少しづつ、断捨離は進んでいる。
此処へ来て、衣服の断捨離の必須条件が出来上がった。
「ときめくか、否か…」
鏡の前で、合わせてみる。
このワンピースを着たときのことが鮮明に思い出される。
絹のようなグレーのサテン布に大柄な花がぼかしで入っている逸品だ。
阿佐ヶ谷のブティックで、三日間、眺めていたら、姑が買ってくれた…。
凄く、高価な品で、今の貨幣価値にしたら…。
恐ろしくて手の出ない品だ。
家族で出かけるとき、華奢なサンダルに合わせて、意気揚々と着たものだ。
なんだか、なんとも言えない高揚感に包まれて、幸せな気分だった。
大劇場にも、高級ホテルにも、気後れすることなく、出かけられた。
が、昨日、鏡の前で合わせてみた…。
現実は厳しい! 寂しいものだ…。
洋服だけが、浮いている。
過去の栄光は消えていた…。
今朝早く、思い切って、燃えるゴミに入れた…。