荻野洋一 映画等覚書ブログ

http://blog.goo.ne.jp/oginoyoichi

サウンドトラックについて、ご相談したいことが(2)

2008-10-30 00:46:00 | 音楽・音響
 前回記事に味をしめて、今一度お知恵を拝借。

 ヨン様ファン御用達映画『スキャンダル』(2003)は意外な佳作なのだが、サウンドトラック盤も気に入っている。山内正や林光など日本の映画音楽でも1960年代に流行した、ハープシコードと弦楽を多用した似非ヴィヴァルディ的バロックを思う存分に楽しめる。しかし私が偏愛しているのは、5曲目の『春眠曲』という民族的な謡曲。本篇では、イ・ミスク(李美淑)の邸宅に妓生(キーセン)と楽士たちを呼び、キャスト一同、大きな庭池で舟遊びに興じるシーンにおいて奏でられた楽曲で、半島では何という名前なのかは知らないが、日本でいうところの横笛、篳篥、太鼓みたいな伴奏をバックに、妓生の美しいファルセットを聴くことができる。

 私が高校時代に愛聴していた番組に、故小泉文夫がホストを務めた『世界の民族音楽』というラジオ番組があって、カセットにして何十本と録音したものだが、番組はイラン&中東、北米の黒人教会、ブラックアフリカ、シルクロードなどといったところが主流テーマだったとはいえ、朝鮮王朝の楽曲も多少はかかっていて、随分と親しんだ。当時、中村とうようがやたらとサムルノリやパンソリを推していた記憶があるが、小泉の番組ではそういうのはあまり採り上げられなかった。

 ところで私が当時聴いた限りでは、あの時に録音した数多くの楽曲の中でも、じつは『スキャンダル』サントラの『春眠曲』ほどの美声は記憶がない。今年の夏、ソウルと扶余への当て所なき旅に興じた折も、光化門前のメディアストア「教保文庫(キョボムンゴ)」で、かなり献身的な店員と一緒に汗を流しながら試聴しまくったが(「教保文庫」の優れた点は、売場にある全CDが試聴可能である点なのだ)、ついぞ『春眠曲』に匹敵する音源に遭遇することはなかったのである。

 この線で何か推奨のCDなど、どなたか心当たりありましたらご教示ください。

サウンドトラックについてご相談したいことが(1)

2008-10-26 08:46:00 | 音楽・音響
 ヴィンセント・ギャロ監督・主演の『ブラウン・バニー』(2003)で、ジェフ・アレクサンダーという人の『Come Wander With Me』というフォークソングが使用されていた。なんとも物悲しい旋律と、幽玄的な女性ヴォーカルが眩惑的であった。Jeff Alexanderという男性的な名は果たして、この女性ヴォーカリストの名なのか、インターネットで検索してもあまり芳しい結果が得られなかった。調べ方が下手なのかもしれないが。

 どなたか、私の無知を解消して下さる方はいらっしゃいますか?


中洲居士 at 2008/10/26 08:51
ちなみにこの映画のサウンドトラック盤は私の愛聴盤で、本篇そのものよりも好きだ。レッチリ、ジョン・フルシアンテの劇伴もさることながら、『ミルク&ハニー』はジャクソン・C・フランクの、『ビューティフル』はゴードン・ライトフットの、それぞれ最高傑作の1つだと思う。



Tattaka at 2008/10/27 14:26
「教えて!goo」に同様の質問ありましたがそこには

>海外のサイトですが、同じようような質問がありますね。【Come wander with me】その回答によりますと「Come wander with me」は、Jeff Alexanderが、

Twilight Zone」から採ったオリジナルソングのようです。

the song originates from a episode of the Twilight Zone. Jeff Alexander wrote the episode where the

song is featured
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1470199.html
とありましたが・・さらに調べたら
ここに
http://00traumerei00.com/blog/2007/01/come_wander_with_me.html
歌っているのは登場する女優(bonnie beecher)で店の外でハミングしているところをスカウトされたそうです
とありました。

このアルバムは素晴らしいですよね!


