 プリンは自家製でも勝負できる。先日、料理研究家の小林まさみさんのレシピを見て作ったジャンボプリンが、家族から絶賛された。



 栗原はるみさんもジャンボプリンをアップしているが、小林さんは生クリームを使わず、卵3個、牛乳300cc、砂糖70gというシンプルな材料で「うまい~」と唸らせるところが素晴らしい。
 作り方もシンプルだ。先にカラメルを作り、バターを塗った耐熱容器に入れる。その上に混ぜた材料を加えて、160~170度のオーブンで60分間蒸し焼きにするだけ。



 生焼けを避けるため、竹串を刺して、卵液がついてこないかを確認するのが大事だ。
 できたからといって、ここで、「ハッハッ」とがっついてはいけない。粗熱がとれたら、ひと晩冷やすことでさらに美味しく食べられる。
「ううう、我慢我慢」
 後ろ髪を引かれつつ、プリンを冷蔵庫に入れた。明日になるまでおあずけだ。
 さて、どうやって耐熱容器からプリンを出せばよいかと心配したが、冷やすことで体積が小さくなるらしい。翌日には、自然と耐熱容器の淵からはがれ、カラメルの海に浮かんでいた。大きな皿を耐熱容器の上にかぶせ、そのまま「エイッ」と裏返すだけでプリンを救出することができる。



 好みもあるが、プリンは少々硬めが美味しい。
 私は口径18cmのキャセロール型を使ったため、切り分けたときに平べったくなり高さが出なかった。



 次は、16cmのボウルを使い、お手本のように仕上げてみよう。
 Hanakoのスイーツをチェックする。職場の近くの店が「人気のシュークリーム」として載っているではないか。歩いて15分の店のドーナツも掲載されており、「こ、これは行かなくては」と気がはやった。
 そのうち、プリン特集をやってくれないかな~と期待している。

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カイロいろいろ

2024年02月04日 11時29分47秒 | エッセイ
 推薦入試が終わり、入学手続きに来た中学生を寒い廊下で誘導しているときだった。
「大変ですね、お疲れ様です!」
 背中から声を掛けられ、振り返ると我が校長がそこにいた。
 還暦は過ぎているが、相当な負けず嫌いで、一日10kmのウォーキングとジム通いを続けていると聞く。元気さだけでも、あと20年ぐらいは活躍できそうだ。
「僕のカイロ、使いますか?」
 彼はブレザーの内ポケットから棒状の器具を取り出し、私に向けて差し出した。ちょうど包丁の柄ほどの大きさで、暗いオレンジ色をしている。毎朝、校門に立って生徒を迎える際に、暖をとるため使っているのだろう。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
「そうですか、風邪ひかないように気を付けてくださいねっ」
 そのときは「使い捨てじゃないんだ、へー」と思ったのだが、このカイロという道具はなかなか奥が深い。
 辞書を調べると、「発熱する液体や粒状のものを容器に入れて持ち歩き、体を温める道具の名称」とあった。漢字では「懐炉」と書くらしい。懐を暖かくするってわけか、たとえ財布はすっからかんでも。
 毎日のことであれば、何度も繰り返し使えるものの方が経済的だが、一体いくらするのだろう。
 調べてみたら結構安かった。充電式でも1000円台から3000円台に収まっているようだ。
 カイロという名称ではなく、ハンドウォーマーな~んてしゃれた品名になっている点が憎い。
 今日2月4日は立春。暦の上では春になったので、値下がりしたのかもしれない。
 欲しいと思ったのはコレ。シンプルでパステル調の色彩が明るい気分にさせてくれる。



 性能はともかく、可愛らしさを追求したデザインも多い。



 猫は永遠のアイテムだ。



 胸をズギュ~ンと撃ち抜かれちゃう、ラブリーなこちらも捨てがたい。



「やだー、ミッフィーもあるじゃない!」



 これは驚き。まさかこんなところで会えるとは。
 前言撤回。私は断然ミッフィーちゃんを選ぶ。
 もっとも、校長は絶対買わないだろうな、わはは。
 まだまだ寒さが続くようなので、安上がりに済ませるなら充電式をおススメしたい。
 ところで、この記事を書くにあたり、使い捨てカイロの再利用法があることも知った。
「なになに、消臭剤や除湿剤にもなるってか?」
 靴に入れれば臭いが消え、クローゼットに吊るせば衣類の除湿ができると書いてあった。それは知らなかった。加えて、植木の肥料としても使えるようなので、検索すると便利かもしれない。
 今日も寒いが、明日2月5日の東京の最高気温は5度らしい……。うー、ブルブル。
 みなさま、どうぞ暖かくしてお過ごしください。

