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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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「やらしい話」は副詞か

2019-04-28 | 文解析は副詞が鍵
副詞は活用のないものですが、「否応なしに」、「どうりで」…等々のように「に」「で」など助詞を伴うものも数多く(語尾変化と呼べそうなものはたくさん見られる)
典型的な「とても」「きっと」なども「も」や「と」が結合したのかどうか判然としないものなどもありその分類にいささか戸惑いを憶えることもあります。

学習途上の私としましては 系統立った展望が整う分類ははるか先の到達点でのことでして
手はじめの一歩としては「これは違うだろ、あるいはどうかな」と言えるようなイレギュラーなものほど目につきやすいということで
初学者が陥りやすい(?)衒いの横道談義で間に合わせたいかと思います。
細かな分類は後にして今回はちょっと印象に残るものやこれでも副詞の端くれなのよっていう自己主張の激しそうなものを列挙してみることにしました。
副詞と呼ぶにはいささか接続詞的であったり、助詞を伴う連語的なフレーズであったりと厳密な解釈では間違っているのを承知で挙げていきますが、
私が思い描いているのは連用修飾的なものを一歩踏み越えて、句の前段として手続き的につながっているものも"副詞的なもの"と拡大解釈してまな板に乗っけられれば良いなぐらいに考えていますのでどうぞご承知おきください。
ますは↓こちらをご覧ください。

<副詞(っぽいもの)列挙>
ブッチギリの反則
絶賛イヤイヤ中です
お風呂上がりに 散歩のついでに
職業柄 正規業務の手前 ご確認の程
してる時点で
アドオンの数こそ力なのに
ドヤ顔よろしく真緑に染め上げてほしいですね
遅きに失した感さえあります
学者のような知識欲ゆえというより
引き金ひいといて何抜かしてんだと
皮肉なもので
さながら社会の縮図
気付いたら2時間残業
死ぬほど腹が減った
他人事ながら
なんにせよ乗れてよかった
喜びにつけ、悲しみにつけ
あわよくば
雨が降ってるから気をつけてね
ちょっとだけ怒りもおさまり
冗談で言ったつもりが
待ってましたとばかりに
洲崎綾ガルパンに出てすらいねぇじゃねぇか
大上段に構えてはみたものの
何が悲しゅーてテラス席
年が明けた途端に
藪から棒に
のび太のくせに生意気だぞ
のれんをくぐるや否や
ちょっと、なんか、不本意ながらも いつだって需要は斜め上
なんとまあ美味しい事か
彼はやおら立ち上がった
足しげく
ダメ元で
いきおいそうせざるを得なかった
すわっ結婚か
外国人が引きも切らずお買い物
安心したのもつかの間蒙古タンメンの行列へ飛び込んだ
やらしい話年収なんぼくらい?


…以上、脈絡もなく列挙してみましたが、最初ののっけから
「ブッリギリの反則」ってこれは単に名詞を修飾しているので連体修飾じゃないの?という声も聞こえてきそうですが
例えばブッチギリの美人というのがあったとして「美人」は名詞でもありますが様態性質の属性をあらわす用言的なものとの境界線上の性質も持ち合わせていますからこれに倣うと、
反則というのも「彼女の笑顔は反則だ」みたいに形容詞的に使われることもあるのを鑑みればこれはある種の副詞的な表現ともいえるかと思います。
あとはネットでよく見かける「絶賛○○中」みたいなものや「職業柄、手続き上」みたいに接尾辞を持つ語で副詞的に機能している例もあります。
バリエーションとして重要なのは、イ形容詞、ナ形容詞の連用形(広く・自由になど)は機能的に副詞と言っていいものですが、「喜びにつけ、悲しみにつけ」「ぶっちゃけ」みたいに動詞連用形由来のレアケースも副詞として機能する例もあります。
当たり前なようで多いのは「で・に・テ形・も・打ち消しの『ず』や『なく』」などの助詞や語尾変化のものも連用修飾的に接続するものがたくさん見つかります。
助詞も一文字助詞以外にも「から・より・さえ・こそ・ながら」みたいな長めの助詞もその特徴的なニュアンスも相まって縦横無尽に副詞的にはたらいています。
あとは「すわっ結婚か」これは副詞なのかどうかわかりませんがインパクトもあり破格の用法な風格を備えています。