Tattaka at 2008/10/28 20:13
たびたびすみません。書いた後で、当然この程度の情報は調べた上なのだろうとか、ネット情報の信憑性とか考えてしまいました。
もし的外れでしたら消しといてください。なんかかえって手間かけてすみませんー


中洲居士 at 2008/10/29 06:10
Tattakaさん、御礼が大変遅れ、すみません。ご教示感謝感謝です。Tattakaさんもこのアルバムがお好きだおっしゃっていて、嬉しく思います。日本版のアルバムジャケットのポルノ的な写真は、おそらくブログのホスト会社からはじかれてしまうことでしょう。

それにしても、「店の外でハミングしているところをスカウトされた」というのがまたいいですね。門付けのような形で弾き語りをしていたのでしょうねえ。

有難うございました。


Tattaka at 2008/10/29 11:34
結果的にお礼を強要した形になり恐縮至極です。が、ホッとしました(笑)
以前、小さなギャラリーカフェを運営していた時、このアルバムを一時期かなりヘビーローテーションでかけてました。思い出して昨日久しぶりに聴きました。
こちらこそありがとうございます。


[M] at 2008/10/30 11:37
すでに解決済のようですので、蛇足になりますが…

youtubeで本人が歌う動画を見つけました。
http://jp.youtube.com/watch?v=d7RnqBchvTU

私は『ブラウン・バニー』が大好きで何度も観ましたが、本編ではこの曲はハミングだけで、歌詞つきはサントラのみの収録だったと思います。ハミングのverも素晴らしかったです。


中洲居士 at 2008/10/31 14:47
[M]さん、この度はコメントを有難うございます。ご返事遅れ、大変失礼いたしました。本編ではハミングだけでしたか。サントラ盤を聴いているうちにそのあたりがあやふやになっていたため、訂正していただき助かります。Bonnie Beecherという人はこういう顔をしているのですね。

リンクが張られているブログ「cinemabourg」もちょいちょい読ませていただくこととします。

ミロシュ・フォルマンがミロス・フォアマンに変わったのは、単純に「チェコ事件」でアメリカに移住してから、ということでいいのではないでしょうか。デトレフ・ズィールクと違って変名はしていないですし。異なるのは、Mirosのsの上に「ハーチェク」と呼ばれる、小さなv字の記号が付くか付かないかだけです。「ハーチェク」が付くと、sは「シャ」行の音になり、cは「チャ」行の音になるようです。例:Baros(=バロシュ)、Cech(=チェフ)


[M] at 2008/11/04 11:30
ご丁寧にご返信いただき、ありがとうございます。
私は封切りで本編を観まして、曲名もわからないまま、あの切ないハミングが心に残っておりましたが、『ブラウンバニー』のサントラは、本編で使われていない楽曲が中心に組まれているというようなことをどこかで読み、だったらということでdvdを購入して、「Come Wander With Me」のハミング部分を繰り返し聞いていました。

拙ブログも読んでいただいたようで、大変恐縮です。ミロシュ・フォルマンに関しては、やはりアメリカ移住後ということでしょうね。なるほど、“ハーチェク”の有無で読み方が変わったんですね。
ご教授ありがとうございました。

日本橋某町の店

2008-10-23 12:25:00 | 味覚
 久しぶりに作品評ではなく暇ネタ、というか身辺雑記を1つクドクドと。

 仕事帰り、日本橋××町にできたばかりの、ある創作日本料理店に寄ってみた。この「創作」と付いた食べ物屋というのはどうも信用ならぬとお思いの方も多いだろう。私もその一人ではあるが、一応どんなものかと入ってみたのである。カウンターに座り、品書きを眺めると、献立はさして特別なものではない。いわゆる小料理屋というやつで、酒の取り揃えもよく、出てきたものの味も悪くない。ところが、どうも居心地が落ち着かない。なぜであろう?
 厨房脇に大きめの液晶モニターがあって、ジャイアンツ戦を放送しているのがなんとも鬱陶しい。映像業界の片隅で鼠のように這いずり回って生き長らえる私のような人間には、食べ物屋のテレビがどうも気に食わない。町のざっかけない中華ソバ屋あたりなら構わないのだが。実はテレビが好きではないのだと思う。
 
 この日本橋、大川端界隈というのは、店々の性格付けがはっきりしている。接待向け、重役向け、一般サラリーマン向け、庶民向け、団体向け、お上りさん向け、インテリ向け、マニア向け、カップル向けなど。旦那衆向けという独特なジャンルもある。きょうのこの店は、モニターにジャイアンツ戦を映してしまったその日からはっきりと「庶民向け」のレッテルを貼られたことだろう。
 不思議とこの界隈は、家族向けと女性向けというジャンルは存在しない。家族はサイゼリアにでも行っとけ、女性は港区、渋谷区あたりにあばよ、というムードがある。だからここらあたりの人は、自らを町のムードに合致させて食生活を生きている。たとえばよく聞くのは、子どもの誕生日パーティがふぐ屋の「青木」で行われている話とか、基本的には太田和彦=川本三郎系といった風采の「笹新」や「山葵」が女性一人客のおかげで繁盛しているなどといった話だ。
 しかしその一方で、合鴨一品の「鳥安」あたりは、接待向けからカップル向けに転身を図っている。去年のミシュランで★★★獲得したとか言う「玄冶店 濱田屋」も、旦那衆向けから何か別のものに転身した(当方入店経験なし)様子だ。