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震災の記録 野島断層保存館へ

2024年01月28日 18時13分01秒 | エッセイ
 1995年1月17日5時46分に発生した阪神・淡路大震災。
 この地震は活断層である野島断層が動いたことにより起き、道路や畑のあぜ、生垣などに地面のずれが現れた。断層による地形の変化を残し、地震のエネルギーの大きさと自然の脅威を伝える役割を担う施設が、この野島断層保存館である。
「うわ」



 入ってすぐの場所に、国道43号倒壊再現模型が待ち構えており、転落したトラックや散乱した積み荷に度肝を抜かれた。震災による恐怖や混乱が凝縮されている図であった。
 この施設は地震や断層について科学的にわかりやすく説明されており、地震の多い我が国に果たす役割は大きい。おかげで、地学には素人の私にも、ある程度は理解できた。淡路島に行く機会があれば、ぜひお立ち寄りいただきたい。

阪神・淡路大震災の記録
 ○死者6434名
 ○倒壊した建物24万棟以上

 あらためて犠牲になった方々のご冥福をお祈りします。

野島断層とは
 ○逆断層成分をともなう右横ずれ断層
 ○長さ10km
 ○最大で1.2mに及ぶ地面の段差と2m近い横ずれが生じた
 ○このうち地面のずれが最もよく現れた淡路市の長さ185mの断層が天然記念物に指定され一部を保存

「ふーむ」
 断層の種類については、3種の模型で学ぶことができた。



 係員の説明も要領よく簡潔にまとまっている。
「わずか10秒で用水路はつぶれました」



「地面に段差ができ、アスファルトの道路も破壊されました」





 このアングルは、リーフレットの写真と重なっている。



 あぜ道も、わずかな時間でこの通り。



 決して抗うことはできない、大きな大きな自然の力を目のあたりにした。





 断層のわずか1mの場所にあった家屋がメモリアルハウスとして展示されている。





 この家は通常の2倍以上のコンクリートを使用しており、地盤もよかった等の要因で、傾いてはいるがほとんど壊れず残っていたという。
 地震直後の台所が生々しい。





地震のメカニズム
 ○地球はプレートという堅い岩盤によって表層を覆われている。
 ○プレートは地球全体で十数枚に分かれている。
 ○プレートはマントルの対流により移動するため、プレート同士の衝突やすれ違いが起き、岩盤に力が加えられる。
 ○岩盤に長期間、大きな力がかかると歪みが蓄積する。
 ○歪みに耐えられなくなった岩盤が破壊し、ずれると地震が起きる。

「なるほど」
 出口に向かい、新たな知識が得られたことと、それを今後の防災に生かすことを考えていた。
 1995年は神戸を拠点とした、かつてのオリックス・ブルーウェーブが初優勝した年でもある。「がんばろうKOBE」をスローガンに躍進したチームに、どれだけ多くの方が元気をもらったことかと敬意を払う。
 また、PASONAグループが淡路島に本社を移転したことも、復興の大きな要因となっているようだ。こちらのグループ代表者も神戸出身と聞く。多方面から復興が支援されたことで、現在の淡路島や神戸があるのだとわかった。
 能登半島の震災にも、共通点は多いだろう。
 先日ようやく義援金を送ることができた。
 今後もやれることを探していきたい。

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13号車で行く淡路島

2024年01月21日 08時58分31秒 | エッセイ
 仕事で淡路島に行くことになった。
「どうやって行くんだろ。調べてみよう」
 東京からだと新幹線で新神戸に出て、そこから高速バスというルートが一番早いらしい。新幹線を予約し、品川に向かった。
 電車の遅延もなく、目当ての新幹線が到着するまで、あと30分もある。どこかでお茶しようとエキュートをふらつくと、サザコーヒーが目に入った。
 カステラショートケーキなるスイーツと、将軍コーヒーを注文する。金色のカップに元気をもらえる上、ケーキのルックスに見とれ、朝からリッチな気分になった。