まだこなれていないので大した分析はできなかったのですが、このカテゴリで目指す「副詞のはたらきとは何なのか」、文解析上副詞(的機能のもの)をいかに検出していくのかを模索していく上でこうした実例を地道に列挙・吟味して、その性質・振る舞いを見定めていくことにつながっていければ良いなと思います。
枕詞として適当かどうかわかりませんが、「やらしい話、副詞さえ押さえられれば文解析はなんとかなる」と勝手に思っております。

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Rock'n Roll 葬 をはじめとしてますます多様化する接尾語変換の充実が求められる

2019-04-14 | 接頭語・接尾語の変換
内田裕也さんのロックンロール人生の締めくくりもやはりロックな式典となったようですがこれがなかなか変換しにくい。
というわけで自由なことばには受け皿もしっかりしなくちゃいけないな、と思っている変わり者がここにいますが、
日常目にする言語的視点の材料を発見するとついメインをそっちのけで例文整理、リサーチに、気づいた時には手が動いています。
これと関連して文化人を偲ぶ記念日などで使われる「--忌」といった語尾も頻出音素「き」を持つためなかなか思い通りに変換できませんね。
司馬遼太郎の「菜の花忌」、会津八一の「秋艸(しゅうそう)忌」など変換へのリーチが遠そうなものにはさまざまありますが、
与謝野晶子の白桜忌(はくおうき)には昨今のゲーム・アニメ作品「薄桜鬼」とダダカブりなので、接尾語で構成される語として三属性変換・ハ万のワンタッチで目的の変換へアクセスできることは上位マターと言えるでしょう。
何しろこうした接尾語の中には「き」や「ち」のように一文字だったり頻出音素だったりで、いろいろ混在する変換候補テーブルの中からピンポイントで浮上させなければいけないのですから同音異義語の問題は相当根深いものと言えます。

ライフススタイルの変化、ネット界隈でのコミュニケーション、ニュース言葉・評論言葉・CM広告言葉など価値観の多様化によって日夜さまざまな新語が生まれています。
ちょっと定番の言い回しから踏み込んだ、フランクで自由なバリエーションを広げて作り手も受ける側も新鮮な言い回しを求めているがゆえの盛況さだと思います。
その中でも接尾語の生産力に乗っかった造語新語はイメージも喚起しやすいのでこういった新語構成の常套手段となっておりますので、それをはじめて書く(打つ?)うえでアクセスのし易さが気になるところです。
冒頭のRock'n Roll葬や菜の花忌などの例のほかにも気になる例が沢山ありました。

コン…とり婚、ビビビ婚、むっくり婚
タン…青春譚、南極生物譚なども弱い
デン…喝采伝、白蛇伝も電気の電が出てきてしまう
ダン…監督談、購入者談も段や弾がでてしまう
カ…コカイン禍、SNS禍なども上位筆頭が「化」とは言えロ万で上位候補になっては欲しい
ヒョウ…浅田彰評、シネマ評
ゲン…負荷減、トラブル減
ヒ・チ・ボ…歴代比、高CP値・来客簿なども
エ…アプリ絵・捧げもの絵
ニキ・ネキ…慧眼ニキ・寝起きネキ
トウ…般若湯、野草湯
ハン・パン…清一色6飜ハン変換できない
ゲート…崔順実ゲート、加計ゲート---カタカナであっても弁別効果ある
ビ…あるある美、基準美 こういうのも埋もれている
サク…ガイダンス策、周知策
ホウ…ON砲、ロマン砲
ヨク…収集欲、いいね欲
ゼイ…古参勢、連戦勢、ガチ勢
ッケ…ポイント還元っ気、アービトラージっ気
ゲイ…見切れ芸、密室芸
ドミノ…作画崩壊ドミノ、辞任ドミノ
モク・カ…ヒト目面白い事言う科だね
カタ…デフラグ過多、商い過多
カイ…ドシリアス回、温泉回
ジュウ…めんたい重、ローストビーフ重
コ…不凍湖、ダム湖
ブキ…コロニアル葺き、下葺き、葦葺き 濁り音の接尾辞もカバーしたい