 ところで、私の落ち着かなさの真の原因はテレビではない。一番の問題は、創業まもないこの店を仕切る女主人と、彼女を手伝う母親らしき年配女性の関係の悪さが、カウンターのこちら側へも伝わってきてしまうことである。母親の「使えなさ」にいちいち苛立ち、呆れてみせる女主人。一方、客へのお愛想を述べることで、なんとか立っていられる手伝いの母親。この2人はひょっとすると昔からそうやって二人三脚で生きてきたのかもしれず、決して険悪ではないのかもしれないが、そんな呼吸の妙は第三者にはわからない。この険悪さをどうにか店のカラーにしてしまえばいいとさえ考えている節も感じられ、意図としてはわからぬでもないが、そんなものは下町情緒でも何でもない。仲良くしろとは言わないが、もう少し余裕がほしい。
 だが、あと1~2回は入って、この店の成り行きを推し量ってみようか。

『石内尋常高等小学校 花は散れども』 新藤兼人

2008-10-22 10:46:00 | 映画
 今年96歳を迎えた新藤兼人の半自伝的な物語であり、生半可な「完成度」からは無縁、天衣無縫なる老人映画そのものの現出を見る。広島県内に実在した尋常高等小学校の生徒たちと恩師(柄本明)の長年の交流を描いた本作は、言葉のよい意味で権威主義的である。小学校の校歌が作品中いくたびか合唱され、温かく愛撫的な権威主義が無意識のレベルで讃美されている。
 死期を間近に控えて横たわる病人に向かって、見舞いの者がなにがしかの歌を披露するというのは、近年随一の佳作『三文役者』(2000)でも見られた。入院ベッドの殿山泰司(竹中直人)に向かって妻(荻野目慶子)が、見ているこちらがいささか気恥ずかしくなるほど真剣に河内音頭を歌い上げる場面であったが、今回もそれと同様である。
 そこには、晩年を迎えた人間に対する、年下の人間側からの無償の師弟愛のようなものが措定されている。つまり、老いた者はこれくらい敬愛されて当然だ、という思考が臆面もなく画面に貼り付いているわけだが、この臆面のなさにいちいち眉を顰めていたのでは、新藤映画を見ることは叶わないであろう。
 普段は冷徹な一匹狼を演じることの少なくない豊川悦司がこの作品では、最初の本格的登場シーンである30年ぶり同窓会の席上、恩師に向けて自分の不甲斐ない人生を振り返りつつ、人目憚らず号泣してみせる。気取りというものを許さず、温かく愛撫的な権威主義が画面という画面に横溢していることを、この豊川の号泣演技で思い知らされた。なお作品の公式HPによれば、この同窓会の撮影で使われた料亭は、かつて『東京物語』(1953)の尾道ロケの際に小津安二郎監督が宿泊した割烹旅館だそうである。


9月27日(土)より、シネカノン有楽町1丁目他、全国順次公開
http://www.shindo95.com/

石川梨華@マドリー・ダービー

2008-10-19 07:00:00 | サッカー
 けさはアトレティコ・マドリーvsレアル・マドリー、いわゆる「マドリー・ダービー」があった。つい先ほど放送を終えて帰宅したばかりである。生中継の放送には、ゲストに元モー娘。で現ガッタスの石川梨華さんにゲスト出演していただいた。なぜ中継番組にアイドルがいなければならないのか、と首をひねるコアなサッカーファンも多いことだろう。しかし、こうしたキャスティングをする局側の思いも私は理解してしまう。
 とはいえ、自身フットサルチームに所属している石川梨華さんは結構サッカーにくわしく、本番では問題なくアグエロの個人技の高さや、レアル・マドリーのパス回しの速さ、アンリの不調ぶりなどについて闊達にしゃべってくれた。来月末には吉澤ひとみさんが、セビージャvsバルサのゲストに来てくれるらしい。
 控室にて初対面の彼女に段取りを説明する時、いささか緊張している自分を発見した。もともとアイドルというものにはまったく関心がなく、一緒に仕事をしても緊張したことなど、これまでのキャリアで一度としてなかったのだが。説明するこちらを見る石川梨華さんの目を見て、いい目をしているなと正直に思った。


Gatas Brilhantes H.P. オフィシャルサイト
http://www.helloproject.com/gatas/