「おっ、ザラメ糖」
 カステラというだけあって、スポンジの下には歯応え十分のザラメ糖がかくれんぼしていた。ジャリジャリした食感と甘みを楽しみ、お店を出た。エネルギーをチャージしたあとは、重い荷物も苦にならず、軽~い足取りで23番線のホームへ。
「えーと、何号車だっけ」
 切符を見ると、13号車の13番となっている。



 予約画面で「最も空いています」などと表示された車両で、トイレも近かったから何も考えずにポチッと押したのだが、キリスト教徒だったら絶対に選ばない座席だろうな……。
 仏教徒へのダメージはなく、ほどなくランチタイムを迎えた。いくつもある駅弁から、私が選んだのはあなご弁当である。



「イケる、イケる」
 幸せな飲み食いタイムのあとは読書と昼寝。退屈せずに新神戸に到着した。
 ここから高速バス「かけはし号」に乗り換え、明石海峡大橋を越えて淡路島に入る。



 当然ながら海が見え、地図の画像と視界とが重なる。一致したことを伝える「ピピッ」という音が、頭の中に聞こえてきた。



 淡路島には淡路市、洲本(すもと)市、南あわじ市があり、中心となっているのは高速バスの終点となっている洲本市と聞いた。ここまで実に4時間半。近くはないが、すごく遠いわけでもない。所用を終えると、日没を迎える時間となった。
 夕日の鮮やかさに目を奪われる。



 夕食は日本料理。こちらは食料自給率が高く、玉ねぎをはじめとする野菜、刺身やわかめ等の海産物、酪農からの乳製品が島内で調達できるというから素晴らしい。



 しかも、どの食材も味が濃くて風味豊かだ。お料理に喜んでいたら、島の方がこんな話をしていた。
「いやあ、島の外で食事をすると、アレ、こんな味なんだってガッカリするんですよね」
「でしょうね、これだけ美味しいものに慣れていれば、舌も肥えますもの」
 外食の楽しみが減るのは気の毒かもしれない。
「ぜひ、淡路牛も食べてみてくださいね。神戸牛みたいなもんですから」
「へえぇ、それはぜひ。でも時間があるかしら」
 茶碗蒸し、煮物、ご飯なども運ばれてきたが、写真も撮らずに食べてしまい、ラストのデザートが登場する。



「うーん、最後まで美味しい」
 淡路島グルメはハイレベルであると十分理解した。
 初日に買ったりもらったりしたお土産はこちら。



 海苔は軽くて持ち運びに便利だし、味付け加減が絶妙なので、ぜひご賞味いただきたい。
 移動と飲食に疲れ、ホテルでぐっすり眠った。



 ホテルの朝食は和食だったが、どれも口当たりがよいので、朝はパンにこだわる私でも難なくいただけた。



「へっへ~、海苔をもらおうっと」
 パリパリ、モグモグと食も進む。食後は淡路市に向かい、西海岸を通って高速バスに乗ることになっている。途中、どこかの店でランチタイムを確保するのだが、ひそかに「洋食がいいな」と企んでいた。
 しゃれたLADY BIRD ROADに立ち寄り、買い物もする。



 ここには農家のお店が入っており、玉ねぎやトマトに加えて、スープやドレッシングも買えた。



 時間的にちょっと早いが、ここのレストランでお昼をいただく。店を選んでいたら、「淡路牛カツレツランチ」の看板を見つけ、感嘆の声を上げた。
「淡路牛だって! ここ、ここにしましょう!!」
「え、ええ、まあ、はあ、いいですよ」
 同行者を強引に納得させて、気の変わらぬうちに中に飛び込む。メニューを見たら、これまた電光石火で「淡路牛カツレツランチを」と注文し、念願がかなった。



 衣をつけるとカロリーは上がるが、ソースとなじんで肉の旨味もアップする。一切れ、二切れと順に頬張り、旅行のラストを締めくくる淡路の味を噛みしめた。肉質はやわらかでやや甘め。焼き加減もよく、気がついたら最後の一切れとなっていた。
「ごちそうさまでした~」
 満足したあとは再び高速バスで新神戸へ。新幹線はまたしても13号車であった……。



 次回は、阪神淡路大震災を語り継ぐ「野島断層保存館」での内容をお送りします。
 現地に行くことで、29年前の災害で、報道から見えないものも知ることができました。
 少しでも多くのことをお伝えできるよう頑張ります!

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