…どうでしょうか、こういった語が接尾語で構成されているものだ、と明確に分かっていればワンタッチでアクセスできる三属性キーは実に重宝するインターフェイスだと自負しております。
通常の漢字変換では変換しづらい、コロケーションも確立できていない未知なる語のつながりのため変換AIもうまくカバーできていないタイプのパーツだと思われます。
ただ忌には同じ「き」の接尾語がいくらでもありますから(期・記・機など)単に属性ハのハ万のキーを押すだけでなく、属性の兼任、別の属性へ押し順の遷移過程などの細かいニュアンスの使い分けを駆使して筆頭候補をコントロールしていくこともワザの一つです。
例えば「機」は個別の機体が物体としてある訳ですから名詞属性のイ万も兼任していますし、「期」はイヤイヤ期みたいに盛んなある時期を表しているので様態属性のロ万を兼任しています。
「忌」に関して言えば日時・時間概念のものですからメタ属性のハ万の関与が深そうなのでハ万で上位候補にきそうです。
こういった具合に接尾語のニュアンスを酌んで押すキーもイ万・ロ万・ハ万からアクセスしたり最初は接尾語のハ万を押しておいてつづけてイ万/ロ万のニュアンスに寄せて軌道修正したりするなどインターフェイスの味付けにうまく乗っかっていただければ良いなと思います。

ちょっと横道なんですが、こういったニュアンス違いのイ万・ロ万・ハ万の違いなんですけれど、接尾語と結合する基幹語の語彙的つながりデータを見ているのではなく、意味を見ずして単に「記」のもつ生産力空間はイ万だろう、「期」のもつ生産力空間はハ万だろう
…という推測をもとに分類しているので、つながる語彙によっては違和感のあるカテゴリ分けが施されるケースもあるかとは思いますがそこまで行き届かせることは困難ですのでまずは接尾語生産力を最大限活かす形で対応していくのが三属性変換全体にも通じる枠組みだと捉えていただきたいです。
今後変換メカニズムが煮詰まっていくにつれてこの辺の語彙的データも参照するようになるのかは私の見識では判断しかねますのであまり深いところまでは申し上げられません。

とはいえ語の意味属性・範疇属性をテコに選択肢を劇的に絞れるのは変換キーを3つの三属性キーと通常変換の計4つの変換キーできめ細かく選択できるペンタクラスタキーボードの最大の特徴ですから、
ユーザーの方たちにも機能と利便性を周知して力のあるツールとして確立していければ良いなと思います。接尾語はなかなか奥が深いですよ。

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「難産」「達筆」に続き「能弁」「慧眼」「剛腕」「健脚」も同じ仲間かも

2019-04-05 | にほんごトピック
以前の記事
「難産」と「達筆」の特性のわずかな違い - P突堤2
において

<ねじれを感じさせる名詞述語文>という考察にもとづいて
・ヒトはなぜ難産なのか   (ヒトそのもの≠難産(というお産の様子))
・父は達筆だ   (父自体≠達筆(というスキル))

のようにAとBが等価のモノではなく対象の側面の<性質、能力、醸し出し>などの一種の属性を包含しているような構造の言葉「難産」「達筆」について論じてきましたが、
その後思い出しながら考えを巡らせていたら、その「お仲間」となりそうな言葉を4つ5つ、見つけましたので追加でメモしておきたいと思います。
思いつきなので大した考察はなく、結果をまず列挙しておくことにします。その例とは

「能弁」…大統領は能弁だ
「慧眼」…ベンゲルは慧眼? 節穴?
「剛腕」…良くも悪くも原は剛腕やな
「健脚」…江戸時代の人は健脚であった

の4つです。
能弁には「今夜はなかなか能弁だね」みたいに人物ではなく時を主語にもってくる例もあり単にねじれの典型としての用法以外にも様々な使われ方があるようです。
慧眼にも「監督の慧眼」みたいに「の」を挟んだ連体格としての用法の方がありこちらのほうがどちらかというと一般的です。
剛腕・健脚には健脚自慢・剛腕ぶり・剛腕さ加減などのように接尾辞と結びつく例も多々見られたり、健脚を活かして…のように叙述成分でなく主部やあるいは起点部的な成分として機能することもあります。
とりあえずざっと言えそうなのはこれくらいで、あと重要な点として×能弁する、×慧眼された、みたいなサ変動詞(やその受身形)への接続はないということが特徴です。

最後に候補に入れるかどうか境界線上で迷ったものも挙げていきます。

「恵体(めぐたい)」…恵まれた体の短縮形
「白眉」…すぐれた者たち(多人数)の中からもっとも優れたもの:人を評するときに使う
「大胆」…肝が大きいという文字通りの意味とは少し違うようだ
「無口」…無とか不とか接頭辞まで形成構造に入れてしまうと少し視点がずれてしまう

なので典型的なねじれのモノの言葉とはひと口に言い切れない諸事情も絡んでくるのでこちらは参考候補とさせていただきます。


以上、補足程度の小ネタですが今回はここまでです。

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