荻野洋一 映画等覚書ブログ

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人形町せともの市

2009-08-04 00:46:00 | アート
「人形町せともの市」の初日となる今宵、一回りしてみた。昨年まで「重盛永信堂」前に出していた 薩摩焼の露店が消えていたほかは、粕漬屋「魚久」前の箸屋、「BOOKS PISMO」前の砥部焼、「コ コイチカレー」前の茶碗屋などは、今年も健在。一見変わりばえしないように見えるが、しかしこうし た催物も、一年一年少しずつ変化してはいるのだろう。
甘酒横丁の角に、毎年出している露店がある。朝鮮の象嵌青磁と、沖縄の壺屋焼という異色の組み合 わせの店だ。オヤジの言葉も変わらない。
「ここの高麗青磁は、全部イチョンのもんでね。 “沙音” という腕のいい職人のもんだよ。この人はパ ルパル、つまりソウル五輪のことだけどね、そン時に、国家指定の工芸家に認定されちまったから、作 品の価格が高騰して、すっかり巨匠になっちゃった。でもウチは、パルパルの前に仕入れたから、特別 に安く売ってるわけよ。」

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これらのセリフは、去年もおととしも聞いた同じ話だ。毎年、せともの市の折にはこの店に顔を出
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荻野洋一 映画等覚書ブログ 平成21/11/16 14:23
 これらのセリフは、去年もおととしも聞いた同じ話だ。毎年、せともの市の折にはこの店に顔を出
し、盃やら茶碗やら一輪挿しやらをちびちび買っていた。それでもこのオヤジ、私の顔はちっとも覚え
てくれないらしい。
それにしても、去年聞いた時には、話の落ちは確かこうだったはずなのだ。イチョンだのパルパルだ の高騰だのまでは同じなのだが、後が違う。「この “沙音” という職人は腕がいいんだが、酒に溺れち まってね、もう、この世の人ではないのよ。」